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2016年08月24日 イイね!

民進党にないのは信頼と蓮舫氏は言うが、・・。




民進党代表選(9月2日告示、15日投開票)に出馬表明している蓮舫代表代行(48)は23日、都内の日本外国特派員協会で会見し「私が代表になり、党のイメージを思いっきり変えたい」と訴えた。岡田克也代表について「大好きだが、本当につまらない男」と述べるなど、党の印象刷新を意識した発言が続いた。リオ五輪閉会式で、スーパーマリオのコスプレになった安倍晋三首相が注目される中、自身にはユニークさがあるとも強調した。

 

蓮舫氏は、いつになく毒舌だった。旧民主党政権の閣僚で登場以来、6年ぶりの同協会での会見。「下野したら、声もかけてくれなかった」と、笑った。

 

「参院選や都知事選、リオ五輪応援の戦いは終わったが、私の戦いはまだ終わらない」と自己紹介。「(代表になれば)民進党のイメージを思い切り変えたい。ここは編集しないでほしい」と断った上で、「私は岡田克也代表が大好きですが、1年半いっしょにいて、本当につまらない男だと思いました」と指摘した。

 

蓮舫氏は岡田氏の髪形を指南するなど、イメージアップに協力してきたが、党の支持は低迷が続く。真面目な岡田氏率いる党の印象を変えたいのか、「人間にはユニークが必要。私にはそれがある」とも訴えた。

 

岡田氏ら執行部は、代表選で蓮舫氏を支持するとみられる。蓮舫氏のイメージ刷新宣言は、自身のさらなる支持拡大につなげたい思いもあるようだ。「つまらない男」発言に関して、蓮舫氏は自身のツイッターで「(岡田氏の)ユーモアのない真面目さを現場で伝えたかった」と記した。

 

一方、蓮舫氏は首相にも言及。「3年半前、アベノミクスは素晴らしいと思った。我々ができなかったことをやった」とほめつつ、「昭和の時代には通じた政策も、今は通じない。3年半の実験で見事に示してくれた」と突き落とした。

 

ただ、その首相は、リオ閉会式のアベマリオで世界に注目された。民進党は、「先出しじゃんけん」の蓮舫氏以外、代表選の対抗馬も定まらず、告示まで10日を切る中、盛り上がりに欠けるのが現実だ。安倍自民党との「格差」が広がる中、「残念ながら民進党にないのが、信頼だ」と蓮舫氏。「自民党は4割、我々は1割しか支持率がない。時間がかかっても信頼を取り戻し、選んでもらえる政党にすることが第1歩」と、話した。




まあ、ユニークと言えばユニークではあるな。代表になる前から他人をこき下ろすのは一流だが、どうなのかねえ。民進党にないものは「信頼」だって・・・?それよりも民進党にあるのは選挙に当選したいと言う強い強い一念だけじゃないのかねえ。誰が党首とかそういう問題じゃないように思うけどねえ。まあ、がんばって、・・。


Posted at 2016/08/24 16:16:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治 | 日記
2016年08月23日 イイね!

翼の向こうに(8)




私は自分の職務と良心の葛藤に悩む佐山少佐の真実の姿を垣間見て、この軍人に好意を感じ始めていた。


「次官、何とかおっしゃってください。どうか私を前線へ。死に場所を与えてください。」

 
腕を組んで黙っている次官に佐山少佐はなお食い下がった。


「次官、お願いします。」


「副官、そんなに『死ぬ、死ぬ。』と言うな。大体僕にそんな人事権はないよ。そんなに皆が死んでしまったら、これからの日本はどうなってしまうんだ。戦争はまだ続くだろうが、何時か必ず終わるんだ。みんながそんなに死に急いで誰もいなくなったらその後の日本の再建を一体誰がやるんだ。

