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しんげん神奈川のブログ一覧

2014年07月15日 イイね!

あれから、1ヶ月が経ちました・・・

あれから、1ヶ月が経ちました・・・
  あっという間に1ヶ月が経ちました。

 丁度、仕事が立て込んで来ていたので、落ち込む

 暇も無く、忙しく日々を過ごす事が出来ました!(^^)


  しかし仕事も一段落着き、そろそろ気分を切り換えようと、愚弟の痕跡が最も色濃く残っている

 フィットの車内を、清掃する事にしました・・・。



  しっかし、まあ、出るわ出るわ! 愚弟の居た跡が(爆)

 窓ガラスと、アームレストと、助手席裏と、後席ヘッドレスト等に、ナメクジの這った後の様な

 涎の跡とか・・・。

 零れた “おやつ” の残骸とか・・・。

 “カーペット” と化した愚弟の体毛とか・・・(爆)


  ま、なんとか、楽しい清掃時間を過ごす事が出来ました(^^)


  さーて、明日からも頑張ろう!



  ※ 尚、この日の模様は、愚弟が大好きだった、“ホンダフィット” フォトギャラリー内の

               → “ココ” にアップしておりますので、どうぞお立ち寄りください!(笑)


    でわでわ!
2014年06月24日 イイね!

“愚弟” の為に泣いてくれた、全ての方に 、「 ありがとう!!」

“愚弟” の為に泣いてくれた、全ての方に 、「 ありがとう!!」
 気怠い昼下がり。 いつもの様に居間のソファーに

座る私は、何をするでも無く、ただ、ぼんやりと目の前

の空間を眺めていた。オーディオから、悲愴ソナタの

“アダージョ・カンタービレ” が静かに流れている・・・。


 ふと、小さなお花畑を見た。フォトフレームの中に居る “愚弟” がコチラを見た。


 「兄ィらしくない選曲だな…。兄ィと言ったらやっぱりあの曲でしょ!!」


 確かに、真昼間には似つかわしくない音楽だと思った・・・。


 私は立ち上がり、オーディオに入っていたCDを入れ替えた。程無く、AKB48の

 「ラブラドール・レトリーバー」の華やかな旋律が部屋に流れ出した。私はKENT

から1本取り出し火を点けた。そして一吸いするとその煙草を消す事無く、灰皿に

そっと置いた。煙草の煙をゆらゆらと、たゆらせながら、私は今までの荒ぶった

感情が、少しずつ柔らかくなっていくのを感じた…。



























          「お前さんと出逢えて、俺は、俺は凄く、凄く幸せだったよ…」









































                   「ありがとな…… “我が愚弟”!」






    でわでわ・・・
2014年06月23日 イイね!

