「インフラの老朽化 3/31のNHK特集」とてもいい番組でした。みんなで正面から向き合わないといけないと思います。自動車専門家もそろそろ社会整備について考えましょう。クルマを使い易くするにはエネルギー・道路&駐車場がないとね。インフラを考えないとクルマ社会は持続可能ではないのです。
■財源の確保
高度成長期に一斉につくられた道路、橋、水道などのインフラの老朽化が深刻化し、インフラを作れば必ず必要となる維持・更新費・・2040年には16兆円必要との見積、今後新しいインフラをひとつも作らなくても、今あるインフラの維持さえ出来なくなるかも知れない。インフラの問題が日本の将来にどのように影響及ぼすのか、膨大な費用をどうするのか住民にも選択が迫られている。
自分達の地域の将来を見据えた対策にいち早く取り組んでいる地域のキーワードは「住民参加型」であると強く感じました。住民の負担も増えるが、自分達で納得して決断し実行することにより、地域に適したより実用的(無駄を省いた)な環境つくりが早期に実現する。その為には住民への情報提供をおこない明確な目標を示す。時間をかけて充分な意見交換により将来の目標を住民と一緒に選択する。住民参加(税など金銭的負担も含む)により即行動して成果が見えるようにする。そうすることにより成果、または問題点や修正など明確になり、参加住民の励みともなる。住民参加により郷土愛も芽生えてくる。行政に住民の力を活かしていく、そのようなプロセスが重要なのだと思いました。
・通行規制されている橋は全国で1300箇所
・インフラ維持・更新費用 年間9兆円必要
■首都高速道路
開通から50年の首都高、1日100万台が利用する大動脈 全長300km
建設当初の予測を上回る交通量が劣化を早めている
道路の割れ目からしたたる雨水で鉄骨が腐食し、繰り返される振動・・疲労亀裂
修維持補修費用・・年間600億円 補修が追いつかず未補修・・9万6000箇所
首都高 橋本圭一社長・・首都圏の大インフラであり社会的に影響が大きい道路なので長い間 利用出来ることにもつながってくるので行政も含めてみんなで向き合う問題であると思う。
■水道
水道 60万km その1/4が耐用年数超える 京都市 水道管交換費用は1500億円
財源不足の中でどのようにして費用を捻出するかメドが立っていない。
■物理的な崩壊に向かうのか、借金をして財政的な崩壊に向かうのか
1990年バブル崩壊後新規建設がおこなわれた道路上下水道の他に、景気対策としてつくられた施設やホールなど箱物も多い、総務庁発表の調査ではインフラ更新料の半分は箱物にかかる。バブル後 景気対策として必要があってやったわけではない、国からの指導があり、半分補助金で補填できると言うことで借金をして整備してきた。当時将来を心配していなかったわけではない、景気が良くなれば税制でまかなえると考えていた。
静岡県浜松市
現在は建物・土地の売却を積極的に進めている・・しかし公共施設などの売却については住民からの反対もあり(体育館など子ども達や地域活動の場が無くなるという理由)悩ましいところである。住民の要望が有れば老朽化した施設の建て替えや莫大な補修費用がかかる。
■人口減少に伴い無人化の地域が増える
日本の人口 2010年 1億2800万人
2050年 9700万人 △3100万人の減少
インフラ投資の地域を集中的に=コンパクト化して集中して住民に住んでもらう
○被災地=高台でのコンパクト化
○富山市=5年前からコンパクト化し住民を集めるための積極的な投資を行っている
・市が4億円以上補助 都心部に超高層マンション110戸建設(低家賃)
・購入者には最大で50万円支給
・路面電車19億円で整備
市長:まだ体力のあるうちに拡散型の町つくりを止めてコンパクトにしていくアプローチは避けて通れない。その地域から外れた住民(高齢者など先祖から引き継いだ住み慣れた土地を離れたくない人達)にどのように納得してもらうかが課題
■住民参加型
○ アメリカ ヤングスタウン=中心部のオフィス街の整備を集中的に行ってきた=新企業の進出が続き新たな雇用がうまれている。
7年前の計画どおり大胆なインフラ削減を進めている。
人口が著しく減少した地域は建物の取り壊しを行い、道路の整備も行っていない。未だ住民が居る周辺は最低限の整備でいずれは人の住まない緑地にする計画。
住民との対話と参加感で納得感を生み出す・・住民との話し合いに費やした費用は30万ドル以上・・7500人以上の住民の意見をとりいれた。
○福島県合図若松市 2年前水道事業を民間に委託=浄水場の運営、水道管維持管理、水道料徴収=年間1億4700万円削減→水道管の交換、浄水場の建てかえ費用100億円以上を捻出を目標
情報公開して住民に説明・・住民の一番の関心は「水質の安全性」であったことがわかった。
○長野県下條村(伊藤喜平村長)=住民を巻き込むことでインフラ問題を解決している(人口4000人)
休みの日に住民が集まる=生活道路を住民が補正している=コンクリートなどの資材は村が提供するが、機材、労働力は住民が行うため人件費はゼロ、業者発注の1/5の予算で実現。
村長の働き=生活道路の舗装を求める住民に対し、厳しい財政状況を詳しく説明した。自分達でやれば多くの道路を整備出来ると数値に表して説得。
行政は正しい情報を住民に知らせ お互いに目的意識、危機感を持ってお互いに頑張る みんなで知恵を出して地域作りをしましょう。「それは行政の仕事」と抵抗感のある人もいたが、汗を流すことは村のためにも自分達のためにもなるという意識が自然に芽生えていった。
住民:道を造るのは自分達のため、自分達でやれば思い立てば直ぐにできるのが一番有り難い。
長野県下條村の下水処理にもあらわれている。
生活排水をバクテリアの働きで分解する、合併処理浄化槽を下水処理の代わりに一軒ずつ整備している。設置や検査にかかる費用は住民も一部負担する。流す物にも気をつかい面倒はかかるが住民は納得している。「検査に来てくれた人が、とても綺麗に使っている」と言ってくれるのが嬉しいと住民のお婆ちゃんがコメントしていました。
村が浄化槽の検討を始めた当時、国は補助金をつけて下水道の整備を推奨していた。
浄化槽 補助金3億円 村の負担1億5000
下水道 補助金29億円 村の負担12億7000
村は、この情報を住民に公開し身の丈にあった浄化槽を設置したいと説明した。
村はこの様にしてうみだした財源を地域の発展に向けたインフラにあてている。家賃を安く抑えた住宅=若い家族が移り住むようになり、出生率2.2倍 村に新たな活力を生んでいる。
村長:その地域のオリジナルな方法はかならずある、地域も今度は責任をもたなければいけなくなるが、運用も楽になり画一的な考えではなくその地域にあった独自な使い方でいい物が出来る。6割の合意が得られれば行動に移すことが重要行動に移せば成果が目に見えてくる。