 
今日は色々な意見を聞かせてもらって久し振りに楽しかった。この頃日本の行く末が案ぜられたが、真剣にこの国のことを考えている若者が大勢いることを知って安心した。僕達の力が至らなかったために、この国を亡国の危機にまで追い込んでしまったことは誠に申し訳ないと思う。武田中尉、高瀬中尉、君達の意見は大いに参考になった。ただどのように優秀な兵器でも、どんなに巧妙に考えられた制度にしても、それを使うのは人間であり、その人間の意識が変わらなければ結果は同じことになってしまうことを忘れないで欲しい。

 
また真実を見極めると言っても、その真実も見る範囲を変えれば、真実はその範囲によって変わってしまうことを肝に銘じておかなければいけない。軍という組織に限って言えば、軍の目的は戦闘に勝利することだが、国家というさらに大きな組織の中での軍の役割ということになると、その目的は国家と国民の安全を確保することで、戦闘に勝つことはそのための手段というように、当然のことだが見方を変えれば結論は変化してくる。

 
大きく目を開けて世の中を見て、その中での自己の位置付けを考えながら自分が何をしなければならないかを考えるべきだろう。日本は国際社会での協調か、国内勢力相互の調和か、いずれか一つを選択しなければならない二律背反する命題を背負った時、大きく目を開いて内外の情勢を客観的に分析することなく安易に内に和を求めてしまった。それを止める立場にありながら止められなかった我々こそ罪万死に値するのかもしれない。

 
君達にはまだまだこれからも苦労をかけるが、どうか生きられる命を粗末にせずに御国のために力を尽くして欲しい。今日は久し振りに楽しかった。いい意見を聞かせてもらった。ここのことは女将に話しておくから遠慮しないでゆっくりやってくれ。」

 
次官が腰を上げようとするのを見て、私達はまた弾かれたように立ち上がって不動の姿勢を取った。


「命を大切にしろ。君達を必要とする時代がまた必ずやって来る。無駄に命を捨てるな。」

 
出口で立ち止まって私達の方を振り向いた次官はもう一度まるで子供に噛んで含めるようにそう言った。

 
次官と佐山少佐が部屋を出て行くと私達は肺の中の空気をすべて絞り出してしまうくらい深い溜め息をついた。そしてそのまま畳の上に仰向けに転がった。


「よくあれだけ物を言ったものだな、お互いに。へたをすれば軍法会議、良くても真っ先に特攻指名だぜ。」

 
高瀬は寝転んだままゆっくりと深く息をしながら「まあ大丈夫だろう。」と一言呟いてから突然起き上がって廊下に向かって大声で叫んだ。


「おーい、酒を持ってきてくれ。それと何か旨いものを。」

 
そして今度は私の方に向き直った。


「軍法会議でも特攻でも何でも構うもんか。おい、武田、どっちにしても遅かれ早かれ死ぬことに変わりはないんだ。さあ飲むぞ。今日は思い切り飲むぞ。言いたいことも言えず、酒も飲めずに死んでいった奴等のためにも思い切り飲んでやるぞ。」

 
真摯な態度でこの戦争と日本の指導部の非を訴えていた高瀬は打って変わったように酒を煽り始めた。


「女将、女将、女を呼んでくれ。」

 
高瀬は酒を注いだコップを揺すりながら廊下に向かって大声で叫んだ。


「そんなに飲んで大丈夫か。」

 
私は高瀬に向かってたしなめるつもりで言った。


「突然、『貴様は死んで来い。』と命令されて、それでも一言の恨みつらみも言わず、我々に気を使って笑顔を絶やさずに死んでいった奴等を毎日見続けていてみろ。いい加減、酒でも飲みたくなるさ。」

 
高瀬は酒を煽った後のコップを叩き付けるようにテーブルに置いた。


「失礼します。」

 
外で女の声が響いた。


「おお、入れ、入れ。」

 
高瀬は手を延ばして襖を開けると女を招き入れた。形通り三指をついて挨拶をした二人の女は、すぐにそれぞれ別れて私達の側に座ると、これもまた形式通り首を少し傾げて科を作って見せて酒を勧めた。


