「100機1兆円超」のインパクト
2018年11月下旬、複数メディアが報じたところによると、航空自衛隊への配備が進んでいるロッキード・マーチンF-35「ライトニングII」戦闘機について、政府は約100機を追加取得する方針であることがわかりました。
F-35は2011(平成23)年に、F-4EJ改「ファントムII」の後継となる次期主力戦闘機機として、42機調達することが決定されました。現在は三沢基地(青森県)において実戦配備のための準備が進んでおり、将来的には合計約140機程度が配備されることになると推測されます。
この総額1兆円超の規模となるビッグプロジェクトは、慢性的な巨額対日貿易赤字に苛立ちを隠さないトランプ政権に対する配慮ではないかという見方を報じるメディアや、行き過ぎた対米追従ではないかと安倍政権を批判する声もあるようです。戦闘機の導入は多分に政治的な意味を持ちますから、少なからずこうした意義もあるのかもしれません。ですが、トランプ大統領の意向がF-35導入の決め手となったか否かについては、明確に否定できます。
なぜトランプ大統領の関与を断言的に否定できるのでしょうか。それは2013年12月に定められた「防衛大綱」および「中期防衛力整備計画(2014~2018)」において、「近代化改修に適さない戦闘機(F-15)について、能力の高い戦闘機に代替するための検討を行い、必要な措置を講ずる」「航空偵察部隊1個飛行隊(RF-4E)を廃止し、(戦闘機)飛行隊を新編」と明記されていたからにほかなりません。
そのころトランプ大統領は単なる一市民だった
2018年現在、航空自衛隊が約200機保有する主力戦闘機F-15J「イーグル」は、近代化改修を受け第一線級機として十分な性能を持ったF-15MJと、1981(昭和56)年の導入開始当時から大きな改修を受けていないF-15SJの2種類に大別でき、それぞれおよそ100機ずつを占めています。
そして2013年の中期防衛力整備計画に記された「近代化改修に適さないF-15」とは、このF-15SJを指しています。つまりアメリカの第2期バラク・オバマ政権1年目の段階ですでに、2018年度までに100機分のF-15SJと、RF-4E偵察機の後継機を定めることが決まっていたのです。現トランプ大統領はこのとき単なる一市民であり、関与できる立場にありませんでした。
ただここで注意しなくてはならないのは、構造上の寿命から一刻も早くF-35への更新を進めなくてはならないF-4EJ改と、F-15SJでは、F-35へ更新する必要性の事情が全く異なるという点です。
F-15の設計上の寿命は、約40年の運用に相当する8000飛行時間です。そして1981年の導入開始からまもなく40年を迎えますから、8000飛行時間到達が目前の機体も間違いなく存在することでしょう。しかしF-15の非凡な頑丈さと信頼性は耐久試験において実証されており、80年~90年間の運用に相当する1万6000~1万8000飛行時間まで拡張可能であることが分かっています。
まだまだ飛べはするものの…
F-15という飛行機の物理的な劣化具合だけを見るならば、少なくとも21世紀半ばまで後継機の必要はありません。実際、すでに近代化改修済みのF-15MJは今後も性能向上を受けながら、そのころまで運用され続けることになるでしょう。
非近代化改修機であるF-15SJも、性能向上しようと思えばいくらでも可能なはずです。しかしながらF-15SJは、レーダーをはじめとする搭載機器が現在の主流とは異なる規格で構成されており、F-15MJのように「必要な部分のみを載せ替える」といった近代化改修ができないのです。
つまりF-15SJを、F-35並みまでとは言わなくともF-15MJと同等レベルにまで引き上げるには、F-15という飛行機そのものだけは残して、中身を全て載せ替えなくてはならず、1機あたり数十億円の費用が必要だと推測されます。
それならば「近代化改修に適さない戦闘機」であるF-15SJへ大金を投じて、無理に近代化改修するよりも、既存の戦闘機とは別次元の情報収集/共有能力を持ち、かつステルス性に優れたF-35に更新してしまったほうが、費用対効果の面で優れていると言えます。
2013年の段階では単に「能力の高い戦闘機に代替」としか定められていませんが、性能面で40年落ちのF-15をそのまま使い続けるわけにはいかず、また近代化改修も難しいのですから、両国の政治家が誰であろうとも事実上F-35以外の選択肢は無かったのが実情であり、各航空、軍事専門誌などにおいてもF-15SJはF-35に置き換えられるだろうという意見は、早くから散見されていました。
F-35は国際共同開発機であり、様々な国が部品の製造に関与、かつ航空自衛隊配備機は国内で最終組み立てを行っています。したがってF-35はアメリカ製戦闘機とはいえ、「アメリカの取りぶん」は実はそう多くありません。さらに、追加された100機のF-35は年におよそ10機ずつ、10年近くをかけて導入することになります。総額1兆円超と聞こえこそ大きいとはいえ、仮に年10機ずつ10年で1兆円なら、年単位だと1000億円であり、自動車産業だけで年間5兆円にも上るアメリカの対日貿易赤字はほとんど影響されません。
F-35追加導入にトランプ大統領は何も関与しておらず、貿易赤字にもほぼ影響を与えないとはいえ、名目だけでも「1兆円超の契約をもぎ取ったのはトランプ大統領である」と「手柄」を渡すことによって、貿易赤字を嫌うトランプ大統領の顔を立てられるのならば、政治的な意味も含めてF-35追加導入は大きな意義を持ちます。
空自は約200機のF15を装備しているが、まだまだ第一線の戦闘機とは言っても初飛行は1972年、空自に導入されたのも1982年、初期の機体100機は電子機器は当時のファミコン並、データ転送の配線もそのレベルなので中身をそっくり入れ替えるには1機について何十億と言う費用がかかるそうだ。現代の戦闘機の飛行瀬能はさほど差がないので勝負は電子機器と言うことになると40年前のファミコン対2020年の最新鋭電子機器では話にならない。所期のF15について空自は改修が不可能とか言っているようだが、要はコスパの話になる。それならいっそのこと新型機に買い替えてしまった方がいいというのが、空自の思惑で非改修機の100機は次期戦闘機、空自はF22を切望したらしいが、に入れ替えることになっていた。だからここで100機をF35に入れ替えることになったのは既定路線で驚くには値しない。でも不公平貿易だのなんだの言われて42機のF35の導入に追加してさらに100機を買いますと言えばトランプさんにとっては結果を出したことになるのでそれはうれしいだろう。で、残りのF2が90機、F15改修機が100機、これが次期戦闘機の分になる。F35が100機で1兆円以上、新型戦闘機の開発に1兆5千億、200機調達で3兆円、軍備は金がかかるねえ。社会保障に比べれば微々たるものだけど、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2018/12/02 10:29:58 | |
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