2016年01月17日
台湾総統選は16日投開票され、最大野党・民進党の蔡英文主席(59)が与党・国民党候補の朱立倫主席(54)と野党・親民党の宋楚瑜主席(73)を大差で破り、初当選した。独立志向が強い民進党が8年ぶりに政権を奪還し、台湾史上初の女性総統が誕生する。国民党の馬英九政権が進めた対中融和路線が見直されることは確実で、中国の出方によっては東アジア情勢が緊張する可能性もある。
台湾中央選管の午後10時(日本時間同11時)現在の集計によると、蔡氏が約689万票、朱氏が約381万票、宋氏が約157万票となっている。
蔡氏は16日夜、記者会見し、「台湾人は1票で歴史を書き換えた」と勝利宣言した。さらに「この勝利は単なる選挙結果ではなく、有権者が台湾を新たな時代に導く政府を求めたことを意味する」と強調した。今後の中台関係については「現行体制における交流の成果や民意を基礎とし、平和で安定した現状を維持する」としつつ「両岸(中台)双方に最大限の努力をする責任がある」として中国側の歩み寄りも求めた。
朱氏は台北市内の党本部前で「申し訳ない。皆を失望させた。我々は失敗した」と述べた。さらに敗北の責任を取り、党主席を辞任する意向を明らかにした。
また、行政院(内閣)は16日夜、国民党の大敗を受け、毛治国・行政院長(首相)が馬英九総統に辞意を伝えたと発表した。慰留は受けないとしている。
同時実施の立法院(国会、定数113)選挙でも、民進党が初めて単独過半数を獲得した。大敗を喫した国民党は求心力が低下し、万年野党に転落する危機さえはらむ。
争点の対中政策をめぐって蔡氏は「現状維持」を掲げている。蔡氏は「当選したら中国大陸を含め友好国と意思疎通を図る」と訴え、中国と経済関係を深める経済界の不安払拭(ふっしょく)に努めた。ただ民進党は、中国と国民党が交流の基礎に位置づける、「一つの中国」の原則を確認したとされる「1992年合意」を認めていない。台湾社会で「台湾意識」が強まる中、今後の中国との距離のとり方が大きな課題となる。
一方、中国は92年合意を認めない民進党とは交流していない。昨年11月の馬総統との中台首脳会談で中国の習近平国家主席は「92年合意の堅持を望む」と強調。独立志向が強い民進党の政権奪還を視野に「現在、両岸関係の最大の脅威は台湾独立勢力の(中国の)分裂活動だ。両岸の同胞は団結して断固反対しなければならない」と圧力を強めた。しかし、求心力を増す蔡氏を相手にする中国は、民進党政権が長期化する可能性を見据え、台湾政策の再検討を迫られそうだ。
蔡氏の就任式は5月20日で任期は4年。蔡氏とペアを組んだ中央研究院の元副院長、陳建仁氏(64)が副総統となる。
どうなるのかねえ、台湾は、・・。今度の政権は反中のようだが、どんな政策を取るのか。また、日本との関係はどうなるのか。中国はどうしても台湾が欲しいだろうけど、台湾は台湾で良いのではないだろうか。形態的には独立主権国家なのだから。中国と一緒になってもあまりいいことはないように思うが、・・。華南辺りと一緒になって自由主義政権を樹立するのが良いのだろうが、そう言ったら、「北京は頭は悪いけど戦争は強いんでねえ」と言った華南人がいたが、・・。
Posted at 2016/01/17 22:58:53 | |
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政治 | 日記
2016年01月17日
1月5日、安全保障関連法廃止に向け夏の参院選で野党統一候補を支援する市民団体有志による「市民連合」が東京・新宿駅前で初の街頭演説を行った。ここで野党議員から常識を疑う驚くべき発言が飛び出した。
市民連合のメンバーに加え、共産党の志位和夫委員長や民主党の蓮舫代表代行らが発言し、維新の党から初鹿明博国対委員長代理も登場した。すると、初鹿氏は「(安保関連法によって)米国の戦争や他国の戦争に巻き込まれていく。テロが日本でも起こるかもしれない」と述べた上で、こう訴えた。
「復讐しない、仕返しをしないとの決意をわれわれが持てるかどうかが非常に重要だ。テロが起きても動揺したり、怒ったり、あわてたりせず、戦争はしないとはっきり誓い合うことが必要だ」