「お前達、今夜は泊まっていけるんだろうな。金なら幾らでもあるぞ。」

 
高瀬は自分の横に座った女の肩に手をかけると自分の方へ抱き寄せた。


「お客さん、海軍さん?そんなに慌てないでゆっくり飲みましょうよ。」

 
女は慣れ切った仕種で高瀬の手を擦り抜けると、銚子を手に取って高瀬に酒を勧めた。そして高瀬もそれ以上口説くでもなく、ただ勧められるままに杯を重ねていた。


「武田、」

 
思い出したように高瀬が私を呼んだ。


「本当に実戦はまだなのか。」


「ああ。」

 
少し気の抜けたビールで喉を湿らせてから高瀬に答えた。


「偵察に来たB公を追いかけたことはあるが、ずっと高いところを白い飛行機雲を引きながら飛んで行くのを一度見ただけだ。八千位まで上がったが、とても追いつかなかった。発動機が息をついてしまって。」


「先に高度を取って奴等が来るのを待っていないと、とても追いつけないよ。それでも一撃かけるのが精一杯だ。悲しいけどそれが今の帝国海軍の限界さ。」

 
高瀬は杯を煽った。


「どこか別の部屋はあるか。」

 
杯を置くと高瀬は女を振り返った。女は応える代わりに微笑みかえした。


「ここを使えばいい。俺は宿舎に帰る。」


「堅いこというな、貴様の彼女だってその気になってるぜ。こんな時代に軍人が金を使わなければ、一体誰が金を使えるんだ。人助けみたいなもんだよ、これも。さあ、堅い顔していないで飲み直しだ、飲み直し。」

 
私は高瀬に押し止められて、渋々上げかけた腰をもう一度下ろした。やや年配の女は私が腰を下ろしたのを見て体を寄せて私に微笑みかけた。きらいなタイプの女ではなかったが、今この時も太平洋の各地で味方がその体を盾に戦闘を繰り広げているかと思うと女を抱く気には容易にならなかった。


「高瀬、俺達は海軍次官にあれだけ言いたいことを言ったが、結局どれもこれも後知恵じゃなかったのかな。後知恵でものを言うのなら、そこそこの教育を受けた者なら誰でも言えるんじゃないのか。」

 
女に持たれかかってふやけた顔をして笑っていた高瀬の目が急に険しくなった。


Posted at 2016/08/23 22:19:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説2 | 日記
2016年08月23日 イイね!

大型二輪に乗ろう(四輪は何にしようかねえ、・・。)




今週末に能登方面へのロングツーリングを計画していたのだが、週後半からどうも全国的に天気がよろしくない。秋の長雨シーズンに入るのか、夏も終わりのようだ。出先で降られるのはやむを得ないが、雨と分かっていて長距離のツーリングは組みたくない。




今年はあと2回くらい遠出したいと思っているのだが、9月、10月と11月前半くらいまでは機会があるだろう。雪が降ったら大型のバイクはお手上げだからねえ。




そんなわけで週末まではまだ少し間があるが、四輪をどうするか決めようと思う。これまではトヨタのディーラーさんとお付き合いをしてきたので今回もG’sのヴィッツにでもしようかと思っていたのだが、今の車と同じ1Nエンジンでそれなりにボディや足回りは補強されてはいるが、基本的には同じものになるだろう。




もうドアが4枚ある必要もないし、5人が乗れる必要もない。大荷物を積むこともない。だったらもっと他にあるんじゃないかと言うことで探してみたらダイハツのコペンがあった。他にもフィアットの500とかスマートとかいろいろあるようだ。ロータスもいいのだが、ちょっとお高い。




何よりも軽だと税金が10,500円と言うのがいい。Cカーで34,500円も税金を取られるのは癪に障る。トヨタのディーラーさんは非常に残念だったようだが、こっちも長い付き合いだったので適当な車があればそれで良かったのだが、これと言うのがないのでは仕方がない。MR-Sとか残しておいてくれればねえ。




