2017年01月08日
車もバイクも大好きだけど何事も経験するのは大好き。
楽しい事でも、嫌な事でも、経験積むのは良い事だと思っている。
人の人格は、知識と経験によって形作られるからだ。
先回の投げっ放しブログの反省を込めて、「思い出話」の続きである。
しかも、今回はいつにも増してダラダラと長くなると思う。
スルーするか、我慢して読み続けるのかは皆様の自由である(笑)
先回の思い出話では個人の大工として、額面80万円の小切手が不渡りになった思い出を書いた。
今回はその約2年後の更に素敵な思い出。
今から20年程前。
個人の大工から法人格を登記し、会社組織にした。
その頃は、事務員も居ないし、事務所も借家であったが、15人を上回る職人を抱えて営業をしていた。
毎日忙しく経営は順調であったのだが・・・、またまた、不渡りを喰らってしまった(笑)
仕事の事業規模も個人の時に比べ10倍以上になってはいる。
当然、貰った手形も10倍以上の1000万円超だ。
大当たり(笑)
不安もワクワクも10倍以上。
ちょうど会社を立ち上げて1周年。
記念のプレゼントとしてはデカ過ぎる。
いや~、困った(笑)
・・・、ただし、今回は2か月以上前から、この日の為に準備していた。
不渡りが出るのは想定内。
この日の為に、この会社(以下A社)の社長には毎日の様に張り付いていた。
多い日には1日4回程A社に訪問していた(笑)
子細な情報を取り溢したくなかったのと、A社長との人間関係を作っておきたかったからだ。
これに関しては功を奏したと思う。
実はこのA社、数年前までは非常に景気の良い会社であった。
数人の個人にお金を貸したりもしていた。
不動産もあったが、これらは全て抵当に入っており手が出せない。
この2か月間、A社長と人間関係を作り、この様な情報を集めていた。
また、個人の貸金債権も何とか譲渡して貰い受けていた。
A社が破産宣告する前から、これらの債権取り立ての為の訴訟準備も行っていたし、建築工事中の物件は先取特権をタテに施主さんと残工事の請負契約を結ぶ準備もしていた。
時間の問題であった。
不渡りを出す予定のXデー前。
A社長の挙動が日に日におかしくなる。
昼夜に関わらず眼は真っ赤に充血し、たえずキョロキョロしていて、視線が定まらない。
全体的にオドオドし、来客があるとビク付く。
そうかと思えばやたらとテンションの高い日もある。
躁と鬱を毎日繰り返している。
この頃には、来客があっても居留守を使い始めた。
私の事は何故か信用してくれていたみたいで、気軽に招き入れてくれていた。
そして、いよいよ、Xデー当日。
先回の工務店の夜逃げと違い、事務所の前には沢山の関係者(被害にあった人達)が集まって険悪な雰囲気を醸し出している。
玄関には破産宣言代理人の弁護士さんの張り紙が貼ってある。
そりゃそうだ、今回は総額も大きい。
5億を超える債務額だ。
見物に出かけた。
ホント、不謹慎だとは思うが面白い。
アドレナリンでも出ているのだろうか、高揚感がハンパなかったのを思い出す。
しかし、実際は私自身も準備をしていたとは言え、本格的に回収を掛けるのはこれからである。
まだまだ、予断は許されない。
もう少し実印を戴きたい書類もあった。
・・・、しかし、この当日、A社長は行方をくらませた。
携帯電話も不通である。
・・・、誤算であった。
準備もしていた積りでもある、自分は大丈夫との根拠のない自信をもって、安心しきっていた。
結局、数日後、A社長が最も信頼しているであろう人物と渡りを付け、在る物を餌にA社長を深夜の公園に誘き出した。
もう、この辺りになると自分がクライムムービーの登場人物にでも成った様な気分である。
知り合いの業者と2人で、深夜の公園に向かう車中、気分はジョン・トラボルタとサミュエル・L・ジャクソンである。
チーズ・ロワイヤルの話でも振ろうかと考えたが、相方はそんな雰囲気でも無さそうなので辞めておいた。
とにかく、面白い、可笑しい、楽しい。
A社長はどこで入手したのかボロボロの軽自動車で深夜の公園にやって来た。
とうぜん、そのまま拘束。
A社の事務所に向かう。
後は書類に実印だけ戴ければ、私の本日の業務は終了なのだが・・・、いや~、やっぱりね、世の中は面白い。
我々が事務所でゴソゴソしていると深夜に関わらず突然の来客。
ずっと、事務所を見張っている人達がいるのだ(笑)
最初にやって来たのは企業舎弟の3人組。
彼等は苦虫を嚙み潰した様な顔をして名前だけ名乗ると、どこかに電話して指示を受けた後、ソファーに腰を落として成り行きだけ見ている。
なぁ~んか、楽しくなさそう(笑)
たぶん、我々の要件が終わった後、身柄でも押さえて何処かに遊びに行くのであろう。
しかし、私はA社長の身柄に興味は無い、欲しいのは判子だけ(笑)
次の深夜の来客は、これまた、強面の不動産会社社長。
パジャマ姿で出刃包丁を持ってご来店。
喚き散らしながら包丁を振り回している。
よっぽど悔しいのだろう、「腹を切って自殺せぇー!」と強要している。
事務所の机を中心にクルクル廻りつつ、喚きながら包丁振り回す不動産屋と、青い顔して逃げ回る工務店社長。
まるでコントだ。
笑いそうになるのを堪えながら見ている私達と、怒った顔してソファーに座る3人組。
この対比もまたまた、私にとっては笑いのツボだ。
映画の様な、ドラマの様な、はたまた、コントの様な、貴重な体験をさせて戴いた一夜であった(笑)
準備段階も含め、非常に有意義な経験を積ませて頂いた。
私自身はA社長を恨んだ事は一度も無い。
嫌いでも無かった。
私にとっては大きな額面の不渡りではあったが、何とか半年掛けて回収にはこぎ着けた。
この経験には、感謝に近い気持ちすら感じている。
更に、その月の月末。
当社の支払日であった。
これもまた、皆様の意外な一面が見られて良かった。
公私共、一番仲良くしていたと私が思っていた、ある業者さんはウチが不渡りを喰らったのを知ると、支払日前にも関わらず集金に来た。
早く払ってくれと言う。
悔しかったが、思わず笑ってしまった。
その他の業者さんは私に対して同情的であった。
「厳しいでしょうから、一月位なら待ちますよ。」と皆さん仰って頂いた。
素直に嬉しかった。
余計に意地でも支払い日は守ろうと思い、少し頑張って、その月の支払いを払い終えた。
この件に関して、確かに金額的な回収は出来たが、回収にほぼ半年。
私の人件費を考えると少し赤が出た。
手元に残ったのは、貴重な人脈と経験である。
もちろん、それだけあれば充分である、これ以上の利益はない。
やはり、ダラダラと長い思い出話となった。
思い出話はまだまだ、続く。
今回も、話を引っ張る。
私の悪い癖なのだ・・・、スイマセン。
Posted at 2017/01/08 13:43:04 | |
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