みな様こんにちは&こんばんは。
突然ですが
見えるモノと見えないモノってどちらに興味を持たれますか?(^_^;)。
見えないモノって身近にあるものでは・・・「怖い物」でしょうか(笑)。
「愛とか希望」と言うのも見えない範疇にあるとすれば、広い世界になりますが、
「空気とか電気」も見えないですね。
太陽から降り注ぐモノも見えません。
「太陽風」と言うのがあります。太陽から発生した高温で高速な粒子が地球に届いています。
太陽から届いてくるプラズマ(粒子)が大気圏内でイオンと電子に分かれ(電離)た状態が地表から60Km~1,000Kmの間に存在します。その電離した部分(高さ)によってD層、E層、F層と区別され、電子密度の増減により様々な無線通信に影響を与えます。
太陽からのプラズマにより
D層の電子密度が高くなると・・デリンジャー現象が起こります。
デリンジャー現象になると短波帯の通信が途絶えたり、高圧送電線に影響が出て大規模な停電も過去に発生しています。宇宙空間で活動している人工衛星、有人ステーションにも多大な影響が出ると言われています。
太陽風により地磁気圏が乱れると
F層の電子密度が増減し電離圏嵐が発生し通信が途絶えるなどの影響が出ます。
E層では、スポラディックEと言われ、夏場に発生、約10Km四方の狭い範囲、多数発生する、時速200km前後で(雲のようであるが見えない)で移動することが分かっています。
国立研究開発法人情報通信研究機構のホームページある宇宙天気予報で
太陽領域の太陽フレア、プロトン現象
磁気圏領域の地磁気錯乱、放射線帯電子
電離圏領域の電離圏嵐、デリンジャー現象、スポラディックE層
それぞれのレベルを見ることが出来ます。
そして本題ですが
見えない壁とは、電離層のことです。
アマチュア無線では短波帯を使って海外との通信を行っています。日本時間の夜中でも相手が朝方だったり夕方であり24時間誰かと繋がり(そのため不規則な就寝、寝不足も発生(>_<))、レポートの交換をします。
特に現在はFT8と呼んでいるデジタル通信で小電力かつアンテナが弱小でも交信することが出来ます。ノイズと呼ばれている雑音よりも小さな信号もパソコンの能力で、電波解読して復調(目で分かる無線符号、数字等で画面に表示)します。
日本から朝方に北米、南米の局、夕方から深夜にヨーロッパ、アフリカ局が定番なのですが、最近は夕方や深夜に北米、日中に南米が届いてきます。
コンディションが良い状態が最近続いています。北半球の(日本では)夏の暑さは蓄熱の影響もあり8月がピークですが、太陽からのプラズマは夏至がピークとなり、6月が通信状態が良い時間帯が増えることになります。電子密度が高くなると、空に浮かんだ鏡のように電波を反射させ、何度も繰り返し遠方に届くことになります。
リアルタイムで状態を確認します。
こちらは
電離圏ワーキンググループのトップページです。(リンク自由とのことです。)
このページ中の「リアルタイムデータ」を見てみます。
イオノゾンテの観測において
稚内(北海道)、国分寺(東京都)、山川(鹿児島県)、沖縄のデータが見ることが出来ます。
こちらの図は斜めの角度で電波を発射して届く距離を表しています。(垂直に電波を飛ばして発射地点に戻る電波観測の他に、発射角度をつけて飛ばし、届く距離等をデータ化しています。)
距離別、時間経過をグラフ化したモノです。いつどの周波数が長距離に飛ぶかが分かります。夜間、周波数の高い(50MHz)電波は飛ばないです。
グラフを見ますと100MHzを超えて届いてる時間帯があります。FMラジオの帯なので、思わぬ遠方のFM局が聞こえてるかもしれませんね。東京でしたら北海道や九州のFM局が入感します。
このグラフはイオノグラフです。
見えない壁を「見える」化したものです(^o^)。
上空50Kmから100Kmあたりに赤い(電子密度の濃い)帯が見えます。
これがスポラディックE層です
国分寺のデータでは5MHzあたりです。このグラフは垂直に電波を発射して戻ってきた周波数、距離のデータです。(観測にはGPS衛星を使っていることもあります。GPS衛星から発射されている2種類の周波数が違う電波を受信して、2つの電波の時間遅延差を計算してグラフ化)
垂直データが5MHzでしたら、約3倍の15MHzまでが壁を反射して遠距離に飛びます。
20MHzまで赤く帯が出来ると、約60MHzまで飛ぶので、50MHzのアマチュア無線周波数は大賑わいになります。
400Km上空にはE層
800Km上空にはF層が見えています。