我が愚弟、最期の刻 “夜” ―― そして、コンは虹の彼方へ走って行った ――

我が愚弟、最期の刻 “夜” ―― そして、コンは虹の彼方へ走って行った ――
 「そうだ、あれをあげないと…」

私はポケットからいっぱいコンの大好きだった “おやつ” を

取り出しました。

 「ホレ! いつもはチョットだけど、今日は奮発するぞ!」

と言って、コンの口元におやつを置きました。すると隣から

更に何かを置く手が伸びて来ました。母の手でした。

 「コン! お前の大好きだったリンゴだよ! たーんと、お食べ!」

更に、もう一本の手が伸びて来ました。某大学教授の手でした。

 「コンチ! お前が、ウチに来て、しょっちゅう盗み食いしてた“おやつ”だよ!」

そう言って、コンの口元には、あっと言う間におやつの山が出来ました。

 「コレだけあれば、天国に着くまで、腹は減らないだろう…な」


次々に蘇る、コンとの楽しい日々。しかしその時間も、そろそろ終わりの時となりました。スタッフが

棺に蓋をする為、部屋に訪れて来たのです。そして、静々と言いました。

 「これでお別れとなりますが、何か皆様で言い残した事等は御座いませんでしょうか…」

皆が了承する素振りを見せる中、私は、私は、とうとう我慢が出来なくなりました。棺の蓋の顔の

部分を、もう一度開けてもらい、コンの頬を撫でました。

 コンの身体が、この世から消えてしまう、胸が締め付けられる様な焦燥感に、私は居てもたっても

いられなくなりました。

 「コン! コン! お別れだよ! その目が開くなら、最後に…最後に、俺の顔、見てくれよ!!」

背中から、皆の嗚咽が聞えて来ました。そして、それが合図となり、スタッフがコンの入った棺を、

部屋から運び出しました。

とうとう、コンが、私から、離れて、行って、しまい、ました……。







------------------------------------ Epilogue ---------------------------------







 「…ィ、…兄ィ! オイラ、もうすぐ、ここから離れなきゃいけないみたいなんだ…」

 「そうか…」

 「兄ィ…、オイラ、これから何処へ行くのかな?」

 「そりゃあ、天国だろう」

 「なんだ、その“天国”って? 天国って、良い所なのか?」

 「そんなの、俺も行った事無いから、ワカンねーよ!」

 「兄ィも、後で来るの?」

 「いんや…、俺は行けないよ…」

 「じゃ、やだ! オイラも、行かない!」

 「それは、駄目だ!!」


私は大声で言った。コンが思わずビクッと震えた。


 「お前さんは、石に噛り付いてでも、天国の階段を登るんだ!

      そして、絶対に天国へ辿り着け! いずれ俺は地獄という所に

           落ちる。 だからその時お前さんが上から、下で “のた打ち

                回っている俺” を見つけて、上に引っ張り上げてくれ!」


 「じゃあオイラは、その“天国”ってぇ所に行って、上から

                  兄ィを見つけて、引っ張り上げればいいんだね!」

 「そうだ! 頼むぜ可愛い相棒よ!(笑)」

 「うん! わかった!!」

 「俺も、なるべく早く階段昇れるように頑張るから!」

 「兄ィは、急いで来なくていいよ! だって…」

 「だって?」

 「兄ィが階段を5~6段駆け上ったら…、膝に…、水が溜まるよ!」

 「やかましいぃ!!」


……と、耳がキーンと鳴り響き、私はガバッと起き上がった。ふと辺りを見渡す。今も愚弟は私の

傍に居る。あんなに大きかった身体を、小さな骨壺に収めて……。


 身動ぎもせず、コンの遺影をジッと見る。すると周りが、また暗闇に包まれ始めた。

一時の静寂。未だ後悔に打ちのめされている私の背中から、コンが優しい声で言った。

 「じゃあ、そろそろ、オイラ、行くよ…」

 「……。」

 「兄ィ…」

私は声を振り絞って叫んだ!

 「コンッ!! 天国に着いても、絶対に俺の事、忘れないでくれよ!!」

 「あはは、忘れるもんか! 期待しないで待ってるよ!」

 「ああ…。よし、わかった…。気を付けて…、行けよ…、転んで…、怪我するなよ!」

 「うん、わかった! じゃあね、兄ィ!」

 「じゃあな! コン!」


---------- そうして “コン” は言われた通り、真直ぐ虹の彼方へと走って行った ------------




 コンの居ない初めての朝。何か全ての景色がくすんで見えた。淡々と時が進む空虚な日を、

ただボーっと過ごした…。


 ふと階段に目をやる。もう既に、“その主”はこの世に居ないのに、何故か家の中のあらゆる

場所に、その主の痕跡が舞い降りている。 毎日の掃除を余儀なくされた、あんなに鬱陶しい

かった愚弟の“抜け毛”が…、


              ―― 今は…、今はとても…、とても愛おしい ――



     “我が愚弟、最期の刻” おわり 


   そして…、もう少しだけ…、もう少しだけ… “つづく” にします…


  この日の模様は、愚弟が大好きだった、“ホンダフィット” の

                     フォトギャラリー内の → “ココ” にアップしております・・・。
2014年06月22日 イイね!

