米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設に向け、辺野古の海に土砂が投下され、埋め立てが始まった。土砂投入によって後戻りは難しくなり、普天間返還計画は日米合意から22年あまりで重大な節目を迎えた。政府は完工に向けて工事を強行し続ける方針。対話による解決を探ってきた沖縄県には手詰まり感が漂っている。
◇銃剣とブルドーザー
14日午前11時ごろ、埋め立て海域を囲う護岸から、ダンプカーとブルドーザーが海底に土砂を流し込んだ。エメラルドグリーンの海は水が引いて岩肌があらわになっていたが、潮だまりに残った水は土砂で茶色く濁った。土砂の投入は、1996年の普天間返還合意以来初めてだ。
反対派はカヌーで海にこぎ出すなど抵抗を試みたが、工事車両が出入りする米軍キャンプ・シュワブや護岸の周辺では、ライフルを持った米兵や海上保安庁の巡視船が警備に当たった。県民の一人は「米軍統治下と同じだ。『銃剣とブルドーザー』による基地建設だ」と憤った。
玉城デニー知事は13日に首相官邸を訪れ、菅義偉官房長官に「土砂投入は違法」と中止を要求したばかり。「激しい憤りを禁じ得ない」。土砂投入後に記者会見した玉城氏は怒りをあらわにしたが、菅長官は会見で「辺野古移設が唯一の解決策だ」と淡々と語った。
◇選挙を意識
辺野古移設をめぐる安倍政権の姿勢は歴代自民党政権とは異なる。歴代政権は時の知事の理解を得ながら、計画を少しずつ動かしてきた。しかし、安倍政権は頭越しに強行突破を図ろうとする場面が目立つ。玉城氏が11月下旬に提案した協議体設置にも安倍晋三首相は応じなかった。
安倍政権が早期の土砂投入にこだわった背景には、早ければ来春に行われる衆院沖縄3区補選や来夏の参院選がある。投入に着手する日をできるだけ遠ざけ、選挙への影響を弱めようとしている。埋め立てが進めば県民の間に諦めムードが広がり、これらの選挙で辺野古移設が争点化しにくくなるとの読みもある。
普天間返還の遅れへの焦りもある。96年合意時の返還期限は「5~7年以内」だったが、その後「2014年」「できるだけ早い時期」と次々と先送りされ、米政府内にはいら立ちが募っている。
岩屋毅防衛相は14日の会見で「22年度またはその後」とする現行の期限について「達成はなかなか難しい」と認めざるを得なかった。
◇「しらけている」
沖縄県側は袋小路に陥りつつある。玉城氏は、対話による解決の旗を下ろしていないが、政府が応じる気配はない。「最後のカード」と言われた埋め立て承認撤回も国土交通相の決定で効力を失った。国地方係争処理委員会の審査が14日に始まったが、国交相の判断を覆すのは難しいとみられている。
玉城氏が新たなカードと期待するのが、埋め立て海域で見つかった軟弱地盤だ。軟弱地盤を埋め立てるには、知事から設計変更許可を得る必要があるためだ。しかし、カードをちらつかせる玉城氏に、政府高官は「軟弱地盤の埋め立ては数年後に後回しにすればいい」と取り合う様子はない。
県幹部は「打つ手はない。カードがないと政府と対話することすら難しくなる」と嘆く。
玉城氏は来年2月24日に行われる辺野古移設の賛否を問う県民投票に望みを託すが、宜野湾市など保守系が議会を握る市町村を中心に県民投票をボイコットする動きも出ている。玉城氏は会見で「工事を強行すればするほど県民の怒りは燃え上がる」と警告したが、政府高官は「県民はしらけている」と言い切った。
辺野古もイデオロギーや感情論で正義は県にあり、強引に工事を進める政府は悪みたいな報道が主流だが、県民投票の可否で見られるように県民の意見も決して反対一本ではないようだ。辺野古の問題はイデオロギーや感情論、自然保護まで入り込んで混み入っているが、元は普天間基地の危険の除去と日米の抑止力の維持が目的だったんだろう。極端なことを言えばジュゴンが残れば日本の安全保障はどうでもいいのだろうか。前回の県知事選も政府側は辺野古を回避して戦ったが、普天間の危険性をどうするのかを前面に押し出して戦うべきだった。何時までも堂々巡りばかりしていないで早く辺野古を完成させて普天間の返還を図るべきでその後に沖縄の振興策なり基地負担防止を考えるのが現実的だと思うが、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2018/12/15 11:38:11 | |
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