ただコペンもかなり狭い。2シーターで頭も狭いが、幅も狭い。背高箱型ベンチシートが標準の軽の中では、S660、アルトワークスと並んで特異な存在だろう。その3車種もそれぞれ全く性格が違うが、・・。




値段も結構高い。見積もりしたディーラーの販売員が、「うわ、こんな高い見積もりやったことねえなあ」と驚いていた。軽としてはと言うことで一般には普通だと思うけど、・・。




動力性能はターボエンジンとは言っても何しろCB1300の半分しか排気量のない軽なので加速はバイクに任せようと思う。レカロのシート、LSDにビルシュタインのショックと言うが、リアはリジットのサスでブレーキはドラムだ。まあ、軽のスペシャルティと言うところだろうか。




HVも未体験なのでアクアと言う選択もあるし、もう1回車検を取ると言う選択もある。まあ、期限が迫っているのでちょっと考えよう。ただ、四輪にあまり興味がなくなってしまったのでねえ。軽トラでもいいかなとも思うが、・・。




Posted at 2016/08/23 15:48:17 | コメント(0) | トラックバック(0) | バイク | 日記
2016年08月23日 イイね!

海の狂犬、「お手」を覚える。




南極海で調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所(東京都中央区)は23日、米国の反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」とSS創始者のポール・ワトソン容疑者(国際手配)との間で、日本側の調査船に対する妨害行為を永久に行わないことなどを柱とする米連邦地裁での調停で合意に達したことを明らかにした。

 

鯨研は妨害行為の中止を求めて2011年に米ワシントン州の連邦地裁に訴訟を起こしており、これが決着した形となる。

 

鯨研によると、シー・シェパードとワトソン容疑者は合意に基づき、調査船への攻撃や安全を脅かす航行のほか、公海上で調査船の約450メートル以内に接近することなどが禁止される。




海の狂犬、やっとおとなしくなったか。相当に手荒くしつけたのかねえ。こういった連中のバックグラウンドは何なんだろうねえ。船を出して追いかけるんだから金がかかるだろうに、・・。変な船も作ったし、・・。


Posted at 2016/08/23 15:46:16 | コメント(0) | トラックバック(0) | 政治 | 日記
2016年08月22日 イイね!

翼の向こうに(7)




「軍は戦闘集団だ。軍の目的は戦闘によって敵を撃破して、その戦闘に勝つことにある。その軍の目的が戦わないことというのはどういうことだ。」

 
佐山少佐が身を乗り出すようにして私に聞き返した。


「たとえどのような崇高な理由を掲げても、戦争に勝っても負けても戦争が生み出すものは破壊と殺戮とそして戦争に巻き込まれ、心を切り刻まれるような悲しみを背負わされた人達の嘆きの叫びだけです。その戦争を抑止するのが軍の任務であるのなら軍は戦ってはならないのだと考えます。

 
一見矛盾しているようですが、軍が厳しい訓練に耐えて精鋭無比の強力な戦闘集団を作り上げるその目的は、その存在自体によって戦争を防止するためであって自らが戦うためではありません。

 
戦って勝つために厳しい訓練に耐えながら、それでいて戦うなというのは大きな矛盾であると思いますし、軍人としてはとても辛いことだと思います。しかし軍隊というものは人間が人間であるが故に持っている矛盾の中から生まれてきたものではないでしょうか。

 
もしも軍が立ち上がって戦わなければならない場合があるとしたら、それは真に国土が他国の武力に蹂躙されて国民の生命が危機に瀕している時のみで、それ以外にはあってはならないと思います。」