我が愚弟、最期の刻 “朝”

我が愚弟、最期の刻 “朝”
 「ィ…、兄ィ! そろそろ起きてよ!

     オイラの散歩の時間が減っちゃうよ!」

 「…ん?…ゴメンゴメン、あと少し、寝かせてくれ…」

 「そんな殺生な~! 早く公園に行かないと、

           ルイちゃん(雌犬)帰っちゃうよ~~」

 「んんん~!!ふー、わかったわかった! じゃ、支度するから玄関で待ってろよ!」

 「うん!わかった! 兄ィ、スグ来てよ!!」

 「………。」

 「…ィ、…兄ィ! どうしたの? 何で、泣いてるの?」

 「アホ! そりゃ俺の傍で、“イビキ” をかく奴が居なくなったからだよ!」

 「オイラまだ、兄ィの傍にいるじゃないか! だから、だから、涙を拭けよ!!」

 「何をまた一丁前に言いやがって……」


……と、耳がキーンと鳴り響き、私はガバッと起き上がった。既に朝陽が射し始めた部屋の中を

見回す。確かに今も愚弟は私の傍に居る。息もせず、冷たい身体のまま……。


 とうとう、これからコンを天国へ送らなければならない朝を迎えてしまった。出来る事なら、この

ままいつまでも時間が止まって欲しいと思った。しかし容赦なく刻々と時が刻まれてゆく。コンが

生きていた時から、段々と遠ざかって行ってしまう寂しさは、何とも言えない苦しみを私に与える…。


 午前中に愚姉が来た。母を気遣っての帰宅だった。余りコンとは一緒に過していなかった事も

あり、私や母とは、コンに対する温度差が有った。いつものように振る舞い、いつもの様にテレビ

を見て笑っていた。

 私が母の世話をする為、しばらく居間から遠ざかった。相変わらず愚姉の笑い声が、寝室まで

届いていた。

 世話が一段落した後、居間に戻ると、愚姉が入れ替わりで母の元へ行った。私はソファーに腰

を下ろし、愚姉が見ていた番組をボーっと見ていた。陽も高くなり強い日差しが、リビングに射して

来た。と、その時、コンの顔がキラリと光った。何だろうと顔を覗き込んだ。

 「………。」

コンの頬が濡れていた。それを見て、

 「本当に愚姉は素直じゃないのぉ…」

と、言わずにはいられなかった。そして、何故かコンの頬は更に輝きを増していた…。


 午後になって、ポル友である某大学教授が来てくれた。コンを一緒に車まで運び出してもらう

のと同時に、一緒に葬儀に参加してもらう為だった。平日の昼間なので、堅気の人には頼めな

かったのだ…。 ← 冗談です!m(_)m―自爆―


 いよいよ“その時”が近づいて来た。ココで簡易“お花畑”を一旦中断して、コンを運び出す。コン

の身体が、更に重くなったように感じた。男二人がかりでも、コンをフィットの後部座席に収めるの

には、かなりの体力を要した。

 皆がクルマに乗り込んだ後、私は一人家に戻って、全ての扉の鍵をかけた。コンが居た時は、

平気で鍵をあけっぱなしで出かけていたが、これからは、もうそれは出来ない。一部屋一部屋

見て廻った。そして、コンが運び出された居間の風景が目に飛び込んで来た。

 「もうこココで、股をおっぴろげて眠っているコンを見られないのか…」

いつもと変わらぬ場所なのに、何故か、がらんどうな空間に見えた。

 「よし! コン、行くぞ!」

私は玄関の扉を閉め、フィットへと向かった…。


 フィットの傍に、オチビさんが居た。コンの最期を送ってくれる為に、来てくれていた。私は後部

ドアを開け、オチビさんを招いた。オチビさんは、ジッとコンを見つめた後、明るい声で、

 「コンちゃん! バイバイ!!」

と、手を振ってくれた。

 「良かったな、コン!」

と、コンの顔を覗き込むと、心なしか、照れている様に見えた…。


 葬儀場までは20分程の道程だが、今日は思いっきり遠回りして行こうと考えていた。そう、コン

の大好きだった場所を巡る為に…。


 まず、いつも散歩していた公園に行った。コンはこの公園の主だった。そして、100戦無敗の絶

対王者でもあった(笑) 実際は、4~5回程負けているのだが、本(犬)人は、これっぽちも負けたと

思ってなかったので、敢えて100戦無敗にした(爆)