怒ることさえ許されないとは…。自衛隊や警察の存在、抑止力とはいったい何なのだろうか。初鹿氏は維新の党を代表して演説したのだろうから、これが党としての公式見解といえる。あきれてモノも言えない、と思っていたら、周囲の聴衆は賛同していた。
常識を疑う事態は後を絶たない。7日には、維新の党と日本を元気にする会(14日に政党要件喪失。現在は政治団体)が参院で統一会派を結成した。維新の党は今国会から衆院で民主党と統一会派を結成し法案審査なども両党で合同開催しているが、参院では民主党より先に元気会と統一会派を結成したことになる。
ただ、維新の党の寺田典城参議院会長は記者会見で「将来に向けた民主党との参院統一会派を否定しない」と述べた一方、同じ会見で元気会の松田公太代表は「民主党との合流は今は全くない」と明言した。スタート時点で将来像が逆方向を向いている。
しかも、民主、維新両党は安保関連法に反対し、元気会は賛成した。反対の維新の党が賛成の元気会と手を握ったのだ。維新の党は民主党との衆院統一会派の結成にあたり基本的政策合意を行った。その中に安保関連法について「憲法違反など問題のある部分をすべて白紙化」と明記しており、元気会とも、この政策合意を踏襲するのが自然だが…。
もはや常識では説明できない“衆参ねじれ会派”だけに、ほころびは別の面でも出ている。
松田氏は14日の記者会見で、国家公務員給与を引き上げる給与法改正案について、国が多額の借金を抱える中で人事院勧告通り給与を引き上げるのは問題だとして、反対する意向を明らかにした。
党内に改正案反対の意見もあった維新の党だったが、14日の衆院本会議で行われた改正案採決では、統一会派を組む民主党に足並みをそろえ、全員が賛成した。統一会派は法案などの対応を一致させるのが一般的で、理解できる行動ではある。
しかし、改正案反対を表明した元気会と統一会派を組んでいる参院では、どう対応するのか。元気会は「維新側と無理やりすり合わせて同じ方向に持っていくことはない」(松田氏)との姿勢を崩していない。一体、何を「統一」しているのか全く理解できない。
そんな維新の党と決裂したおおさか維新の会にとって今国会が初の本格論戦の場となる。にもかかわらず、8日の衆院予算委員会を突如欠席した。理由として、おおさか維新の会を野党と認めない民主党によって質問時間が不当に削減されたからだ、と主張した。
おおさか維新の会は維新の党時代から、異論があっても議論に参加することを基本姿勢とし、審議拒否を強烈に嫌っていたはずだ。質問時間が少ないことへの抗議とはいえ、論戦初日の8日の予算委を欠席したのは、本来の姿勢と矛盾する。
そうした野党各党の常識では理解できない一連の言動が、自民党「1強」の構図を作り出していることは間違いない。
なぶり殺しにされても平和を唱えて武力に頼らないと言うならそれはそれで見識だろう。でも、そんなことはご免こうむる。戦争を仕掛けに行くことはないが、急迫不正の侵害には武力の行使もやむを得ないだろう。大体、この手の市民と言う連中はすぐに米国の戦争に巻き込まれると言うが、旧ソ連やロシア、そして中国の戦争はどうなんだ。
また、今の維新と言う政党の政治家は選挙で票が取れそうなところへと渡り歩いている連中だから政治理念も何もない。票が取れそうな政党、団体、それがすべてだ。民主党から袂を分かったかと思えば、民主党に擦り寄って行く節操のない連中だからこんな連中に信条や理念を求めること自体がチャンチャラおかしい。
Posted at 2016/01/17 22:56:56 | |
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政治 | 日記
2016年01月17日
バイクの免許を取って卒業して行く教習生には必ずプロテクターをつけるようにお願いしている。プロテクターを着けていれば大丈夫と言うことはないが、あるとないでは大違いだ。
以前、小型二輪ATの教習中に速度を出し過ぎてコーナーでこけた教習生がいた。かなりの速度で派手にこけたので、それでも30キロくらいだが、びっくりして駆け出して行ったが、教習中はがっちりプロテクターを装着しているのですり傷一つ負わなかった。あれからプロテクターはそれなりに効果があると思っている。
