尖閣諸島(沖縄県石垣市)の周辺海域に中国が漁船約230隻を集結させたのは、日本の実効支配を崩すため新たなステージに踏み出そうとする習近平政権の明確な意思がうかがえる。南シナ海問題への関与を牽制(けんせい)する狙いもあるようだ。
政治的な背景から大量の中国漁船が尖閣諸島周辺に集まった例は過去にもある。日中平和友好条約締結のため国家指導者、トウ小平が来日する半年前の1978年4月に100隻以上の中国漁船が集結。一部の漁船は日本領海に侵入し、領有権問題の存在をアピールした。今回も漁船に乗り込んでいるのは「射撃などの軍事訓練を受けた漁民」(中国軍事研究者)で、中国当局や軍の意を受けて動く民兵の一種とみられる。
中国当局は安倍晋三政権の内閣改造を受けて「右傾化」を警戒。今後の南シナ海問題への関与強化に対抗する狙いもありそうだ。
先月12日に仲裁裁判所が南シナ海における中国の主権を全面的に否定する判断を示して以降も、中国は海洋進出の既成事実を積み重ねる姿勢を崩していない。中国が大量の船を送り込めば海上保安庁による対応は困難になる。中国は海上警備行動の発令を「軍事力の行使だ」として牽制しているが、日本側の毅然(きぜん)とした対応が求められている。
中国外務省の華春瑩報道官は6日、日本の抗議に対して「現在の状況に冷静に対応し、緊張を高める行動を取らないよう強烈に希望する」との声明を出した。
中国は新たな事態を作り出して日本の対応を窺っている。このまま日本が何もしなければこうした行動を既成事実化し、尖閣支配の足固めをするだろうし、逆に日本が何かしらの強硬手段に出ればそれを口実に日本を非難して自らの南シナ海問題をすり替えるだろう。また、機会があれば実力行使をして尖閣を取りにくるだろう。仲裁判定で徹底的に敗北した中国にはもはや国際法を拠り所にする意味はない。力を背景に自国の主張を押し通すだけだろう。
Posted at 2016/08/07 12:20:53 | |
トラックバック(0) |
軍事 | 日記