2018年07月09日
佐山芳恵再び、‥(^。^)y-.。o○(54)
「紹介いただいた方からはそのように聞いています。」
紹介いただいた方だって、・・。誰なんだ、それは、・・。うちの社長か。
「いずれにしてもよろしくお願いします。あの、これは私の好奇心なんですが、あなたは一体何者なんですか」
いきなりあなたは何者かと言われても答える術がない。
「ただのしがない中年女の英語屋です。」
どうもこれは紹介者がとんでもない人物のようだ。それが誰かと言えば金融翁かその周辺だろう。
その旨を言うと、「ああ、その繋がりなんですかね。連絡があったのが政府からなんで一体何者かとちょっと驚きました。そう言うつながりだったらそれもありかもしれませんね。」医者は納得したように笑顔を見せたが、こっちはそうはいかない。なんでこんなところに政府が出てくるんだ。知的美人は政府の重要人物なのか。それとも誰か大物政治家の子供とか、・・。まあ想像をたくましくしても切りがないので帰ったらしっかり確認しておこう。超セレブの世界は理解しがたい。
投薬を終えて診察費を払おうとすると「診察費は別にいただくことになっていますので結構です」と言う。別にって誰が払うんだろう。ますます怪しくなってきた。病院を出るとタクシーを拾って社に戻った。そして社に着くと真っ先に社長のところに行った。社長は僕の顔を見ると「どうだった」と言った。
「病状はカウンセリングを何回かしないと確定できないということですが、さほどの重大な状況でもないようです。何か病気の原因になるような心理的な問題があってそれで周期的なうつ症状を繰り返すのではないかと言っていました。男性依存もそれが原因のようですが、過度になり自分でコントロールできないといった状況でなければ問題はないそうです。」
僕は社長に医者から聞いたことを説明した。社長は「分かった、ごくろう様」ともうそれで放免の体だった。
「社長、お聞きしたいことがあります。あの女、いったい何者なんですか」
僕はいきなり単刀直入に聞いてやった。社長は「おっ」と言う感じで顔を上げた。
「誰から聞いたんだ」
「医者が私に『あなたは何者か』って、・・。政府から、政府ってたぶん内閣官房でしょうけど、紹介があったとか。」
社長はちょっと苦笑いの体ではあったがとんでもないことを言い始めた。
「実は僕も知らなかったんだけど彼女さる政治家さんの娘さんらしい。頭取に病院を紹介してもらおうと連絡したら『ちょっと待てよ。その名前聞き覚えがある』とか言われてね。それからしばらくしたら内閣官房の何とかいう補佐官から電話があって『予約が取れましたので』とか言ってきてね。」
僕は話を聞いているうちに腹が立ってきた。
「そんな人なら自分たちで面倒を見ればいいでしょう。面倒だから引き取ってもらいましょう。それでこっちはすべて解決でしょう。あとは親子で解決すればいいことじゃないですか。そうでしょう」
社長は僕がそう言うと非常に困った顔をした。どうもこれは裏がありそうだ。その時僕はなんだか嫌な予感がした。
「佐山さん、後で僕と一緒に頭取のところに行ってもらえないだろうか。そこに内閣官房からも人が来ることになっているんで、・・。」
「お断りします」
僕は即座に断った。
「私は社の業務と言うことで彼女のことを調べました。そして社の業務のうちと思って病院にも付き添いました。でもこれ以上は社の業務でも何でもありません。彼女の父親がだれであろうとそれは彼女と向こうの家族の問題です。私には全く関わり合いのないことです。」
「まさに佐山さんの言うとおりだ。一言もない。ただ何とかそこを枉げてお願いできないだろうか。僕の随行と言うことでも構わないんだが、・・。」
僕はなんだかさらに腹が立ってきた。
「お断りします。それは私の職務外のことですから。この件についてはこれ以上話し合う余地はありません。失礼します」
僕はそれだけ言うとさっさと社長室を出て部屋に帰った。そして部屋に入るとクレヨンと目が合ったが、やつめ、「ひっ」とかいうと飛び上がって女土方の後ろに隠れた。
「どうしたの、そんなに怖い顔をして。何があったの。社長からも電話があったわ。落ち着いたらもう一度来てくれって。」
「もう行く気はないわ。これ以上四の五の言うなら辞めてやるわ。」
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小説3 | 日記
Posted at
2018/07/09 16:31:49
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