この日の曇り空の様に、会場にはフェスティバル特有の
華やかさは無かった。それに客層も全くと言って良い程、
“雑多” だった。それこそ、ホームレスの様な出で立ちの
オッサンから、ヨボヨボのおばあちゃん軍団、ヤンキー
カップルや、モロ、“其の筋”の方々等、兎に角、人の顔ぶれの方は逆に賑やかだった。
横浜のボートショーの客層は、多少の違いはあるにせよ、大きく分けると “釣り人系と経営者系”
という2種類に分類されるのだが、関西では本当に≪人種の坩堝≫と化していた…。
ハッキリ言ってボートショーの横断幕以外に、会場の外と内を分け隔てているモノは無く、ホント
近所の人達が着の身着のまま来ているという様相が見られた訳だが、その中には小学生かと思
う位小柄の身体にヨレヨレの作業着を身に纏い、しかし傍らには、これでもかという位“おめかし”
をしている御婆さんが、全くサイズの合っていないダボダボのベージュのジャケットを羽織り、恐ら
く夫の御爺さんと一緒に会場内を歩いている姿に私の目は釘付けになった。二人は楽しそうにテ
クテクと歩いて行き、展示していたマクラーレンの前で記念写真を撮っていた。
「ホント関西って、なんか庶民的だよな~」
関西はおろか日本でも一位二位を競う位のセレブな場所にも拘らず、金持ちと貧乏人が普通に
同化しているのだ。寧ろこの光景は、私の望郷感を募らせるくらい懐かしい光景に見えた。
≪以前何処かで言っていた≫が、私が昔いたドヤ街は、正にこんな感じだったのだ!
「何か昔の日本がまだ残っている様な気がするな~」
私はマクラーレンの前でキャピキャピ楽しんでいる“カワイイ老夫婦”を眩しい想いで暫く見守って
いた。かし、関西にはもう一つの別の特徴がある事を、否応なく受け続ける事となる…。
それはバナーをくぐった瞬間から始まった!
「あのな、これな、今やってるんでな、これから見に来てな~!!」
この語句の持ち主は、関東ではコンパニオンと呼ばれる綺麗なオネーチャン達である!
若さ、可愛い顔、綺麗なスタイル、は同じだが、発する語句と押しの強さと馴れ馴れしさには、やは
り度肝を抜かれる! ゆっくり見ていたい客には、ハッキリ言ってウザいのだ! 勿論それが親切
心から来ている事は判っている。しかしこの勧誘の仕方は、関東ではボッタくりバーの客引きと何ら
変わるモノでは無いのだ。それにもう一つこの土地ならではと思われる事もあり、それは、ワタクシ
のルックスに関してである。
自分ではベビーフェイスだと思っているのだが、他人が見たらどうやらそうは感じていない事に、
最近気が付き始めたのだ。だから何処へ行くにも私の周りには人が近寄って来ないし、腹が減って
ムッツリしていると、相手は目も合わせて来なくなる。
しかしココはそうでは無い! 何せ世界最大のヤクザ組織が闊歩する場所である。“私程度”の
強面は、一般人と何ら変わらないのであろう! その位、全く遠慮せず、やたら馴れ馴れしいコン
パニャー達だったのだ!
とは言え、個人的には寧ろコチラのボートショーの方が私の肌には合った。それはちゃんと水に
浮いている国産の最新型の船を、間近で観られるという事と、かなり手軽に試乗出来るという事で
ある。あまり展示船の数が多くないのも、逆にじっくり観られたので好印象は続いた。 と言う訳で
早速目当ての船へと向かった…。
やはり平日の昼間という事もあり、試乗希望者も少なく、スンナリと操船する事が出来た。それも
私一人でである! 勿論スタッフは2名添乗しているが、マリーナ内の狭い場所の為、結構操船を
任せてくれたのは、ホント御融通が利くなと感心しきりだった。
最新の船だけに、操船で最も難しい“着岸”という技術も、今は
“バウ・スラスター”によりかなり
容易になっている! これは解り易くクルマに例えるなら、“着岸”は“坂道発進”であり、“バウ・スラ
スター”は“AT”に例える事が出来ます。つまりMT車の坂道発進は難しいが、AT車の坂道発進は
簡単だという事と相通ずる思います…。
御目当ての船の試乗も無事終わり、あとは暫く会場内をブラつく事にした。
まるでバザーの様なというか、屋台村というか、船舶関連のブースだけでなく、全く関係ないブース
までがごちゃ混ぜに軒を連ねている光景は結構楽しい! そしてテラス席で御洒落にティータイムを
している人達は、ほぼ外人達であった。そんな人種の坩堝の中に、突如として整然としたエリアが出
現した! 横浜と同じくココにも進出していた≪外車エリア≫である!
しかし、整然と並んでいるとはいえ、最初は電気自動車、その隣が超高級クラッシックカー、その
隣がビンテーカー、その隣が最新のラテン車と、全くトータルコーディネイトと言う概念を無視した展
示順ではあった。ま、やはり雑多と言うのは関西の文化なのであろうと納得した。聞けば関西にも
横浜の赤レンガ倉庫と同じ様に、煉瓦街にクラッシクカーの展示場が有ると聞き、いつか行ってみ
たいなと思った程だ…。
さて、一通り見物したので、会場を後にする事にした。
ポツンと停まっているフィットに乗り込み、出口へと向かった。ゲートが近づき、駐車券を挿入する
と、驚くべき金額が表示された!
「100円…って……安っ!」
横浜で同じ様な時間を停めていたら、この6倍はかかるし、東京の都心部のボッタくり駐車場なんか
は、この30倍はふんだくられるのだから、マジでココにクルマ停めて住んでもそれほど駐車料金の
負担は無い事にかなり感動した…。
さて、次の目的である級友に会うにはまだ時間が余っていた。と言う訳で、ようやくグルメタイムの
時が来たと、涎を垂らしながら、新幹線の中で検索していた明石焼きの店へとフィットを走らせた…。
つづく!
※尚、この日の模様は、愛車紹介ヤマハ PC28 フォトギャラリー
内の→
“ココ” と “ココ” にありますので暇な時にでも、どうぞご覧下さい!
でわでわ!