噴火によって多くの犠牲者を出した御嶽山(おんたけさん)では、11日も長野県警、消防、自衛隊が行方不明者の救助・捜索活動を続けた。
今回の救助・捜索活動をめぐっては、派遣された自衛隊やその装備について、一部から疑問の声が投げかけられた。警察、消防にはない能力を有する自衛隊の何がいけないというのだろうか。
「なぜ、御嶽山に自衛隊派遣なんだろ…。人が必要なら、むしろ警視庁や富山県警の機動隊や山岳警備隊の応援派遣をした方がよさそうな気もするが…」
噴火当日の27日、ジャーナリストの江川紹子さんが自身のツイッターでこうつぶやき、ネット上で批判を浴びた。
江川さんは2日後に「自衛隊を災害で派遣することに反対しているわけではありません」とつぶやき、前出のつぶやきを削除した。江川さんの真意を聞こうと9日に取材依頼したが、11日時点で返答はなかった。
御嶽山周辺で待機する陸上自衛隊の89式装甲戦闘車は人員を輸送する能力をもつが、機関砲を備えている外見にこだわって派遣を疑問視する報道が見られる。
陸自トップの岩田清文陸上幕僚長は9日の記者会見で、江川さんのツイッターをめぐる騒動について「初耳で承知しておりません。コメントのしようがありません」と困惑の表情を見せただけだったが、ある陸自幹部は「なんでそんなことを…」と絶句した。
御嶽山で活動する陸自と航空自衛隊は、11日時点で人員約330人、車両約90両、航空機16機の規模で働いている。
陸自の多用途ヘリコプターUH60は9月28日、標高3千メートルの厳しい条件下で23人を救助。CH47大型ヘリコプターも多くの人員や資機材を山頂近くまで送り届けている。
陸自はNBC(核・生物・化学)テロ対処能力を持つ中央特殊武器防護隊も派遣している。広範囲にわたって火山性有毒ガスの濃度を計測できる「化学剤監視装置」を用いて、自衛隊だけでなく警察、消防の救助・捜索活動を支援している。火山灰に埋もれた手がかりを探すのに使われている地雷探知機も、自衛隊ならではの装備だ。
一部で疑問視されている89式装甲戦闘車に関しても、陸自幹部は「普通の車両では、降り積もった火山灰を巻き込んで前へ進めない場合がある。キャタピラーで動く装甲戦闘車なら、火山灰の上でも動ける」と説明する。
もし、さらなる噴火があっても、噴石の直撃にも耐えられるし、気密性が高いため火山性有毒ガスからの緊急避難の場所としても使える。
内閣府が平成24年に行った「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」によると、「自衛隊が今後力を入れていく面」(複数回答)として「災害派遣」と答えた人はトップの76・3%だった。阪神大震災や東日本大震災での活躍で、自衛隊の役割には広範な国民の理解があるとはいえ、江川さんのツイッター騒動は、自衛隊への理解がなお十全ではないことを物語っている。
こういうことを言うのは全く何も知らないで感情的にものを言っているおバカか何らかの為にする理由があって言っているのかどちらかだろう。
まず警察の装備している車両は移動用で一般の市販車と何も変わらない。以前に普賢岳の噴火で交通規制をしていた警察車両が巻き込まれて警察官が殉職したが、警察の車両には基本的に何も防護装備は施されていない。噴石や火砕流には全く無力だ。
次に輸送力だが、警察のヘリは中型や小型でせいぜい7,8人の人間しか運べない。警視庁は大型のヘリを装備しているが、1機か2機程度だ。千人もの捜索隊員を山頂付近まで運ぶには丸1日かけても無理だろう。
また装備も基本的に人間が手で使う程度のものしか備えていない。スコップ、鶴嘴、チェーンソー、エンジンカッター、そんな程度で大型の土木機械などは何もない。帝国陸軍のように何でも人力だ。山頂の捜索は人海戦術だろうが、ガス検知器などもないだろう。これは消防も似たようなものだ。警察よりは少し機械力があるが、まあ、五十歩百歩というところだ。
自衛隊の輸送力は警察や消防とは比較にならない。また、不整地機動力も同様だ。装甲車は弾丸を防護するためにそれなりの装甲を施しているので噴石や火砕流にもある程度は耐えられるだろう。
東日本大震災の際もそうだが、こうした大災害に自衛隊抜きの救難活動など考えられない。大体、警察や消防はインフラが正常な状態での活動しか想定していないので自己完結能力がない。要するに食事や宿泊施設を自分たちでまかなうことができない。自衛隊と警察や消防では大人と赤ん坊ほどもその能力に差がある。
小規模な災害は別にして自衛隊の参加なしには災害救助、支援などは考えられない。それを自衛隊が行くことはないなどと言うのは被災者などどうでもいいと言うようなものだ。
Posted at 2014/10/12 22:18:46 | |
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