バイクで事故れば体が当たるのは路面のコンクリートか相手の車の鉄板か、いずれにしても生身の人間よりもはるかに硬いものばかりでそれでは体なんか持つわけない。こけたり事故ったりしてまず当たるのは肘膝、そして胸、飛ばされれば背中、どれを取っても痛そうだし、胸を強打すれば心肺機能を損傷して命を落とすかも知れないし、脊椎を損傷すればそこから下の機能を失うかもしれない。
手足なら死ぬことはないだろうが、ひざ、ひじ、すねなど鳥肌が立ちそうなくらい痛そうだし、やはり障害を負うかもしれない。骨盤も尾てい骨も厳しいものがありそうだが、脊椎プロテクターを着けていればそれなりに何とかなりそうだ。面倒だが、着けるに越したことはない。
ところでプロテクターの耐用年数ってどの程度なんだろうか。ヘルメットは3年とでかでかと書いてあるが、プロテクターは特にそう言う記載はない。装着用ストラップの寿命がプロテクターの寿命だろうか。樹脂だから経年劣化で強度が弱くなるだろう。
そんなわけで最初に購入したボディプロテクターを買い換えようかと思う。1万円程度なのでそう高価でもないし、CE規格とかのものに買い換えようと思う。金で買える安全にはそれなりに金をかけておく方が良いだろう。安全運転が第一だが、それでも事故は起きる時は起きる。万が一の保険のために出来る手は打っておいた方が良い。
Posted at 2016/01/17 22:54:56 | |
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バイク | 日記
2016年01月16日
「実はね、僕はちょっと組織をいじろうと思っているんだ。役員も年齢で抜ける人がいるんでその補充もしなくてはいけないんだが、それよりも新しい分野へ進出したり新しい商品を企画したりしていかないと漫然とこれまでのやり方を続けていたのではこの世界も淘汰が激しくなって食われてしまう。
それで今回『市場調査・商品企画室』というのを新設しようと思う。冴子には取締役格でその室長を務めてもらいたいんだ。」
「すごいじゃない、取締役企画室長ね。」
自分がそうなるわけでもないのに何だか一番喜んでいるのは女土方だった。
「ただし役員格で室長と言うとそれなりに部下がつく。それをまとめていくのは能力もそうだが、それなりに人格が伴わないと部下がついてこないし使われる部下が気の毒だ。今の冴子には能力は十分に備わっていると思うが、部下を惹き付けて引っ張っていく人柄に不安がある。若しも冴子がどうしてもと言うのなら外部からの招聘も含めて他の人材を考えてみるが、僕としては冴子に引き受けて欲しいと思う。どうだろう、引き受けてくれるか、冴子。」
「私いきなりそう言われても自信がないわ。」
北の政所様は柄にもなく弱気なことを言った。
「スタッフにはそれなりの人選をする。例えば主任企画員は佐山さん、主任調査分析員は伊藤さん、それ以外にもスタッフをつけて十人前後でスタートさせたい。どうかな、この案は。」
今度はいきなり指名された僕と女土方が仰天してしまった。まあこれは抜擢には違いないがこともあろうに北の政所様の配下とは。
「どうかな、佐山さん、伊藤さん、冴子を助けてやってくれないだろうか。冴子の力になってくれそうな人材は僕が見る限り適任者は二人をおいては他にいないと思うんだ。」
「せっかくのお話ですが、私は少し考えさせてください。」
女土方は社長の推薦なのに間髪を入れずに撥ね付けた。
「私には自信がありません。以前にも森田さんとは一緒に仕事をしたことがありますが、私には思うようにお手伝いをすることが出来ませんでした。今回も同じことになると思います。ですからせっかくのご推薦ですが、他の方をお願いします。」
女土方は以前のトラブルが身に沁みているのか受け入れる素振りも見せなかった。
「佐山さんはどうかね、この話。」
社長は目標を僕に定めて話を振ってきた。
「私は昨日も言いましたが、仕事は個人と会社の間に交わされた契約だと思っています。だからやれと言われれば嫌だとは言いません。職場は仲良しクラブでも同好会でもないと思っています。だからその職場に私情を持ち込まないでいただきたいのです。精一杯仕事をしろ、ただそれだけでいいというのなら考えてみます。」
僕たち二人の言い分を北の政所様は黙って聞いていた。
