政府の情報収集衛星・レーダー4号機などを搭載したH2Aロケット22号機が27日午後1時40分、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられた。衛星は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。正常に機能すれば、情報収集衛星は政府が目指す光学衛星、レーダー衛星各2基の4基体制による本格運用が初めて実現する。
情報収集衛星は北朝鮮の軍事施設などを監視する事実上の偵察衛星で、平成10年に導入が決まった。昨年末の北朝鮮によるミサイル発射や3度目の核実験の動きなどでその役割が高まる中で、計画から15年で本格運用の見通しとなった。
安倍晋三首相は「わが国の安全保障と危機管理を期するため、4基体制を最大限活用し情報収集を確実に行っていく」との談話を出した。
情報収集衛星は日中の晴天時に撮影する光学衛星と、夜間や曇りでも撮影できるレーダー衛星で構成。15年から順次打ち上げ、19年にいったん4基がそろったが、本稼働前にレーダー衛星が故障。光学、レーダーの各2基が同時に稼働し、地球上のどこでも1日1回撮影できる本格運用はこれまで実現していない。
レーダー4号機は稼働中の同3号機と同じ設計で、識別可能な物体の大きさは約1メートル。今後約3カ月かけて機能を確認する。開発費は243億円、打ち上げ費用は109億円。
26年度に打ち上げる光学5号機の性能確認用の実証機(開発費118億円)も今回、同時に打ち上げ予定軌道に乗せた。H2Aは16回連続の成功で、成功率は95・4%に向上し信頼性をさらに高めた。
やっと完成した情報衛星監視体制だが、解像度などは米国のものに比べるとまだまだの感がある。こうしたものに金を投じて制度を上げれば民間にも転用でき、すそ野の広い航空宇宙産業のこと、経済の活性化にも役立つのではないだろうか。
一方、H2Aは成功率95%を達成し、安定した衛星打ち上げロケットとなった。もう少しコストダウンが出来れば商業衛星打ち上げの国際競争にも参入できるだろう。しかし、安定した性能を誇るH2Aも能力の寿命を迎える時が来る。次に向けた技術開発も遅れを取ってはならないだろう。
Posted at 2013/01/28 22:42:38 | |
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