今日は有言実行でケシの花を撮りに行って来ました。
ケシはご存じの通り植えちゃいけないのですが、東京都ではな
東京都薬用植物園でのみ植えていいことになっています。場所が小平で、車で行くとなると辛いものがあるのですが、我慢して運転しました。道は狭いし歩道がない路肩がない、信号が無駄に多い。この辺を走るたびにうんざりさせられます。近くのコインパークに停めていざ出陣。
もちろんなんですが、檻の中には入れません。学術・研究目的であれば見学はできるので当然医学生とか薬学生は入れます。なぜ一般人が遠回しに見ているのか考えずたまたま開いていた扉にずかずか入る老人共。自分も着実に老いてはいるけどああいう老いはイヤだ。なぜ空気を読まない? 読めないのか? 今時の老人共の話になるとイライラが吹き出してくるのでここでやめ。
こんな感じで学生さんが聞いているのですが… 貴重な経験なんだからもっと拝聴してほしいぞ。まあ自分が学生でもああなるなw 奥の白い花が一貫種と呼ばれるケシで、戦前の日本で品種改良により生まれた最強のケシです。何が最強かというとアヘンがたくさん採れるからに尽きます。1ヘクタールで1貫のアヘンがとれるからだっけ?
西アジア周辺で採れるケシ。特徴的なのは芥子坊主の形でカボチャ型です。デジカメでは写してないのですが、八重咲きのケシもあります。非常に美しいのですが、
八重咲きのケシは100%アウトです。
奥の穴ですが、墓穴ですね。写真の左隅にちょっと写っている花がアツミゲシです。アツミゲシは元々は北アフリカ原産のケシですが、愛知の渥美半島で大量自生しているのが発見されたことから名付けられています。一貫種やトルコ系、ハカマオニゲシなどは1つの株から1つの花が咲き、1年草か越年草であったりするのですが、アツミゲシは1つの株から枝分かれし、多年草なので、繁殖力がはんぱないということです。芥子坊主1つから3000粒の種が生まれるのですが、種をぶちまける量は一貫種
(約10000粒)よりも多いんじゃないかな。
閑話休題。アツミゲシは日本中に拡散しているようで、東京都内でもかなり見つかっているそうです。通報、監視など麻取やら保健所、警察など色んな役人が行ってチェックしてここに持って来て埋め殺しにするそうです。
12時半から勉強会があるということで受けてきました。上で書いたことを研究員の方が話していたのですが、アヘンの採り方について。芥子坊主にしないとアヘンは採れません。サラッと芥子坊主と上でも書いていますが、受粉したあとの子房のことを言います。芥子坊主を採取して搾り取るわけではなく、研究員の女性が持っている道具を使います。道具には長さ1ミリ程度の針がついているそうで、長さによって番手もあるそうです。この道具で芥子坊主に薄く傷をつけるとそこから液がしみ出すのでそれを集めます。
この写真が実際に芥子坊主に傷をつけて液をしみ出させたものです。研究員さんが適当につけたのであまり上手にはできていないのですが、浅く傷をつけるとしたたるほど乳液が出てくるそうです。この乳液を集めて酸化させて樹脂の塊
(黒褐色)にしたものがアヘンです。アヘンは作るなと言っても実際は作られています。もちろん日本では研究用途以外では作られていませんが、商品としては輸入されています。アヘンから
モルヒネ(鎮痛剤)とか
コデイン(鎮咳剤)というものが薬として抽出されます。化学合成では作れないのかQ&Aの時に聞けばよかったですね。
デジカメでは撮ってないのですが
(フィルムでは撮った)、麻の話もありました。普通の麻でも幻覚成分が含まれています
(麻畑で麻酔いはよくあったそうですが)。今、麻は品種改良により完全に幻覚成分のない麻と幻覚成分が原種に比べて非常に多いものに分かれています。前者は衣服に普通に使われています。後者は欧米で品種改悪により凶悪化しているそうです
(墓穴の写真の手前の苗が凶悪なやつ。さらに手前にあるちょっと育ってるのが改良されたもの)。麻
(大麻)は独特の悪臭があるのですが凶悪型はかなり放つらしいです。
ケシはどこの国に行ってもダメかというとそういうわけではなくて、国によって基準が異なるのが実情です。一貫種なんかは100%ダメですが、八重咲きのケシは外国ではOK、ハカマオニゲシはOKとか色々です。どうやって見分けるのかというと、ある程度の法則性はあるそうです。ぱっとみてわかるものだけチョイス。
- 体毛がないもしくは薄毛のものはアウト
100%確定できませんが分かりやすい目安になります。植えていいものは剛毛です。
- 葉っぱの付き方が茎に巻き付くように生えてるのはアウト。
100%確定。植えていいものは普通の植物のように茎から枝分かれする。
- 葉っぱの切れ込みが浅いものはアウト。
100%確定。植えていいものは春菊のようにはっきりとした深い切れ込みがあります。
- 八重咲きはアウト
100%確定。日本ではアウトです。非常にきれいなんですが…
あとハカマオニゲシのような毒々しい赤の花もダメです。
ケシの栽培で決められている法律はあへん法と麻薬法で決められています。あへん法はアヘンが採れるから取り締られるのですが、麻薬法はハカマオニゲシに対して決められています。この花からはアヘンは採れず、モルヒネやコデインによく
似たものが採れるのでこっちに分類されてるそうです。
ほぼ毎年ここに来ても、いつも芥子坊主だったのですが、今年はやっと満開に当たりました。満足しました。勉強になりました。
本当にいいお天気で、すっかり灼けました。
Posted at 2011/05/15 23:03:48 | |
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