「そこなんだよ、冴子に足りないところは。自分から他人の中に溶け込んでその人たちを取り込んでいくと言うところが。高いところに立って他人が近づいてくるのを待っている。まあ長い間僕たちが強く言わなかったのも悪いんだが。今回取締役に推薦するにあたって冴子に考えて欲しかったのはそのことなんだ。」
北の政所様は両手で顔を覆って黙り込んでいた。この話は北の政所様にとって決して悪い話ではないと思った。一緒に仕事をしたことのない僕には分からないが、秘書からいきなり取締役にしてくれると言うのだから社長自身も北の政所様の能力をそれなりに評価しているんだろう。
「私にはどうすればいいのか分からないわ。」
顔を覆っていた手を下ろして涙で滲んだ顔を上げた北の政所様はテーブルの上に置かれた缶を取り上げてビールを一口飲んだ。
「もしも引き受けたら私の人選は聞いてもらえるんですか。加賀美さんとか安田さんとかそういう人を入れてもらえるんですか。」
加賀美とは昨日の晩にけつを蹴った総務の係長で安田は馬の骨氏の愛人だった。
「その人選はネガティブだな。彼女達には今回の企画に求められている能力はないよ。」
社長は意図も簡単に二人を切って捨てた。温厚なだけが取り柄かと思っていたこの社長もなかなか鋭い観察力を有していたようだ。もっともそうでないと会社が潰れてしまうかも知れないが。
「佐山さんと伊藤さんは絶対条件だ。この二人は譲れない。総務格の副室長もつける。その他に企画三、四人、市場調査三人くらいの体制を考えている。とにかく今まで進出したことのない未知な分野の可能性を探って商品を提案して欲しいんだ。」
『何だ、それはもう決定事項かい。打診じゃないじゃないか。』
それを僕以上に強く感じて反発したのは女土方だった。
「私はその配置を承諾したわけではありません。再考をお願いします。私情を職場に持ち込んで他人を攻撃するような人を上司としてその下で働くことは私には納得が出来ません。」
「困ったなあ。そんなに強硬に拒否されるなんて。」
社長はあまり困った様子もなく口では「困った、困った」を繰り返した。
「当然いろいろと感情的なしがらみがあったんだからお互い急に素直な気持ちになれないのは当然だと思う。そこで今日ここで話し合ってもらいたいんだ。そして何とか妥協点を見つけて欲しい。」
そうかそういうことだったのか。経営者なんてずい分知恵が回るものだ。そんな企みが裏にあるとは思わなかった。わざわざ部屋を取ったのもこのためか。無駄には金を使わないのが経営者と言うことか。それでも話がまとまると言う保証もない。まとまらなければ無駄使いだけれど本来投資と言うのはそういう類のものなんだろう。
「さあ飲んで、飲んで。」
社長は僕たちから何とか打開の言葉を引き出そうとしきりに酒を勧めた。でも飲んだからと言って話がまとまるものでもなかろう。もっとこじれてしまうことだってあるだろう。社長としては何とか僕たちの本音を引き出したいようだった。本音さえ引き出せば対応のしようもあるからだった。何を考えているのか分からないのでは何ともしようがない。
「なあ、伊藤さん、さっきはあんなに冴子の肩を持ったのにどうしてもだめなのか。何とか冴子を助けてやってもらえないだろうか。」
女土方は黙ったまま首を横に振った。
「冴子、お前はどうなんだ。いい加減に頑なな態度を改めて和解する気はないのか。」
北の政所様も顔を横に向けたまま黙り込んでいた。どうも形勢は社長に不利に動いているようだった。
「佐山さんはどう思う。」
打開策が見出せないまま社長は話を僕に振って来た。もしかしたら社長は僕を一番与し易しと判断したのかも知れない。
「私はさっきも話したとおり仕事に私情を持ち込んでトラブルを起こしたくありませんからお互いにそれさえ守っていけるのなら、それ以上特に希望することはありません。会社と個人は利益共同体です。それは昔の様に終身雇用ではなくなってきているのでこの会社に一生と言うわけでもないのでしょうけどそれでも会社が利益を上げるかどうかは私達の生活に大きな影響力を持っています。
何でも会社の意思決定が全て正しいと言うわけでもないのでしょうが今回の社長の考えは私にも賛同出来るものだと思います。それを実現するために会社が人事配置をしようというのならそれはもう個人の問題ではなく組織の問題だと思っていますから最終的には発令があればそれに従います。」
社長は黙って頷いた。女土方と北の政所様は下を向いたまま何も言わなかった。
