湘南の店を後にし、今度は流石に寄り道する事無く、最寄
りの東名IC迄直ぐに辿り着いた。ココから一気に自宅を素通
りして、東へと向かうのだ…。
東名上り車線を巡航していると、流石と言うべきか、色々なクルマに遭遇した。ハイリフトRVや、な
んちゃってポインター。シャア専用オーリスや、らき☆すた痛車。そしてヘンタ…い…、では無く、スー
パーセブンや、エキシージ等の英国車。更には、我らがGT3や、R8等のジャーマンカー。マセラッティ
グランツーリズモや、キャリーカーに載せられた状態ではあったが、ラ・フェラーリ等etc…。
「やっぱ、日本（東京）はスゲェな～」
全く見る者を飽きさせない、素晴らしい車の数々！ と、感嘆の言葉を述べた所で、今朝“おのぼりさ
んモード”に切り替えたままだった事を思い出し、慌てて、シティーボーイモードへと戻す事にした…。
「長いトンネルを抜けると、ソコはスカイツリーだった…」
これまた新しい部類に入る、首都高中央環状線を使い、一気に都心を横断すると、あっと言う間に
東京の下町へと辿り着いた。
「ホント、便利な世の中になったモノよのぉ～！」
と、モードを変えても、やはり感心しきりの高速道路である。
「江戸時代だったら、今日の行程をこなすのに、いったい何日掛かった事か…」
と、先人達の苦労に思いを馳せながらも、着実に目的地へと向かっていた…。
本日最後の吟味バイクは、国産車である。しかし逆輸入車だ！ この手のバイクは、ホント試乗車
が無いので、探すのに一苦労したが、昔の伝手を頼り、この東京のダウンタウンにあるバイクショッ
プに有る事が判明した。
ココは昔ながらのバイク屋という趣きで、薄汚れた狭い敷地内には、乱雑にギッシリと、バイクが
詰まっているという店舗だった。
今にも雨が降って来そうな天候だったので、急いで店内へ向かった。中には熊の様なスタッフと、
いかにも気の弱そうな“もやしっ子”タイプのスタッフが居た。案の定と言うべきか、見かけ通りと言う
べきか、私への応対は、“熊”が顎で、“もやしっ子”に対応させていた。この“熊”は、私が一番嫌い
なタイプであったが、別に喧嘩する為にココに来た訳では無いので、ソチラ方面の感情をグッと堪
え、目の前にいる“もやしっ子”の方に意識を集中させた。
「雨が降って来る前に、コレ試乗したいんだけど」
と指差す先に、本日最後の候補バイクである、YAMAHA XV1900CU が、佇んでいた…。
数十分後、試乗を終えてショップに戻ると、間一髪とばかりに、雨が降って来た。“もやしっ子”共々
ホッと一息ついた。
このバイクは、流石国産！と言うしかないクオリティーだった。跨っただけで感じる信頼性に、あら
ゆるパーツのチリが合った精密感、無論エンジンの鼓動感は演出されたモノだが、それでも素晴ら
しく感じられ、当然ハンドリングも申し分無い！ 更に言えば、スタイリングの美しさたるや、こんな
バイクに乗りたい！と、思わずにはいられない流れる様な素晴らしさである！
「じゃあ、これで決まりジャン！」
と言われるかもしれないが、勿論このバイクにも弱点はある。その中でも特に大きな箇所が、燃料
タンクと、ハンドルバーである。両方とも単純な事なのだが、燃料タンクは容量が小さいのと、ハンド
ルは遠いのである。1900㏄という大排気量車で、重量も300㎏を遥かに超える、ツーリングを得意と
する筈のビッグバイクにも拘らず、たったの16ℓしか入らないのは、長距離を走る人間からしてみれ
ば、致命的とも言える欠点である！ そして、このバイクの特徴とも言えるドラッグスタイルにも問題
が感じられた。外人ですらハンドルが遠く感じると言っているのである！ いわんや、小柄な日本人
