微睡の中で・・・

　・・・ふと気づくと、私の瞳の中には、


　　　　　　　微笑む彼女の姿が映っていた・・・。


　久しぶりにポルを出動させた。快晴だが、まだまだ真冬の寒さの中、しかしオープンで峠を

ひた走る。背後からは心地良いフラットシックスのエンジン音が、私の心と体をくすぐる。次々

と体を通り過ぎて行く木漏れ日も、何故か私に笑みをこぼれさす。コーナーが近づく！　右手

は無意識のうちにシフトノブを掴み両足は軽快にヒール・アンド・トゥのダンシングだ！　ファン

ファンファオーーン！　エキゾーストノートが峠に木霊する！　しかし、軽い横Ｇがかかるのを

無視するように、右足のスロットルペダルは深く踏み込まれた。クオォーーンン！　美しい軌跡

を残してポルシェはコーナーを立ち上がっていく・・・。そうして山頂に着いた時、この天国に一

番近い場所へ、神様からのプレゼントが私に与えられた。そう、それは雲一つない空から降り

注ぐ燦々と輝く太陽と、ポルの助手席に佇む美しい彼女の姿だった。その女神の様な微笑み

が、暖かい毛布の様に私を包み込む。今は冬。でも私の心は春だった。導かれる様に彼女の

隣に座り、その壊れそうな華奢な肩を引き寄せた。少しびっくりしたようなしぐさを見せた彼女

ではあったが、その口元から笑みが消える事は無かった。しかし口を塞いで、その笑みを消す

べく彼女の顔に、私の顔を重ねていく・・・。


　　　　　　　　・・・そして私の瞳の中には、微笑む彼女の姿が映っていた・・・。

　　身体を重ねる私達を祝福するかのように、小鳥たちの囀りが、いつまでも響き渡っていた・・・。



　　　　　　・・・・・・という夢から覚めた時、時計の針は午後四時を指していた(超爆)


　　　しばらく呆然とするオッサン。　しかし、いてもたってもいられず、叫んでしまった！


　　　「あああああぁぁぁっぁぁ――――！　燃えるような恋がしたいぃ！！！」(追爆)


　　　つづく！