ステーキ屋の駐車場は余り大きくないので、
フィット1台に乗車して向かう事にした…。
♪ひとっつ ひとより ちからもちぃ~
ふたっつ ふーるさと あとにーしてぇー♪
車内は、“大ちゃん数え歌”が、“吉田よしみ”こと、現在の天童よしみによって、大音量で
鳴り響いていた!
「ブフォ!!」
いきなり女史が噴き出した!
「何よもう! 車の中までノスタルジックに!!(笑)」
たまたまではあるが、今カーステレオに入っているCDは、マイ・フェイバレット・ソングCD第五巻
だったのだ!(苦笑)
因みにこのCDに入っている他の曲は、“チャンチキおけさ”や、“恋の季節”や、“ふしぎなメルモ”
等が入っている(爆) 更に言えば、このCD第一巻には、 “イヨマンテの夜”や、“カスバの女”。
そして“ケンとチッチとポッポのチャチャチャ”等が入っている…。 一体、俺は幾つだ!?(追爆)
数分後、少し離れた所にある店の駐車場にフィットを停めて店へと向かった。まだ開店時間まで
5分ほど残っていたが、中で店員が動いているのが見えたので、かまわず店のドアを開けた。
「いらっしゃいませ!」
途端に元気の良い声が返ってきた。
「もういい?」
「はい、大丈夫ですよ! 奥の席へどうぞ!」
二人が席に着くと、店員がメニューを持って来たが、私が注文するモノは決まっているで、それを
下げさせ直ぐに注文をした。
「300gのセット2つで、一つは大盛りにして! それに焼き方はミディアムレアで
サラダとアイスコーヒーは先に持って来て! あとセットの一つは、ミートカットして!
おっと忘れるとこだった。ハンバーグステーキも単品でお願い!」
忙しく注文を取り終えると、店員が言った。
「駐車場はご利用ですか?」
「うん」
「では少々御待ち下さい!」
そう言って、店員が奥へと姿を消した。以前も言ったが、この店の駐車場は少し離れた所にある
為、店側が気を使って、その駐車場を利用した客に対して“クジ”を引かせるというルールがある
のだ。鉄製のクジ棒が10本入っている缶から1本引き、その先端が白いものが”当たりクジ”である。
当然の事だが、確率は10分の一となっている。因みに少し前までは別の道具によるクジだったの
だが、最近はこの新しいクジ道具となっている。理由は明瞭。私が密かに当たり棒に印をつけてい
たので、正に百発百中となっていからに他ならない(大自爆)
と言う訳で、現在のくじを、私は当てる自信が無かったのは当然の事である(苦笑)
「どうぞ、1本引いて下さい」
戻って来た店員がクジ棒の入った缶を二人に示した。
「あ、女史が引いて!」
「だめよぉ~!ダメダメ!! しんげんさんが引いて!」
「もうオイラわかんないのよ! だからココは、女史が引いて!」
「だめよぉ~!ダメダメ!! しんげんさんが引いて! だって…」
そして伝家のセリフが発せられた。
「アタシ、今日はツイてないから…」
話はファーストコンタクトの時に遡るが、コチラが指定した場所にとても早く着いたので、てっき
りカーナビを使って来たのかと思ったら、今乗っている1BOXカーにはナビがついていないとの事
だった。
「アタシ、今日はツイてないから…」
「でも、良く来れたね?」
私が感嘆の言葉を発すると、女史はドヤ顔で、
「勘よ勘! 一発で来れたわよ! あははははは!」
という場面が有ったのだ。
「本当にツイてないのだろうか…」
と疑問が上がったのは言うまでもないが、本人が言うのだから反論は出来なかった・・・。
「でも…、やっぱり女史が引いて! こういう時は初めての人が引くモノよ!」
無茶苦茶な理論ではあったが、その言葉に納得したか、女史が身を乗り出し言った。
「いいの私で? じゃあ引くね! 本当に私、ツイてないのよ今日!」
と言いながら、迷う事無く、
「エイッ!」
っと、くじを引いた。
「あら! やっぱりハズレちゃったわ!」
と残念がる女史が引いた棒の先は、しかし、これでもかという位、白く塗られていた(核爆)
「え? あっ! 当たりデース!!」
店員が店中に響き渡る声で叫んだ!