 「今年の初めまでは、お前さんもココで元気に雪の中に

             潜っていたんだけどな~。そのかわり、俺は死にそうだったけど…」

「ふっ…」

っと、頬が緩んだ。あんなに苦しい思いをしたのに、今はその光景が輝いて見えました…。


 次に向かったのは、コンの数少ない恋愛相手だったワンコの住んでいた家の前でした。いつも

この前を通る度に、何かしら理由を付けて、この近辺に留まっていました(笑) その彼女が、散歩

に行った公園に居た時は、コンは“野獣”と化したものでした(大爆) 残念ながら彼女は若くして亡

くなってしまい、結局プラトニックな関係のまま唯一だった恋愛が終了となってしまいましたが…。


 次に向かった先は、長年お世話になって来た動物病院です。コンがウチに来た時、かかりつけ

の病院を決めておいた方が良いと考え、アレコレ探していた時に出会った病院でした。まだ開院

したばかりの時で、若い獣医がとにかく元気よく、張り切って、そして誠意溢れる診療をしていた

ので、あっと言う間に人気病院となりました。その院長先生も、今やチラホラと頭の毛に白いモノ

が混じって来ていましたが、コンにとってはかけがえのない主治医でした。いずれ最後に診てもら

おうと、救急病院の獣医に、転院の手配をしてもらっていました。その時渡されたカルテとレントゲ

ン写真を合わせて渡すべく、病院に向かったのでした。

 「コンは、良く頑張った!よく頑張ったな!」

院長は、コンの頭を何度も何度も撫でました。そして、渡されたレントゲン写真を次々に空に透か

して見ながら、やはり何度もコンの頭を撫でていました…。

 「ついでと言う訳ではありませんが…」

私は、先日購入したばかりの、フィラリアの薬を先生に渡しました。

 「折角、買ったばかりでしたが、もうこれを使う奴が居ないので…」

と言うと、複雑な思いでソレを受け取っている様でした。

それから病院の皆でお別れをしてくれました。

 そして一行は最後の地へと向かいました…。


 葬儀場に着くやいなや、スタッフが数人駆け寄り、テキパキと準備をしてくれました。

よっぽど大きい犬だと心配していた様でした(笑) まあ実際、4人がかりでも、コンを運ぶのは大変

そうでしたけど…。

 そしてコンは綺麗な棺に納められ、皆で最後の別れをする事になりました。ココでも花が渡せられ、

ココでも徐々に “お花畑” が出来ていきました。やはりコンは困惑気味に見えました。

 「何度も言うけど、オイラ、花なんて、似合わないって!」

喋る事が出来たなら、間違いなくそう言っていた事でしょう……。


 しばらく参列者で、コンの想い出を語り合いました。 某大学教授が言いました。

 「しんげんさんとコンちゃんが、私の知り合いのペンションに行った時、部屋が足りない

  からと、私としんげんさんをコンちゃんと隣の部屋にさせて、コンちゃんはその部屋の

  ベッドの柱に結わえ付けた事が有ったんです。すると深夜、建物全体が揺れる様な

  轟音と衝撃があったので、慌ててその音のする場所に行ったら、コンちゃんが、その

  体を繋いでいたベッド毎引っ張って、ドアに体当たりしていたんですよ!!」


そんな、“コン”の武勇伝が次々と語られ、その都度、皆は腹を抱えて笑いました。


 こんな幸せな時間が、永遠に続いて欲しいと、私は心から思いました……。



  つづく


   この日の模様は、愚弟が大好きだった、“ホンダフィット” のフォトギャラリー

                    内の → “ココ” と → “ココ” にアップしております・・・。
2014年06月21日 イイね!