では手に余るシロモノと化す。デザインを優先しすぎる弊害が正にコレなのであった。
とは言え、ハンドルは後で換えればいいので、問題は燃料タンクのみとなる。
「でも、これは、微妙だな…」
本日最後のバイクは、多少、消化不良となってしまったが、兎に角、これにて本日のバイク探訪は
終了となった…。
本日二度目の西への道すがら、完全に不貞腐れた状態の“坊(仮名)”を見て、流石に悪いと思い、
自宅に戻る前に、以前愚弟が健在だった頃、よく訪れていた公園へと向かった。
この公園はかなり広く園内には高い丘もそびえ、そこにはアスレティックの様なアトラクションも設
置しているという、子供にも、そして犬にも楽しい場所であった。
車から飛び出した“坊(仮名)”は、ガムシャラと言う感じでリードを引っ張り続け、前へ前へと突進
した。
「ココも、ダーレも居ないな…」
箱根の山と同じ様に、広大な園内には人の気配が感じられなかった。
「ま、その方が自由に遊べるか」
と、気持ちを切り換えた時、突然“坊(仮名)”の足が止まった！ すわ！何事か！ と思ったが、単
なる、“ンコ” タイムだった。ンコを袋に収めると、それを処理するべくトイレを探した。少し先にトイレ
の建物が見えたので其方へと向かうと、建物の周辺から、煙草の臭いが立ち込め始めた。 見ると
建物の裏から紫煙が立ち昇っていた。
「ん？誰かいるのかな？」
と思い、その場所へぐるりと建物を迂回してみると裏側に“ンコ座り”した3人組が居た。紫煙はそこ
から揚がっていた。よく見ると高校生には見えなく、小学生にも見えない。つまりは、中坊だという事
が見て取れた。すると一斉に中坊達の視線が私に突き刺さった。途端にその中の一人がこれ見よ
がしに唾を吐いた。
「ん？ 何か変なモノでも喰ったのかな？」
と思い、急いで3人組の元へと駆けて行った。すると、3人の顔がみるみる強張り、その目が見開か
れて行った。 次の瞬間、3人は一斉に立ち上がり、更に林の奥のへと走り去って行ってしまった。
一瞬、途方に暮れた私であったが、スグにその理由に思い至り、矛を収める事にした。
「ま、恐らく、オイラの肌の色の白さに、度肝を抜かれたのであろう…」
と、見事な洞察力により、この件は終いにして“坊(仮名)”の御褒美である散歩を続ける事にした…。
小1時間程歩いた後、今度は自分自身への御褒美をするべく、この近くにある、私が世界で3番目
に美味いと断言するラーメン屋に立ち寄り、一人お疲れ会と洒落込んだ。何せ、ターンパイク通行料
を捻出する為に昼飯を抜いたのだから、只でさえ美味いラーメン(つけ麺)の味も格別なモノになった
のは言うまでも無い…。
さて、自宅に戻ると私の口元はニンマリと微笑んだ。それは、あのジャングルと化した庭が、綺麗
に片付いていたからだった。
before
何故か？
after
それはオイラが愛車探訪に行っている間に、植木屋さんに頼んでおいたからに他ならない！！
とうとうワタクシも、金で解決しようとする下衆に成り下がっていたのであった…。（核自爆）
玄関のドアを開け無事帰宅すると、スグにソファーに靠れ込んだ。しばらくそのままの状態でエネ
ルギーの復活を待つ事にした…。
ようやく力が漲ってきた所で、ふと隣の椅子を見た。 そこには物欲しそうな顔した “坊(仮名)” が
いた。 その表情からは、
「また、ドッカ連れてってくれる？」
と書いてあった。
「ああ、また行くよ！ あと、2～3カ所は…」
そう言って、“坊(仮名)” の頭を撫でると、私は一つ欠伸をして、床に寝転ぶ猫達を掻き分け、本格的
に休むべく、寝室へと向かった…。
おわり
※尚、この日の模様は、愛車紹介フィット フォトギャラリー内の
→ “
ココ” と、“
ココ” にありますので、どうぞご覧下さい！
でわでわ！
