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今回取っていたのは2部屋の為、御大尽も平民も分け
隔て無く、川の字での就寝となった・・・。
私の居る部屋は4人部屋となっており、私の布団は天井から見て真ん中右側だった。因みに
私の隣は、大川…じゃなく、ピッコロ兄様である。
さて、久しぶりに浴衣を着ようとクローゼットを開けたが、今まで宿泊した旅館に私の体に合う
サイズの浴衣には御目にかかった事は無かったので、余り期待せずに残っていた浴衣を広げ
てみた。
「ん? おお! ラッキー!!」
浴衣の裏地に、“特大”という文字が書かれていた。しかし喜び勇んで羽織ってみると、やっぱり
というか、かなり小さかった、。裾丈が短いだけでなく、胴回りも全然足りていなかった。一つ溜息
を吐くと、まあ、仕方の無い事だと気持ちを切り換え、帯を手に取り腹に巻こうとした。とその時“!
「う”っ! 帯が・・・届かない・・・」
一気にフリーズする私だったが、ココは気持ちを切り換え、何かないかと辺りを見回した。すると
押入れの中に、布団を≪まとめる為≫の紐が目に入った。無言のままソレを手に取ると、さりげ
なくではあるが、チラチラ周りから刺さる視線の気配を気にしない様に、そっと“紐”を腰に巻いた。
案の定、帯には長過ぎたが、短いよりは良いと気にせず結び終えると、一応確認の為“鏡台”の
前に立った。文字通り“帯に短し襷に長し”という諺を実体験する事になってしまったが、この状態
のまま上半身だけ肌蹴させると、まるで“エドモンド・本田”を彷彿とさせていた事に自ら恐怖した。
数分後、部屋の明かりが消され、ようやく長い一日が終わろうとしていた。辺りからは既に心地
良さげな寝息が聞えて来た。私はソレを子守唄代わりに瞼を閉じた・・・。
どのくらい時間が経ったのだろう、何か違和感を憶えた私が、ゆっくりと薄目を開けて見た。
すると薄暗いその視線の先に、ピッコロ兄さんの顔が有った。距離にして数十センチ。寝息が
顔にかかる位の近距離だった。暗闇の中、人知れずフリーズをしていた私の手に、これまた別の
違和感を憶えた。固まった顔をそのままに、眼球だけを下に向けた。今度は私の脊髄にゆっくりと
霜柱が立ち始めた。視線の先にはあったのは・・・。
二人で向き合い、手を取り合い、そして硬く握り締め合っていたオッサン達の姿だった!
「・・・・・・・・・・・・・。」
こうして深夜の暗闇の中、墓まで持って行くリストにまた一つ項目が加わった事を自覚しながら
私は再び瞼を閉じた。
夜が更け、そして朝が訪れた・・・。
寝ぼけ眼のまま朝食が用意されている部屋に入ると、典型的な“旅館の朝の和食の良い香り”
が、鼻腔の奥底へと侵入して来た。一気に口の中に唾液がと言う名のプールが充填される。
私の御膳は何故か2人前が用意されていた。訝しげな表情をオジキ殿に向けると、
「ああ、それ、保険屋の分ですよ。彼は自宅から来るから朝食一人分余ったんで!だから、
ココはしんげんさんにダストシュート・・・じゃなくて、朝食を堪能して貰おうと準備したんじゃが…」
私は其の申し出を有り難く受領した。しかしそうすると≪或る問題≫が一つ起こる事を予感した。
「う~ん・・・これじゃあ“オカズ”が多過ぎるな・・・ご飯・・・足りる・・・かな・・・」
尤もな疑問だった。そしてその予感は的中した!
私の居る島のテーブルに置いてあった御櫃が、あっという間に空になったのである! 何せ
同じ島に、私を凌駕する体躯を誇示する、FU〇IW〇RAの“フジ〇ン”に似ているが、雰囲気は
間違いなく無くKANSAIの“スジ〇ン”以外の何者でも無い“je〇us.〇氏”が鎮座していたのだから、
あっと言う間にこの島のテーブルは二人の“おかわり競争”の様相を呈してしまったのである・・・。
数分後、皆の居なくなった朝食の場に、しかし未だ鎮座している私の姿が有った。やはり二人
前のオカズは、私には少し多かった様だ。
そんな中、暫くすると部屋の襖が開いた。後片付けをしに来た仲居のオネーサンだった。その
オネーサンの第一声は、
「う”っ」
だった。しかし気にする事無く、チマチマとご飯を口に運んでいると、また部屋の襖が開いた。
今度は男性だった。そう、恐らく“使いっぱ”として様子を見に派遣されたであろう、何故か
先輩にも拘らずパシリとしてコキ使われていた“頑張れば4本指が入る保険屋さん”の視線の
先に、御櫃を抱えて黙々と≪残飯処理≫をしている、クマのプーさ…では無く、テレンス改め、
金〇男の姿が映っていたのであろう。一瞬フリーズをした保険さんは、しかし慌てて視線を外す
と、気が付いていない態で、これまた黙々と後片付けをしている仲居さんと、“さりげなく”という
演技の元、コソコソと談笑し始めた。しかしダーレも居ない部屋なので、否応なく二人の会話が
御櫃を抱える私の耳にもチラホラと入って来る。
「あ、保険屋さん・・・あのお客さんって・・・」
「シッ! アッチを見ないで、コッチを見ながらそっと話して!」
「ハッ! …ああ、そ、そうですね・・・、で、あの方は・・・」
「いや、G(オジキ殿)が連れて来たんで僕もよく判らないんだけど・・・」
「え? じゃあ誰も知らないお客さんって事?」
「いや、多分Gか、た〇組長が、ボディーガードとして呼んだんでは無いかと
思うんだけど・・・若しくは誰かの監視役として、ドッカの組から派遣されたか・・・」
「・・・。」
「まあ、あれだけ御飯食べてるから、≪クスリ≫はやって無いと思うけど・・・」
「え“~! 何かあったら、責任持って下さいよ~」
「俺に言われても困るよ、Gに言ってよ!!」
「相撲取りだって、あんなに召し上がらないですよ!」
「確かに、国民が皆≪ああ≫なったら、間違いなく国は滅びるね・・・」
まあ、私にとっては想定内の会話だったので、特に腹も立たなかったが、腹の虫が治まる事も
無かった。 と言う訳で、私は、ガバッ!っと立ち上がった!
ビククッ!! ッと、飛び上がった二人に、チョット語尾を強めに言った!。
「モグモグ・・・あ、あの~・・・モグモグ・・・その御櫃も貰っていいですか?」
今度は二人揃ってフリーズしたが、ギクシャクしながらではあるが、仲居のオネーサンがコクコクと
頷き別の島のテーブルに置いてあった手付かずの御櫃を、震える手で持って来てくれた。
「ああ・・・モグモグ・・・わざわざ・・・モグモグ・・・どうも・・・ズッズズウー」 と
味噌汁を啜りながら受け取ると、残りのオカズや味噌汁を御櫃に投入し、一気にかっ込んだ!
部屋に御櫃を啜る音が響き渡る中、何故か先輩にも拘らずパシリとしてコキ使われていた
“頑張れば4本指が入る保険屋さん”さんは、仲居さんに目配りをすると、帰って皆に報告を
するべく、そっと部屋を出て行った・・・。
つづく!
※尚、この日の模様は、愛車紹介ポルシェ カブリオレ フォトギャラリー
内の→
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でわでわ!