現在、過去の写真や画像を、“さる事情” により
纏めておりまして、当然の様に懐かしいモノや
忘れていたモノまでが出土し、その度に思い出に
耽り、手が止まっております・・・(苦笑)
実はこの様な状態だったので、突然思い出したような格好で、“オイラの愛車遍歴” を、スタート
した次第なのです・・・(^。^;)
そして今回は満を持して、“或るクルマ” の思い出を語ろうと思います。
それは、私の人生に於いて、最も影響を与えたクルマと言って断言してよい存在なのです!
故に、想い入れも大きく、話し出すとキリが無い位、色々な思い出が蘇って来ます!
という訳で今回から、10回程度のシリーズ物として、アップして行こうと思います。 また、全てが
専門的な話、若しくは、長文となる可能性があるので、興味の無い方もおられると思いますが、そ
の様な場合スルーして結構ですので、オッサンの思い出話を遠くからでも見守って下され!<(_)>
それでは、始まり始まり~~~!!!
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AMG(アー・エム・ゲー)・・・・イイ響きです。なんかこう“至高の極み”といった言葉が浮かんで来
ます。只でさえ凄い車であるメルセデスを、更にチューンアップしちまおうというのですから、
「凄い凄い」
若しくは
「チョー凄い」
車となってしまうのは、当然の事です。この領域に達している同格のチューナーといえば、
“アルピナ” と “ルーフ” しか世界には存在しないと断言出来ます。
「ケーニッヒはどうした!」
という声が挙がるかもしれませんが、個人的にはアレは、少々 “お笑い” の要素が含まれていると
思っていますので外しました。例えて言うなら“美川憲一”でしょうか(爆) 強そうで弱い。怖そうで弱
い。そしてその実体は弱い(超爆) とにかく派手だが、燃え方も派手(超超爆) といった所が私の実
感ですので・・・。
と、ケーニッヒオーナーを敵に回した所で話を元に戻しますが、私は過去に4台のAMGに長期短期
含め乗った事があります。
1台目は190E2.0で、私の初の外国産の愛車でした。(愛車紹介アップ済み)
2台目はバブル全盛の時代に某広告代理店の社長の車としてその威容を誇示していた560SEC6.0
ハンマーバージョン!色はブラックフルカラーで、全面スモークフィルム貼りまくり車でした。
まあ、いかにもってヤツです。後に愛車となります。(愛車紹介アップ済)
3台目は300E3.2で、色は黒に近いブラウンです。イイ車でした。(借り物)
4台目はG55ゲレンデヴァーゲン色はシルバーです。これはゲレンデが人気絶頂の頃乗った車で
した。(借り物)
因みに、ドイツ語では “M” を、
「えむ」
と発音しますので、
「A;あー M;えむ G;げー」
となります。一部巷で“アーマーゲー” と、間違えて言っている方は、語呂がイイからと、楠木みち
はる氏の漫画の影響によるものだと思います・・・。
そして今回の話は、一気に、二十数年前に遡り、私にとってエポックメイキングである、最初の
外車となった“190E2.0” を、お送りします…。
当時の価格は・・・まあいいでしょう。色はかなり深いブルーでした。内装も特注のコノリーレザー
が貼ってあり、更にこれも特注でボディー色と同色となっていました。前オーナーがおっしゃるには、
このオプションだけで新車のMR2が買えるとの事でした。単なる偶然かと思いますが、前回アップし
た、二代目911(964)も同じような仕様です。ひょっとして私は内装フェチなのかもしれません。足回り
も固められていて、車高もかなり下げられていました。そしてこれが悲劇第2幕の元となります。
(うわー。長くなりそう) タイヤ&ホイールもAMG流ドレスアップで、一目見ただけで金がかかってい
るのが分ります。コンパクトなサイズと相まって、とても私好みの車でした。何と言ってもAMGであり
ながら、5ナンバーですから。まるで日本用と思えるぐらいに日本の交通事情にマッチしていました。
しかしやはりAMGです。見た目はとにかくゴツイです。現在のAMGはかなり洗練されたイメージと
なりましたが、当時は下品なくらいに押し出しの強さが前面に出ていたエアロフォルムとなっていま
した。なので、5ナンバー車とはいえ迫力満点の存在感でした。コイン洗車場でW126「560SEL」の隣
で車を拭いていた時、そのオーナーから羨望と嫉妬の混じった視線を感じたものです。心の中では
「そっちの方が高いのに」
と思ってはいましたが、まあ何となく気分はイイものでした。
一方で動力性能に関しては、カタログ上のデータ―で見ればたいした事は無いですが、やはり乗
り味ともなると「絶品」の一言に尽きます。カチッとした剛性感。堅実な走行フィール。車両サイズの
把握の容易さ。適度な音量の室内音。スロットル開度に比例した音楽を奏でるエンジン音。走行中
にイヤでも目に飛び込んでくる、ボンネットにそそり立ち、キラキラと光り輝く、
“スリーポインテッドスター”
どれを取っても極上の空間がそこに存在しているような感覚に満たされます。こんな車で旅をす
る時のお供の音楽は、クラッック、特に「モーツァルト」(当然です)と、演歌、特に「八代亜紀」(爆)
でしょう。まあ後者はともかく、AMGとはいえやはりドイツの車であり、メルセデスであるのには変わ