「そう言ってもらえると会社を預かる者としては大変ありがたい。お二人はどうかな。」
「何と言われても私は森田さんの下で仕事をするのはお断りします。」
女土方は相変わらず頑なに拒否した。
「そんなに嫌わなくてもいいじゃない。私だってあなたがそういう趣向の人と知っていたらあんなことはしなかったわ。あの頃あの人私にちょっかいを出していたのにそれなのに彼はまたあなたの方を向くから。悔しかったのよ、それが。でもクライアントさんだからあの人にあたる訳にもいかないでしょう。だからあなたに。悪かったわ、謝るわよ。」
ビール缶を突きながらそんなことを言い出した北の政所様に僕は笑い出してしまった。この女根は単純でそんなに悪い性格ではないのかもしれない。それにしても女土方が好感を持って語っていたそのクライアントもなかなか強かだ。北の政所様をまんまと手に入れてその上女土方もものにしようと企んだのだから。もっとも男なんて多かれ少なかれそんなもので頂けるのならみんな頂きますというのが本音かも知れない。
「ねえ、もう許してあげたら。森田さんもああ言っているんだから。良く話し合って付き合ってみれば森田さんて案外悪い人ではないのかもしれないわよ。」
「森田さんの言うことが本当ならあの人も酷い人ね。でも今は私には分からないわ、どう判断していいのか。」
「彼はね、」
北の政所様が堰を切った様に話し出した。
「最初は私に近づいて『お前と一緒にいると落ち着く。若い頃とは違って男女も価値観や年齢が接近している方がしっくりいく。』なんて言っていたのに急に伊藤さんの方を向き始めたでしょう。私だって女としての魅力では負けないと思うけど年齢のことはどうしようもないでしょう。やっぱり若い人の方がいいのかなんて考えると何だか悔しくて。それを向けるところが伊藤さんしかなかったのよ。」
僕と社長は思わず顔を見合わせてしまった。涙さえ浮かべて話す北の政所様を見ているとどうも彼女は本当にそのクライアントとの結婚を考えていた様子だった。そして北の政所様と女土方の二股掛けようとした男の気持ちは勿論分からないでもなかったし北の政所様のやりきれない悔しさも察するに余りあった。そして何より一番迷惑を被ったのはどう見ても女土方だった。
「森田さんの言うことは分かったわ。でももう少し考えさせてください。わだかまりを捨てて急に気持ちを切り替えるなんてすぐには出来ないわ。」
「追々分かり合えばいいさ。時間はたっぷりあるんだから。」
社長は計画が自分の思う方向へと進んでいるのがうれしそうだった。
「とにかくこれでスタートラインに並んだことだしもう一度乾杯だ。さあさあ、皆グラスを持って。」
足並みが揃ったとはお世辞にも言えない状態だったが、とにかく新しい仕事に向けて緒についたと言えばそうかも知れなかった。
「しかし女性にこんなことを言ってはしかられるだろうけど佐山さんと話していると同性と向き合っているような気がする。考え方なんかどうも男以上に男らしいというか男そのもののような感覚を受けるな。」
「そうね、佐山さん、あなたって何だか本当に変わったわね。こんなこと言ったら失礼かも知れないけどあなたってそんなに強くなかった様に思うわ。かわいらしい女性っていう感じで。」
この種の質問を受けた時にはもう微笑みと沈黙で対応する以外にはなかった。実際中身が男なのだから元の佐山芳恵とはずいぶん変わったことだろう。でも今はこれが佐山芳恵なんだからそれで納得してもらわないと困ってしまう。
Posted at 2016/01/16 15:42:33 | |
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小説 | 日記
2016年01月16日
永田町で取材をしていると、「常識とはなんぞや」と感じることが多い。今年も最初からその連続だった。
正月気分も抜けない1月4日、早々と通常国会が召集された。天皇陛下をお迎えして参院本会議場で行われる開会式に、共産党の志位和夫委員長ら幹部6人が出席した。共産党議員の開会式出席は昭和22年以来で、約69年ぶりとなった。本会議場の志位氏らは天皇陛下をお迎えする際に起立し、頭を下げ、他党の議員と同様の振る舞いだった。
