微睡の辿り着いた場所…

　　「む、ンン、い、いや、イヤ、やめ、ング…て！」

　　私はそんな彼女の抵抗を無視したまま、手を、

　　この白く美しい太腿に這わせていく。

　　「だっ、だめっ！」

彼女はミニスカートの裾を掴み、渾身の力を振り絞って、恥部を両手で必死にガードした！

その時！　「……！？」　ガァァァ―――ンン！！

私の後頭部がハンマーで殴られるような衝撃を感じた！　私の視線は一点を凝視した。


　　　……私は見てしまった。　　彼女の…薬指に光る…リングを…。


ヘナヘナと、急激に力が抜けていく。正面を向きシートにもたれ掛ると、天井を仰ぎ、長く深く

息を吐き出した。沈黙が車内を制した。

　「……ごめんなさい」

彼女が口を開いた。謝るのはこちらだというのに、彼女から謝った事の方が、寧ろ私の心に

トドメの槍となって突き刺さる。



　　「いつ？」

　　「一昨日渡された…」

　　「どんな男だ？」

　　「とても…、そう、とても優しい人。そして、とても弱い人…」

　　「……」

　　「貴方みたいな…、貴方みたいな強さなんて無い！！　でも、とても…愛おしい人…」

　　「そうか……」

不思議と、悲しみは湧いてこなかった。ただ、淡々と時が流れて行くのを感じた。

また、二人の間に、長い沈黙が横たわった。彼女は唇を噛み締め、その手が指輪を守るように

ギュッと握りしめられていた。そんな姿を見た瞬間、私は肩の荷が下りたような感覚に包まれた。

フッと口元に微笑が漏れた。

　　「分かった…。送って行くよ！」

　　「う…ん、ありがと…」

いつの間にか走っていたシーサイド。その潮風に逆らうようにポルシェを走らせる。

そんな時、オーディオからは、優しい歌声が聞えて来た。思わず私も口ずさむ…。

　　　　古い画像データーの中にぃ～♪
　　　　隠れて、エロ画像がいっぱい♪
　　　　無邪気な笑顔の下の下着わぁ♪
　　　　破廉恥下着ぃ～♪

　　　　大人の階段昇る、君はもう女王様さ♪
　　　　自宅には貴方がきっと♪
　　　　運んでくれると知っているよね♪
　　　　娼婦だったといつの日か、想う時が来るのさ♪


　　…そして、彼女の自宅近くの公園に車を止めた。


　　　つづく！