「ほら! やっぱり! 通ればリーチ 根拠無し!」
では無いが、ナンカそんな予感がしていた(爆) “間違いなく、彼女は何か持っている!” と…。
「オメデトウ御座いマース! 当選品のビール券です!」
そう言って笑顔でビール券を渡された女史は、満面の笑みとなっていた。が、直ぐに顔が曇った。
その余りの変化に、訝しく思った私は女史に尋ねた。
「どうしたの?」
すると、思いつめたような表情で私の正面を見据えた。
「あの…」
「あの?」
「私…」
「私?」
「お酒…飲めないのよ!! ダハハハハハハハ!!」
私は思わず、“カックン”した(爆)
「ま、旦那が飲むから、コレ貰っていい?」
「どうぞどうぞ! オイラは、まだ余っているから」
「そうだったわね!」
と言って二人は、ケラケラと笑った…。
小1時間後、店を出た二人は一旦家に戻り、そこで別れる事にした。
「本当に今日はゴチソー様でした!」
ペコリと頭を下げ、しかし楽しそうに笑った。
「イエイエ、お粗末様でした」
「じゃあアタシ、ホテルに戻るから…」
「そう言えばホテルって、何処に泊っているの?」
「新横浜に有る〇〇ホテル!」
「えっ? 高級ホテルじゃん!」
「そうなの? 急に決まった出張だったから、ホテルがとれなかったのよ!
アタシ、今日はツイてないから…。
そしたら上司が唯一空いていたソコに泊っていいからって、お金くれたの!」
「…ふーん」
暫く沈黙が続いたが、そこで軽く挨拶をして女史を見送ろうとした。が、その時、
「あ~あ…。行けるかな…」
と、しょんぼりした表情でクルマに乗り込んだ。一応聞いてみた。
「どうしたの?」
すると、堰を切った様に返答し始めた!
「ほら、アタシ、今日はツイてないから、ナビが無いから新横浜まで行けるかどうか…」
確かに関西の方には難しい場所ではある。なので、ココは犬の散歩ついでに女史をホテルまで
送ろうと決め、急いで愚弟をフィットに乗せて、ついて来るように言った…。
途中、西条秀樹の家や某映画が撮影されていた場所等を案内しながら、2台は新横浜へと向
かった。そして、港北ICの付近に近づくと、
「ほら! 右前方に有る大きな建物が、バーキンで有名な
マルカツだよ! 今はクライスジークだけど!」
「うわー!凄ーい!」
等と、つかの間のクルマデートを楽しんだ(笑)
そうして巨大な日産スタジアムを横目に走ると、もう目の前は新横浜の街である。
「ココから先は解る?」
女史にそう告げると、
「もうホテル見えたから大丈夫! ありがとう、ココでイイよ!」
「了解! じゃあ、またいつか! というより、俺が関西方面に行った時は、アテンド宜しく!」
「あはははは! 期待しないで待ってマース!」
そうしてお互い車内から手を振って別れた…。
女史のクルマが、ホテル街へと姿を消すのを見送った後、コチラも大きくハンドルを切った。
「恐らく、あの妖しい1BOXの中で、“アタシ、ツイテないから…” とでも言っているのだろうか?」
そんな考えを一人苦笑しながらつぶやくと、煌めく新横浜の街を背に、帰路へ着くべく、フィットを
走らせた。いつもの様に後席では、愚弟がスヤスヤと気持ち良さげに寝息を立てていた…。
おわり!
※、尚、念の為ですが、これらは全て、ワタクシの勝手な妄想ストーリーですので、
予め、誤解無き様に、お願い致します!m(_)m
でわでわ!(笑)