微睡の後・・・

※この画像は、本文とは関係は有りません。

　　・・・・・・何故、あのような夢を見たのか？

　　　　　　　実は、心当たりは有った。そう、それは

　　　　　　　　　　多分、これから起きる事への不安の

　　　　　　　　　　　　　　　　裏返しではないかという事に・・・

　アツく想いのたけを叫んだ私は、少しすっきりとした気分に落ち着いた。でもまだ何も始

まってはいないのだ！　何故なら、これからが本番だからだ。「ヨシ！」と、一つ気合を入れ

た私は、布団から飛び起き、赤みを帯びた西日が射しこむバスルームへと向かった。全て

を脱ぎ捨て、少し熱めのシャワーを浴びる。そして、頭の中でこれからの行動予定を反復する。

まず彼女を迎えに行く。勿論ポルシェだ。そして横浜に行き、夜景の綺麗なフレンチレスト

ランで食事をする。当然ワインはOpus One 2008だ。その後二人で山下公園を歩きながら、

……そう、彼女の命が自分の命より大事な存在へと飛翔する事を宣言するのだ！！…

　彼女は目に涙を浮かべ、私の胸に飛び込んでくる。そして明日の朝まで、二人は愛し合うのだ…。

「ふーっ」と、バスタオルで濡れた頭を拭きながら、考えを整理する。目の前にある鏡に映る

自分に言い聞かせる。「大丈夫だ！全て上手くいく！」　自分への視線を外す事無く、軽めの

オーディコロンを、その強靭な肉体に擦り込んでいく。勿論今日という日は全身勝負服だ。まず

Calvin Kleinのインナーを身に着け、DOLCE＆GABBANAのワイシャツに袖を通し、ネクタイは

Viviennee Westwoodのブルーで、スーツはBURBERRYのモダンフィット２ボタンだ。靴は悩んだ

末SANTONIのダブルモンクにした。おっと、忘れちゃならない、勿論勝負パンツは、カタクラの

絹の赤褌だ！　そのすべてを身に着けると、だんだん心が引き締まっていくのが分かる。最後に

ROLEX Submariner Dateのグリーンを左手首に付け、身も心も大人の男になる儀式を完了させた。

洗面台のヘリに両手をつき、もう一度鏡に映る自分の顔を睨みつける。その顔は明らかに大きな

決断をする一人前の男の面構えになっていた。しかし、その両腕は小刻みに震えていた…。

　「よーっしゃー！」

意を決してポルシェのキーを掴み、颯爽と乗り込み、大きなブリッピングをかまし、ポルのオイルと

バッテリーに喝を入れ、シフトノブを１速に叩き込み、猛然と走り出した。そう、それは未だ消えぬ

不安を打ち消すかのように…。


　　つづく！