 
次官は相変わらず自分の意見は何もいわずに黙っていたが、高瀬の方を向き直ると「君はどうか。」と促した。


「基本的に国家が和戦の決定するのは政治の問題であって軍自体が決定すべき問題ではありません。戦えという命令が下がれば、どんな状況でも戦わなければなりません。その点で軍に選択の余地はありません。いえ、軍に和戦についての決定権を与えてはいけないのだと思います。軍が和戦の決定権を握った結果がこの戦争です。陸軍の恫喝に行政府と立法府が屈した時、これを押し止めることができるのは同じ武力を備えた海軍のみでした。しかし、海軍は周囲に対して負の和を求めて、陸軍を押し止めることもなく、かえって陸軍に引き摺られて、この戦争に突入してしまいました。

 
私は兵学校や士官学校出の職業軍人ではありません。ですから職業軍人のような覚悟も潔さも持ち合わせてはいません。それでも自分の置かれた立場を理解することは出来ますし、その立場に応じた義務を果たさなければならないことを弁えるくらいの責任感は持ち合わせています。

 
ただ『戦え。死ね。』というのなら、行政府はそれなりの納得のいく理由を我々に示してから戦争を始めて欲しいのです。そして軍も合理的な根拠のある命令を下して欲しいのです。始めから勝てる見込みのない戦を始めておいて当然の帰結として合理的な戦闘などしたくともできなくなるほどに追い詰められて、そのうえ、ただ『死ね、死ね。』とヒステリックに叫ぶような命令を下し続けることだけはやめて欲しいのです。

 
これだけのことを次官に聞いていただけた私達はまだ幸せです。大勢の若者が何故自分が死ななければならないのか、その理由も示されないまま死んでいるのです。

 
死が何よりも恐ろしいものであることは誰にとっても同じです。皆、自分が死ななければならない理由を求め、あるいは死を納得し得るものとして受け入れるために心の中で呻吟しながら、それでもそんな苦悩は顔には出さずに笑って死んでいくのです。

 
軍はこれからも人間の社会の中に存在し続けるでしょう。それをどのように統制して機能させていくかは、人間に与えられた重い課題になると思います。それは軍を制御するということではなく人間が自分自身をどう制御していくかということなのかも知れません。」

 
高瀬の言葉が途切れるとまた沈黙が続き、しばらくは言葉を発するものはなかった。沈んだ静かさが部屋の中に充満していた。その静かさを引き裂くような悲痛な声で言葉を発したのは佐山少佐だった。


「次官、一体どうすればいいのでしょうか。私達は出来得る限りのことをして、この戦争を戦ってきました。その間大勢の若者を死なせてきました。それは他でもありません。陛下とそして日本のためだと信じていたからです。しかし戦局は好転するどころか、敵の物量に押しまくられて悪化するばかりです。海軍はもう敵に決戦を挑む艦隊さえなくしてしまいました。

 
このままでは陛下にも、死んでいった戦友達にも申し訳が立ちません。何とか敵に大打撃を与えて、せめて有利な条件で講和に持ち込まなくては。しかしそう思っても彼等の言うとおりで、自分にはどうしたらよいのか見当さえ付きません。

 
敵の本土への空襲も徐々に激化してきており、交通手段も生産手段も破壊され、軍事物資、民生物資の生産、移動は思うに任せず、何よりも物を作るための資源を運んで来る輸送船は日本までの途中で皆撃沈されてしまいます。

 
南方資源地帯を確保して長期不敗体制を築くなどということが何の裏付けもない絵空事で、国家の安全について何の準備もしていなかったことが今更のように悔やまれます。陸軍は外の世界を見ることをしないで身内だけを見て誇大妄想に陥り、それを覚ます唯一の機会であったノモンハン事変の後でさえ、何等自らが内包している欠陥を見直して検討を加えることもありませんでした。そして我々海軍はその陸軍の引き摺られて戦争にのめり込み、ただいたずらに艦隊決戦を夢見るばかりで、南方資源地帯の確保と長期不敗などと言っても、その資源を安全に日本に運ぶための海上護衛など考えることもしませんでした。