E層やスポラディックE層の電子密度が高くなり反射するのが増大となって相手に強力に届くことは良いことかもしれませんが、逆にF層を利用した通信がダメになることがあります。電子密度が高くなるE層に吸収される周波数があるからです。片や(高い周波数)良ければ、希望の(低い)周波数がダメということになります。一喜一憂です。
FT8のデジタル通信を始めて今日で丁度11ヶ月です。
海外との交信が1900局を超えました。USA200局、ドイツ82局、イタリア52局、スペイン43局など南極大陸を含む全大陸との交信です。
交信の楽しみや、相手国や絶海の島との交信の状況を調べたりSNS等で親交を深めるためアマチュア無線専門のサイトにも登録しました。
一つ目はQRZ.comです。
QRZとは通信の符号(世界共通のQ符号)で「誰がこちらを呼んでいますか?」の意味です。
コチラに登録すると、所在地(県、都市名)、氏名(ハンドル)等、写真でシャック(無線室)やアンテナ、趣味などが掲載できます。QSLカードの転送方法なども記載できます。交信した後に、QRZ.comでコールサインで検索すれば表示することが出来ます。
二つ目はeQSLです。
インターネットがない時代のアマチュア無線では、交信の証明となるQSLカードをビューロー経由(ビューローは後述します)でまとめて日本の無線団体に送り、国ごとに仕分けされ相手無線団体に送られ、それで個人の局へ国内郵送され手元に届くのが基本でした。直接郵送で返信封筒と国際切手を付けて海外の相手に送ってAirMailで日本の自宅に届くのもあり(現在も)。
eQSLはデジタル通信FT8を始めると、この方法が便利です。交信した直後にサイトを通じて相手局から電子的に交信証明のQSLカードが届きます。印刷してコレクションしています(^o^)。自分からも気に入った写真を背景にしたカードを届けています。
カードには自局のコールサイン、位置情報(全世界で定めた枠の数字、グリッドローケートの符号等)、名前、無線機アンテナの情報、データ欄は交信した年月日、周波数、受信した電波の強度がインプットされます。
この数値データなどは、全自動です。あらかじめ登録したデザインのカードに、交信すればeQSLサイトに自動でデータ送信しており、手で打ち込むことはありません。届いているか、いないかをサイトのインボックスで確認すればわかり、届いていたら、クリック一つで表示、印刷をパソコンで指定すればプリント(A5版(A4用紙で印刷後に二つ折りにして紙を保管))です。
さて、三つ目はARRLのLoTWです。
ややこしいですが、アメリカ「アメリカ無線中継連盟」の「ログブック オブ ザ ワールド」LoTWです。
ARRLは非営利団体のアマチュア無線愛好家の団体です。
世界各国のアマチュア無線家がこの団体に登録して、交信記録をデータアップロードしています。アワードで有名な団体でもあります。全大陸交信アワード、DXCCのエンティティー数のアワード等歴史もあります。
昔は集めた紙のQSLカードを送って認可されなければ各種アワードを貰う(交付される)ことが出来ませんでした。電子化が進んだ現在では、データをアップロードすれば(有料で)交信記録が認められた場合にアワードが貰えます。認められた場合とは・・・
交信したデータ同士をつけあわせするのも電子的に行われ、正規に交信した証が、相手局からもデータがアップロードされれば、付け合わせが行われ、正規な交信と認められるからです。そのために、登録して適宜アップロードしています。無線局免許状や従事者免許証のコピーをネット経由で送信して認証を得てからTQSLというソフトを使い電子的にアップしています。相手もアップしていれば交信成立が認められ、アワード申請が出来ます。
そして我が国の・・・
JARLです。
日本アマチュア無線連盟と言う団体の会員になっています。
会費を払うと、マイページも登録でき、メールアドレスもコールサインで登録できます。
上記で「QSLカードをビューロー経由」と記載しましたが、コチラに交信した相手局へカードをまとめて送付すれば、相手国へ、相手局に届くことになっています。ただし、DPR of KoreaやIranなど無線団体との相互契約がない国や郵便関係が悪い国などには届きません。
長々となってしまいましたが、見えない壁に打ち当てる電波が何処まで届くか、届かないか一喜一憂の日々を暮らしています。興味がある方、免許を取得して無線機をクルマにも積載して飛ばしませんか?
あ(^_^;)この場合の「飛ばす」は電波ですから~(笑)。