東京都議選告示直前に豊洲市場(江東区)移転の基本方針を表明した小池百合子知事は、築地市場(中央区)との共存を強く打ちだし、幅広い支持を狙ったとの見方もある。移転延期表明以降、市場行政の不透明さが明らかになったため、小池氏はこの日、情報公開を進めて検討すると強調した。一方、小池氏が任命した市場問題プロジェクトチーム(PT)が移転断念、築地市場再整備を強く推し着地点は一時迷走するなど、その手法には賛否両論がある。
この日、「築地を守る」と強調した小池氏は、ドイツの哲学者が提唱する「アウフヘーベン」を引用して「一旦立ち止まってより上の次元に」を目指し、方針とりまとめを急いだ。一方で、豊洲市場への視線は常に厳しいものだった。
移転延期表明から間もない昨年9月、小池氏は、土壌汚染対策として行われるはずだった盛り土が行われず、豊洲市場の地下が空洞になっていたことを発表。都の調査では、盛り土方針が変更された理由などが明らかにならず、行政プロセスのずさんさが際立った。
また、今年1月には豊洲市場の地下水から環境基準を超える有害物質を検出。開場予定が昨年11月だったため、移転派の業者からも「移転後に有害物質が出たといわれたら、豊洲が成り立たなくなっていた」との声も出た。小池氏は、専門家による無害化に向けた地下水対策取りまとめを待って、表明にかじを切った。
小池氏は会見で「豊洲市場の安全性を発信し風評被害を払拭する」とし、情報公開を進めて安心・安全への懸念に対応する構えだ。
移転延期で予想しなかった問題も出ている。豊洲市場開場に向けた設備投資を進めた業者に都は損失補償を決定。補償対象は業界全体で約310億円と見込まれているほか、同市場は使用しなくても1日の維持費が約500万円とされる。
また、築地跡地に造る予定だった2020年東京五輪・パラリンピックの幹線道路「環状2号」計画も移転延期で棚上げ。地下を通す予定だった環状2号建設を間に合わせるためには大幅な計画変更が必要だが、小池氏は会見で「五輪前に開通させる」と明言した。
「PTの存在が混迷を深めた」と指摘する関係者もいる。築地再整備案を強く推し、当時のPTメンバーが移転反対派の集会に参加するなど立場を超えた振る舞いもあるなど、検証過程に業者の疑念が深まった。
小池氏には「決められない」「時間をかけ過ぎている」などの批判があった上、都議選直前の表明には「ただの選挙対策」と冷めた目で見る向きがある。
小池氏は産経新聞の取材に、「(表明が)もっと遅いほうがよろしいんでしょうか」と気色ばんだ。
豊洲に戻すと言えば「そら見たことか。」と言われる。築地再整備と言えば豊洲移転を前提に準備をしてきた業者からの反発もあれば6千億の税金はどうするんだという批判も出かねない。結局人気を当て込んだ玉虫色の決着になったが、こんなことをしていると東京都もどこに飛んで行ってしまうか分からない。都民ファーストと言うが、自分の人気ファーストで政治をやったらどういう結果になるかこれも見ものではある。
Posted at 2017/06/21 10:50:05 | |
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