 
我々は陸軍を馬鹿にしては毛嫌いしてきましたが、海軍にしても陸軍のことなど言えないかも知れません。ミッドウェイで負けた時も、その敗戦を覆い隠して目をそむけるだけで、あの大敗北に何の検討を加えることもしなければ何の反省も示しませんでした。その後は敵に先手を取られて引き摺り回され、いたずらに戦力を消耗し、気が付いた時には手も足も出ないところまで追い詰められていました。

 
元々この戦争計画からして、相手を見ずにこちらの都合だけで作ったようなもので、相手がこちらの都合どおりに動いてくれれば妙案だったのかも知れませんが、当たり前のごとくに相手はこちらの都合通りには動いてはくれませんでした。いえ、米英の国力を本当に認識してしまったら、支那との戦争で国力の底が見えてしまうような日本では、自分に都合のいいところだけを取り出して計画を立てなければ米英を相手に戦争をしようなどとは考えることも出来なかったので、ことさら相手を見ようとはしなかったのかも知れません。海軍は、米英が日本に侵攻してきた時に、侵攻してくる敵艦隊に痛撃を与えてその侵攻意図を挫くことを目的に整備建造されてきました。米英を向こうに回して、今回のような長期的な総力戦に耐え得るようには整備されていません。そんなことは誰にも明らかだったことです。

 
それが都合のいいところだけをことさら強調した景気のいい話に乗せられて、何時の間にか誰もが現実を見ようとしなくなって、その景気のいい勇ましい架空の世界が現実と入れ代わってしまいました。そして一度そうなってしまうと架空の世界が先へ先へと勝手に拡がっていってしまって誰にも止められなくなってしまいました。そんな時に現実の話などしようものなら、非国民、国賊、いえ、狂人扱いです。

 
彼等の言うとおり、そんな中で『海軍は、日本を武力で侵略しようとする国に対しては、たとえその国がいかに強大であっても全滅を賭して死力を尽くして戦うが、米英を同時に相手にして総力戦を戦い抜くようには整備されていない。しかも米英は日本に直接侵略を企てているわけではない。外交交渉の余地は未だ残っている。海軍は国家と国民を危うくするような戦を戦うことは出来ない。』とはっきり言うことが出来る者は一人もいませんでした。和戦の決定は内閣に一任したとしても、海軍としては少なくとも事実は事実としてそのことをはっきり言明しておくべきでした。

 
もっと本当のことを言えば、海軍だけではなく、陸軍にしても政財界にしても、そんな戦争を戦い抜く力は元々日本にはありはしなかったことは承知の上だったのです。

 
次官、真実をしっかりと見極めることは本当に難しいことです。しかし、周囲の事情にかかわらず言わなければいけない時にその真実をはっきりと口に出して言うことは更に難しいことだとつくづく分かりました。

 
私達は戦えば負けると分かっていながら、事実を事実としてはっきりと口に出して言う勇気がなかったばかりに先行きの恐ろしさを紛らわすために勇ましい言葉を口にして自身を叱咤して、日本をこんな戦火の中に巻き込んでしまい、大勢の人達に舐炭の苦しみを味わせてしまいました。その罪は万死に値します。

 
次官、どうか今の職を解いて私を前線に出してください。立派に戦って死んで見せます。このままでは陛下や国民に申し訳が立ちません。次官、お願いします。」

 
佐山少佐は我々が話に夢中になっている間にかなり杯を重ねていたらしく大分酔っている様子だった。しかし酒に飲まれている様子は微塵もなく、どちらかと言えば理性で押さえ付けていた本心が顔を覗かせたと言う感じだった。


『この人は偏った軍国思想を持った狂信的な主戦論者ではなく、ただ出来る限り職務に忠実であろうとしているために主戦論を唱えているだけで、本当はそれが間違っていることに気付いているのかもしれない。』


Posted at 2016/08/22 19:53:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説2 | 日記

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ntkd29です。CB1300スーパーボルドールに乗って11年、スーパーボルドールも2代目になりました。CB1300スーパーボルドール、切っても切れない相棒にな...
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