国会議員が開会式に出席するのは「当たり前だ」と思っていた。だが、少なくとも共産党にとっては常識でなかった。いわく、天皇陛下のお言葉には政治的な発言が含まれ、「高い玉座からお言葉を賜る」(志位氏)という形式に反対だったからだという。
ところが今回、天皇陛下のお言葉が「ここ三十数年は儀礼的、形式的な発言が慣例として定着した」(志位氏)と判断し、方針を転換した。ならば昨年から出席してもよかったのに、なぜ今年からなのか。安全保障関連法の廃止を目指す野党連立政権「国民連合政府」構想を提唱する共産党にとって、他党の「共産党アレルギー」を払拭する狙いがあるのは明らかだ。
志位氏は開会式後の記者会見で「私たちは一貫している。現行憲法の国民主権、主権在民、そして天皇の制度については国政に関する権能を有さないという制限条項を厳格に守ろうと。この1点でこれまでも対応してきたし、これからも対応する。変わらない」と説明した。「なぜ今回からなのか」の説明になっていないが、開会式での所作に関する次の言葉にはもっと驚いた。
「衆院議長にしろ、天皇にしろ、礼をしたときに私たちも礼をした。人間として当たり前だ」
礼をするのが当たり前ならば、公の場で天皇陛下を「天皇」と呼ばないことも当たり前ではないか。呼び捨てにする感覚は、少なくとも私にはない。志位氏が「厳格な順守」を訴える憲法の第1条には、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」とある。天皇陛下を尊重しない姿勢は国民をないがしろにすることにつながり、憲法の精神にもとる。このことからしても志位氏の言うところの「当たり前」を共有できない。
さらに驚くべきことは2日後に起こった。北朝鮮の核実験への反応だ。安倍晋三首相のみならず、民主党の岡田克也代表も、維新の党の松野頼久代表も、一様に「重大な脅威」との表現を使って北朝鮮を厳しく非難した。
しかし、志位氏が6日に出した談話は、「暴挙」や「糾弾」などの表現はあったが、「脅威」という文言はなかった。紙で出した談話では言葉足らずだったのかもしれない。しかし、穀田恵二国対委員長も6日の記者会見で「脅威」との言葉を使わず、「けしからん話だ」と述べるにとどまった。
それもそのはず。志位氏は昨年11月のテレビ東京番組で、安保関連法を批判する文脈で「アフガニスタン、IS(イスラム教スンニ派過激組織『イスラム国』)、南スーダンのPKO(国連平和維持活動)の任務の拡大に実際は危ないところがある。北朝鮮の問題、中国の問題にリアルの危険があるのではない」と述べていた。
いくら安保関連法を「戦争法」と呼んで批判しているとはいえ、一般論として北朝鮮に脅威がないと本当に認識しているのだろうか。そんな認識の政党が「国民連合政府」を樹立しようとしているわけだ。
共産党幹部で最初に「脅威」に言及したのは小池晃政策委員長で、8日の記者会見で「この地域と世界の平和と安定に対する重大な脅威だ」と述べた。たったそれだけのことを表明するのに2日間も要したのが共産党だということがよく分かった。
共産党はこういう政党だ。一時は民主党よりもまともかと思ったが、まあ、いずれがあやめ杜若だろう。政策の方向性にぶれがないという点では民主党をはるかに上回るが、その方向性が問題だろう。方向性に関しては主義主張として何を掲げようと自由だが、・・。
天皇制にしても日本国民で天皇制を否定する者はそう多くはないだろう。東日本大震災で避難所を見舞ったバ菅は形式的にさっさと室内を歩いて帰ろうとして、「なんだ、もう帰るのか」と罵声を浴びていたが、両陛下はきちんとひざをついて被災者を激励されていた。また、昨年の鬼怒川豪雨災害の被災地見舞いでも雨が降る中傘も差さずに被害地に向い、深く礼をされていた。
そういう教育を受けておられるのかもしれないが、皇族、特に天皇皇后両陛下は神ではないが、我々よりもずっと神に近いところにいる人たちのように思う。日本の国家体系は立憲君主制で国家元首は天皇陛下なのだから敬意を以って接するべきだろう。公人が公の場で天皇などと呼び捨てにするのは以ての外である。
北朝鮮については仲間なんだから、「けしからん」とは言っても、「脅威」とは言わないだろう。
Posted at 2016/01/16 15:31:10 | |
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その他 | 日記