
最近CO2の排出量を重量で記載する傾向が増えてますね。欧州ではディーゼル車が50%も増えたので、カーボンの含有量が多いディーゼルとガソリンを同じ燃料の消費量だけで比べることができなくなってきたのですね。そこでどんな燃料でもCO2に換算して環境負荷を比べるようになってきたのです。
1)しかし、環境負荷は自動車が走行している時の燃料消費だけではなく、燃料が作られ、運ばれ、スタンドで給油するプロセスも含めることが重要。いわゆる「well to wheel(井戸からタイヤまで)」という燃料の総合効率を考えるわけです。水素や電気はゼロエミッションですが、水素と電気を作る時にCO2がでるので、その分を考慮する必要があるのです。色々な物資や手法で水素や電気が作られるので、計算が大変のようです。
2)一方で、自動車がある資源から作られ、廃棄されるまでの総合効率「Soil to Soil(土から土まで)」も考慮しなければなりませんよね。どんなに優れたエコカーでも製造時にCO2を多く排出するクルマもあります(プリウスはカローラよりも製造時は多くのCO2を出します)。
3)「WELL to Wheel 」と「Soil to Soil」、燃料と自動車の総合効率を合算しないと環境負荷を正しく評価できません。
4)と、ここまでは学者の世界でも議論されてますが、トヨタの渡辺浩之さんはもっとシビアにモビリティの実態に即した環境負荷を考えてます。渡辺理論では「WELL to Move」であるべきというのです。つまり、渋滞の中を走るプリウスと、空いたロスのフリーウェイを走るタンドラ(トヨタのV8ピックアップトラック)。どちらが環境負荷が小さいか。単純には比較できないのです。プリウスがその時、どんな仕事をしたのか。タンドラがどんな仕事をしたのか。
5)仕事量は、それにかける時間も問われますよね。皆さんのお仕事も短時間で終わらせると褒めらるでしょ!クルマに例えるならスピードが重要なのです。
6)ここまでくると理解されると思いますが、燃料消費だけでは環境を語ることはできないし、総合的な環境負荷とその自動車が行った仕事の価値を計ることが大切なのですね。
7)これを持続可能なモビリティ評価のインデックス(β)とすると:
β=モビリティの価値÷環境負荷
8)そうです!環境負荷だけを下げることを考えるのではなく、価値を高めることも重要なのです。渋滞を無くしたりすることも。
ちなみに
総合効率はこのサイトでもみられます。
さて、欧州自動車工業会では2008年までにメーカーの平均燃費を140g/Kmにすると公約してましたが、実際はイタリヤとフランスメーカー(小型車とマニュアルディーゼル車が多い)しか達成できないことになりました。それでは140g/Kmの正体はどんな意味を持っているのでしょうか?
まず、ガソリンの場合、1Lの燃料をエンジンで燃やすと何グラムのCO2が出るのでしょうか?難しい化学式を書くまでもなく、約2360のCO2となります。つまり140g/Kmはリッター当たり16.9Km/Lの燃費に相当します。欧州ではこれを100Km走行時の燃料の消費量で示しますし、アメリカではマイル・ガロンで表示します。
なんだか混乱してきましたので、まとめますと:
ガソリン 140g/km=5.9L/100Km=16.9Km/L=39.75mpg
ディーゼル 140g/km=5.3L/100Km=18.9Km/L=44.46mpg
学君が環境のことを考えていたので、ちょっとこちらも、、、。
最後にF1は「安全と環境」技術の宝庫です。燃費の悪い運転やエンジン・車体ではレースに勝てないし、ぶつかっても安全でなければ300Km/hのバトルはできませんからね。ドライバーはハンスをつけているし。
つまり、スポーツカーを極めると、、安全と環境はついてくるのです。
Posted at 2008/05/11 00:16:22 |
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持続可能なモビリティ | 日記