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イイね!
2015年02月02日

いざ!幕張メッセ! …時の流れに身を任せ… 第十二話 虚無

いざ!幕張メッセ! …時の流れに身を任せ… 第十二話 虚無
 「ツー・ツー・ツー」

 虚しい電子音が乱雑部屋に木霊する中、しかしすぐに

ソレを止めようとは思わなかった。色々と頭の中を整理

しなければならなかったからだ。

 「まず最初にしなければならない事は…」

私は辺りを見回し一つ溜息をつくと、ようやく携帯切りボタンを押し、踵を返した…。


 足元でうろつく≪まっくろくろすけ≫を抱き上げると、電気を消して部屋から出た。仔犬は大人しく

私の胸に凭れ掛かった。その余りに不憫な表情にまた怒りと悲しみがこみ上げてきた。しかしその

感情を振り払い、もう一度戦闘モードへとスイッチを切り換えた。先程の輩達が更に仲間を呼んでい

る可能性があったからだ。私は≪まっくろくろすけ≫を左腕で抱き抱えながら階段を降りて行った。

また全身にアドレナリンが巡って来た。不謹慎だが、何か、子連れ狼の≪拝一刀≫の様な気分に

なった…。


 幸いと言うべきか、少しやり過ぎたというべきか、未だチンピラ達はウンウン唸っていた。気絶し

ていた者も居た。その気絶している、頭髪と眉毛の無いチンピラAを俯せにさせ、その左腕を腰へ

回し、ツナギの様な服を留めているベルトに絡ませて固定させると、その腰を繋がれた左腕と共に

踏みつけ、残りの右腕を取り、思いっきり後ろ手に捻り上げた。

 「…!」

一瞬の呻き声のあと、盛大に悲鳴が上がった。

 「うぎゃー!! イテテテテテ!!!」

突然の大声に、ビクッ!っと身体を震わせた≪まっくろくろすけ≫を目で宥めると、あっと言う間に

目を醒ましたチンピラAに話し掛けた。

 「えりかは何処に居る?」

まだ何も事情を飲み込んでいないチンピラAが、あたふたと首を動かし言った。

 「な、なんな、なんなんだよ!!なん・・・・!!」

その返答が終わらぬうちに、もう一度右手を捩じ上げた。

 「ギャーーーーー!!」

目を剝き、一気に冷や汗が噴き出たAの耳元に、もう一度言った。

 「えりかは何処に居る?」

一瞬目が泳いだAは、言おうか言わないか迷っている様だった。

 「もうあと、5センチ程中に寄せると、お前の肩が外れるか、靭帯が伸びる事になる」

そう言って、更に強めに力を入れようとしたした瞬間、

 「ま、まままま、まて、い、いう、言うから!」

しかし私はもう一度右手を捻り上げた。

 「ぎゃーー!な、何でだよ! 言うって言ったろ!!」

 「コラ、このクソガキが! 誰に向かって喋っているんじゃ、このボケがぁ!」

今度はAの左手を踏んでいる左足に全体重をかけた。

 「ぐえぇーーー」

手首の激痛と腹を圧迫される事により、呼吸が出来なくなる苦しさに、今度は叫び声すらあげられ

ない状態となったAに諭すように言った。

 「オメェ、俺の息子位のクセに、なーにタメ口きいてんだ!敬語を使え敬語を!」

今や全身汗びっしょりとなっているAは、肩で息をしながら、ようやく叫ぶ事以外に口を動かした。

 「す、す、すません…」

と、また捻り上げた。

 「ギエェーーー」

 「お前、敬語使った事ねーのか! 大体、“い” が、抜けてんだろうが!」

 「すす、すい、スイマセン!!」

一瞬、自分は息子はおろか、結婚した事も無い事に気が付いたが、ココは無視して言った。

 「とにかくだ!」

間をおいて、今度は腹の底から声を絞り出して言った。

 「えりかは、何処に、居る…?」


 Aから情報を聞き出すと再度眠ってもらい、未だ唸っている他の輩に向かって、全員をこれまた

キッチリと眠らせ、Aとその他の輩のベルトを全て抜き取り、其々離してアパートの柱に括り付けた。

そして、所持物の中から運転免許証や身分証明書を抜き取ると、その全てを画像に収め、その他

所持していた携帯や財布と一緒に、暗闇の中に在る田んぼに向かって放り投げた。そして地面に

転がっている武器を其々後ろ手に括り付けられている手に一度握らせた後、“武器”と大きく書いた

段ボールで包み、人の気配がする家の入り口に立て掛けた。 恐らく通報されているであろうから、

駆け付けた官憲に解り易い様に! という親心だった。ついでに、全員のズボンとパンツを脱がし、

その場で用水路に捨てると、ひっそりと農道に停まっていたチンドン車の中からキーを次々と抜き

取り、それも全て田んぼの方へ投げ入れた。真っ暗闇の向こうで何度も水切音が聞こえた。これで

しばらくは時間が稼げるだろうし、いざとなったら、コチラの方から先制攻撃を仕掛ける事も出来る。

 ホッと、一つ息を吐くと、悠々とフィットへと戻った。エンジンをかけ、ゆっくりと来た方向にUターン

すると、思い切りアクセルを踏み込んだ。抱き抱えている≪まっくろくろすけ≫の身体は、震えたま

まだった。

 黙々と深夜の首都高を走る私の胸も、しかしこれ以上ない位、沈鬱になっていた。

 ≪まっくろくろすけ≫を抱く腕に力がこもった…。


 自宅に戻る前に、私は一旦高速を降り、或る場所へと向かった。

 東京の下町を形成する大きな街である某所の中に在る、1軒の古びた民家の前にフィットを停め、

≪まっくろくろすけ≫ を抱えながら車から降りると、もう深夜の一歩手前と言う時間ではあったが、

ココは躊躇せずにその“鈴懸”と書いてある表札の呼び鈴を押した。

 「ピンポーン」

何も応答が無かった。私は躊躇せず、立て続けに呼び鈴を押した。

 「ピンポンピンポンピンポンピンポン……」


 私の虚しい気持ちとは対照的に、深夜の住宅街にインターフォンの明るい音が鳴り響いた…。


   つづく

  ※尚、東サロ・コンパニャー・シリーズは、愛車紹介ポルシェ911 の

          フォトギャラリー内の → “ココ” に アップしていますので、どうぞご覧下さい!
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Posted at 2015/02/02 23:24:23

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この記事へのコメント

2015年2月3日 7:59
やる時は徹底してやる!ね・・・
...ψ(。。)メモメモ...
コメントへの返答
2015年2月3日 13:04
こういった輩には、絶対に優しさで対応しては
いけません!! 寧ろ私の顔を見ただけで
委縮するくらいの恐怖を植え付けないと、時間
が経てば反撃してくる可能性が出て来るので
冗談抜きで、殺すくらいの気持ちで対応しなけ
ればナランのですよ・・・(-_- )シミジミ

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犬、クルマ、バイク、食べ歩き等で常に忙しい休日を送っている、渋谷生まれの代々木育ち。でも今は川崎(笑) 遊びの資格を、結構持っているので(スキューバ、ボート、ス...
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