さて、遠視や老眼の場合の焦点は、左の図のように網膜の後ろで像が結ばれると説明しましたね。
皆さんは老眼の方が手元を見る時に、眉間にシワを寄せたり、目を細めたりして苦労しながら見ている光景を眼にしたことが有りませんか?
毛様体を動かして水晶体を引っ張って薄くするだけなら、私たちは普段から自然に行っていますから、そんなに力を入れることは無いですよね!?
じゃ、あの眉間にシワを寄せたり、目を細める行為は何なんでしょう??
眼で見た情報を私たちは脳に伝達し、脳は今までの経験で蓄積した情報なども基にしながら補完するという作業を無意識に行っています。
眉間にシワを寄せたり、目を細める行為には集中力を高めるという効果も有るそうで、眼から入る情報を基により多くに補完し、正確な情報として伝えようとするらしいです。
そして、同時に眼の内部では。。。。
先に説明した上斜筋と下斜筋を収縮させて眼球を横方向から締め付けることによって前後方向にイビツにするという動きをし、網膜の奥の焦点に、網膜を近づけようとしています。
前回書いた乱視の状態を少し図で補足説明すると
仮に縦軸方向の屈折を緑の線、横軸方向の屈折を黒の線で描くと上のように焦点距離にズレが生じます。
上の図は、わかり易くする為に極端にズレを表したので必ずしもこうではなく、近視なら両方が網膜より前で焦点が結ばれることも有りますし、焦点の位置は、個人差によって色々です。
視力検査の時に、放射線状に描かれた線のどの線かが濃く見えるかどうかで簡易検査しますね!
これとは別に
「利き目」というものも有ります。
手や足に「利き手」や「利き足」が有るように、目にもやはり「利き目」というものが有ります。
まだ全てが解明されているわけではないらしく、通説としては「利き目で物の情報を見て、反対の目は距離などの補助的なものをつかさどっている。」と言われています。
眼の外側に有り、眼球の動きや締め付けを担当している外眼筋の力は全てが均等というわけではありませんし、水晶体自体が歪んでいる場合も有り、外眼筋の緊張が解けてリラックスしている状態での視線の方向は、必ずしもまっすぐ前を向いていないことも有るというのは、なんとなく想像できるでしょ?
物を見る度にこの角度のズレや焦点距離のズレを無意識に私たちは外眼筋を働かすことによって補正し、眼に入ってくる情報をも脳で分析し、正しい情報として脳に送ります。
ですから物を見るということは、日常的にかなりストレスを受けるということなのです。
免許試験などの為に、遠くがハッキリと良く見えるメガネを作ったとしましょう。
その場合、時としてメガネにより少し遠視状態にして、眉間にシワを寄せたり目に少し力を入れて集中力を高めることにより、よりハッキリ見えている気になることが有ります。
そして、遠視の時と同様に外眼筋で眼球を締め付けて、眼球をイビツにして焦点を合わせようとしますが、これも疲れや肩凝りの原因となります。
以上の説明でなんとなく解ったと思いますが、良く見えるメガネを掛けることが必ずしも眼や脳にとって楽ではなく、きちんと自分の目の見え方の補正をしたメガネが“楽なメガネ”となるのです。
ちなみに私の場合、今まで使っていたメガネはずっと掛けていると何故か疲れていたのですが、私は「老眼になって来たから仕方ないかな。」と思いながら使っていたのですが、キチンと測定し直して頂いたところ、私の眼に対して少し強すぎる度数設定だったらしく、視線の修正などが正しく調整されている物でなかったことが大きな原因だったようで、乱視や視線などの修正をしてもらったら、今までの半分程度の補正度数で同様近く見えることが判りました。
遠くの景色を見る時に、どうしても眼に力が入っていたのが、ボ~ッと景色を眺めるような見方でもかなりハッキリ見えるようになったというのが感想です。
そうそう、白内障の手術をした病院では、「眼内レンズ装着後は1~2ヶ月程度はレンズが安定しないので、メガネはそれ以降に作るように。」と指導されました。
しかし、昨日の先生にお伺いしたところ、「外眼筋により視線のズレなどを無意識に修正しようとして眼球がイビツになることにより、レンズがズレることが有り、これが安定するのに数週間要るので、病院ではそのような説明をされるようですが、なぜズレなどが生じて安定しないかという説明が出来る眼科医が少ないのが現状です。 レンズを入れたその時から外眼筋による修正は始まってしまうので、出来るだけ早い時期に正しいメガネを掛け始めた方が、本来あるべき位置にレンズが留まるので良いです。」との説明だったので、術後4日しか経っていなかったのですが、メガネを作りに行ったというわけです。
アナタのメガネ、疲れませんか!?
(^m^)/
Posted at 2009/05/30 10:26:40 | |
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