三菱iミーブやスバルR1Eが東京電力と一緒になって電気自動車の普及を目指していることは最近のニュースで報道されていますね。テールパイプからは一切の排気ガスがでないので「究極のエコカー」として注目されてます。CVでもKYねえさまがEVのレポートを書いてますが、ここではちょっと補足的に電気自動車の歴史とCO2の話題を書きたいと思います。
電気自動車は未来の自動車と考えられていますが、その歴史はともて長いのです。ゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツがガソリン自動車を考案したのは1886年、アメリカでヘンリーフォードがT型フォードを販売したのは1912年頃。しかし自動車を利用するには自動車が走る道路とガソリンスタンドも必要でした。そうそうキャデラックが考案した電気スターターが実用化されるまで女性は自動車を使うことができなかったとも言われてます。ですから自動車が本格普及したのは1920年頃からだったのです。ところが、この間、ちゃんと電気自動車が活躍していた時代がありました。あのポルシェ博士も始めて開発した自動車はローナー・ポルシェと呼ばれるシリーズ型ハイブリッド(インホイールモーター付き)の電気自動車でした。ピストンエンジンは発電専用に使われてたのです。このコンセプトカーは1900年のパリ博覧会に展示されてました。このように電気自動車はガソリン自動車よりも歴史が古いのですが、なかなか四番バッターになれなかったのです。その理由はずばりバッテリーの性能なのです。
その100年後、現代社会は電気エネルギーを当たり前のように使うようになりましたが、電気の運び方や貯蔵法に関してはあまり進化していないのです。原子力や火力、あるいは水力で発電された電気は数万ボルトという高圧で送電線で運ばれます。途中の損失は大きいのですが、これ以外に電気を運ぶ手段がないのですね。さらに、電気を貯める技術は、あまり大きな進化はしてません。現在、家電用としてはリチウムイオンバッテリーが普及しましたが、コストや信頼性ではまだまだと言われてます。しかし、このリチウムイオンバッテリーは充電時間の短縮や重量がコンパクトになるので、本命視されています。コストや信頼性が解決されると、一気に電気自動車が普及するかもしれませんね。
三菱自動車が電気自動車はCO2がゼロとTVで宣伝してますが、電気を一次エネルギーまで遡ると、かならずしもゼロではありません。このように様々なエネルギーを「井戸からタイヤまで」という評価方法があり、これを英語で「Well to Wheel」と言います。つまり電気をどう作るのか、という根本をみないと本当にCO2がゼロかどうかわかりません。日本では原子力が40%弱使われており、残りは水力や火力です。慶応大学の石谷先生の論文によると日本の代表的な電力構成では電気自動車はけっこうCO2がでてますね。このように一次エネルギーまでしっかりと考える必要があるのです。
一方、
大阪大学大学院の西村陽教授のレポートによると1km車を走らせる時、電気で走る場合のCO2排出量は石炭火力発電166g、天然ガス火力発電88g、太陽光発電9g、原子力発電4gとなるそうです。つまり火力発電ではCO2はあまり減らないし、原子力発電がCO2削減ではもっとも効果的となるわけです。このように考えると、三菱自動車とスバルの電気自動車計画は原子力発電がないと成り立たないわけです。電気自動車は一次エネルギーの課題をしっかりと考えるべきなのですね。
Posted at 2008/02/17 00:28:06 |
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