りがないと感じた部分でした。でも亜紀ちゃんの“愛の終着駅”も捨てがたい!(笑)
話が逸れましたが、ドイツでは、職人が作ったモノに対する最高の賛辞は、
“堅実にして重厚”
だそうですが、ドイツ車がとてもよく分る表現だと思います。
インプレですが、まさに堅実にして重厚な走行フィールで、淡々と運転をいつまでも続けられる感
じがして、そのまましばらくすると運転している自分がいつの間にか偉くなったような錯覚に襲われ
ます。高速道路を矢のように疾走している時、前に遅い車が現れると、普段であれば、
「あーあ、遅い車に引っ掛かっちゃったなー」
位だったのが、AMGだと、
「オラァー! オラオラー! ツブすぞコラァ――!!」(爆)
に、変わっていました。しかし弁解するわけではありませんが、ドイツ本国でもAMGやメルセデスS
クラスのオーナーは上記と余り大差ない意味の言葉をドイツ語で、言っていると考えられます…。
やはり終始メルセデスAMGについてまわった私の印象の大半を占める言葉は
“王者・王道”
でしょうか。
“メルセデスにあらずんば、クルマにあらず” といった考えが、常にひしひしと圧迫してくるようでし
た。まあ、この辺がベンツの好き嫌いを分けるファクターの1つだと思います。
(個人的にはBMW派です)
太いタイヤ、固められた足、下げられた車高、小さなステアリングホイール、等で街中ではスキー
ル音をほとんどさせずにクルクル取り回す事が出来ます。
が、マイナス面は3つ。
・右ハンドル車が無い(当時)
・オーディオがショボイ
・硬派なチューニングメーカーにも拘らずMT車を何故か(日本では)設定して無い
という事でしょうか…。
或る日、AMGをドライブしていると最近出来たらしいオー○バック○が見えて来ました。
「何か買うか」
と思い駐車場へとハンドルを切りました。さすが車屋さんらしく路面はフラットです。まだ極低チンス
ポイラー装着車初心者であった私は、何の迷いも無く車を前向きに入れてしました。≪シャッ≫っと
した音と負荷は感じたが、スムーズな動作に変化は無かったので、深く考えずにそのまま進みまし
た。ガコン!一瞬フロント部分が沈み込み「装着完了」となっていました。現状など露知らず、私は
店内へとショッピングに向かいました。出来たばかりの店内は比較的空いており、相対的に、やる
気満々の店員の姿が目立っていました。別にそれに触発された訳ではありませんでしたが、ふと
チャチなオーディオの事を思い出し、小物だけを買う予定だったのが本格的なオーディオシステム
設置の打合せを店員としている自分がそこにいました。
当時まだ出て間もないMDを中心としたシステムに決めた後、具体的な車の配線状態とパワーア
ンプ設置場所を決めに車へ移動しました。担当の店員さんは、最初AMGを見てたじろぎましたが、
私に了解を得ると運転席に乗り込み手馴れた動作でPITへ車両を移動しました。そう、ここが分か
れ目でした。店員は前入れした車をまったく普通に動かせたのです。その一連の動作が私の深層
意識にインプットされました。これが後の悲劇の始まりとなった事は、後になって気づく事です…。
さて車の移動も終わり、スピーカーの選択に移りました。ところが、ここで問題発生。なんとAMG
に取り付け可能な国産スピーカーが無い事が判明。私自身国産音響メーカーの適合表をつぶさに
調べましたが、本当に無い事を確認しました。外車の弱点の1つです。とりあえず規格とサイズが
最も近い製品を探し出し、特注ワンオフでスピーカーの設置ボードを急遽作ってくれる事になりまし
た。この辺は外車の長所でしょう。店側の対応は非常に丁寧かつ迅速でした。まあ後で来る請求書
は、そこそこの金額になる事は仕方ありませんが・・・。当然大掛かりな作業なので、かなり時間が
かかる事になり、広い店内をブラブラした後、待合室で時間をつぶす事としました…。
数時間後、広い店内にアナウンスが流れました。
「AMGでお越しのしんげん様、MD・パワーアンプ・スピーカー等の
装着作業が完了しました。8番オーディオピットまでお越しください」
至福の時です。待合室では、作業を待っている車のオーナー達が、交互に視線を交わし誰だ誰だ
と様子を窺っています。その中を悠然と立ち上がるこの一瞬!は、何とも言えない優越感に包まれ
ます。肩で風を切るように待合室を出て行くと、ピットマンが取り付け作業の詳しい説明をしました。
今までのオー○バック○とは思えないくらい綺麗な取り付け作業と対応でした。満足満足。会計を
済ませる為に店内に戻ろうとした時、ピットマンが
「車は先程の駐車場に移動しておきます」と
言って、AMGを動かして行きました。私は担当の店員に店内のVIP席に連れて行かれて出された
コーヒーをすすりながら会計を待っていました。
「すげーな。コーヒーなんか出たのは初めてだ」
と、一人感動していると、担当が下にも置かぬ笑顔と動作で、請求書を提示しました。今まで美味
しかったはずのコーヒーが急に苦く感じられました。
「・・・・いーち、じゅーう、ひゃーく、せーん、まーん、
じゅーまん・・・じゅーまん・・・・・・・48万5600円(税抜き)!!・・・・」
口に運んでいたティーカップの中に、先程飲んだコーヒーが店員に気づかれる事なく逆流した・・・。
つづく!