我が愚弟、最期の日 番外編

我が愚弟、最期の日 番外編
 深夜、保土ヶ谷バイパスを走るフィットの中に、二人の

強面オッサンが居た。私と奴だ。一人で愚弟の亡骸の前

に居ても、気分が塞ぐばかりだったので、奴を家まで送る

事にしたのだ。とはいえ、車内は終わらない葬式の様に

暗く沈んでいた。ずっと無言の二人。しかし環状二号線に

入ってからは、どちらともなく、ポツリポツリと言葉を交わし始めました。勿論、コンの思い出話ばか

りでした…。


 コンがまだウチに来たばかりの仔犬の時、奴と愚弟が手拭いで引っ張りっこをしていました。愚弟

は自分と同じレベルで一緒に遊んでくれる奴が大好きでした。なのでその時も全力で奴と遊んでい

ました。手拭いの端を咥え、これでもか、これでもかと、引っ張っていました。奴も童心に帰ったよう

な表情で、綱引きを楽しんでいました。その時、私は別室で寛いでいたのですが、しばらくすると奴

が血相を変えて私の部屋に飛び込んで来ました。

 「おい!コンが、コンが!」

奴らしくない慌てふためきさに、一瞬ポカンとしましたが、その奴が持っている手拭いが、真っ赤に

染まっていたのに気がつき、私も何事かと奴に問いました。すると奴は私に摘まんだモノを突きつ

けました。それは、コンの犬歯でした。犬の犬歯なので、まごう事無く“本物の犬歯”という事でしょう

(笑) 私は奴に落ち着くよう言いました。それが、どういう意味なのか直ぐに解ったからです。

 「コンは今、歯の生え替わりの時期だから、焦らんでもイイよ」

 「でも…」

 「コンは今、生え替わりで歯が痒いから、お前さんと敢えて綱引きしてたんだよ」

 「ホントか?」

私は論より証拠とばかりに、足元でうろつく小さなコンを抱き上げ、口を開かせました。つい最近も

2~3本抜けていたので、その跡を見せようとしたのです。

 「あ! ホントだ!」

抜けた場所から、既に次の歯の頭が見えて来ていました。それを見た奴は、ホッと胸を撫で下ろし

ていました…。


 それから数日後、また奴がコンとジャレ合っていました。その時もまた、私は別室で寛いでいたの

ですが、しばらくするとコンが私の部屋に飛び込んで来ました。

 「ん? どした?」

すると、何やらコンが慌てています。何かあったのかなと、奴の居る場所に向かいました。と、そこ

には、血まみれの奴が蹲っていました。

 「おい! どうした!?」

すると奴は額から血を流し、鼻血を拭きながら、情けなさそうに言いました。

 「コンチと、にらめっこしていたら、ふとした拍子で顔面に頭突きを喰らったんだよ…」

仔犬とはいえ、ソコは屈強な大型犬種。頭部の骨の硬さと来たらコンクリート並と言う程、身体の

基礎が違います。”頭突き”は、”鋭い牙”と並んでコンチの強烈な武器となっていたのです。

 人間相手には結構な強さを誇っていた奴も、コンからリベンジの、文字通り”1発KO”を喰らって血

塗れになっていたという、微笑ましい? エピソードでした…。


 そのような昔話に花が咲き始めた時、突然黒の1BOXカーがフィットの直前に割り込んで来ました。

いつもなら、もう少し前の車と車間を詰めて走行しているのですが、昔話に夢中になり、車間をかな

り開けてしまったが故の、割り込みを許したのでした。

 「ま、いっか…」

と、話を戻そうと横を向いた時、突然奴が叫びました。

 「ああー! やっちまったぁ――!」

慌てて前方を見ると、中央分離帯の隙間からUターンして来た原チャリライダーを撥ね飛ばし、踏み

つける瞬間の光景が私の眼に飛び込んで来ました!

 「なんだ!どうした!?」

道路全体にクルマやバイクの破片が散乱していました。そしてその中に、血ダマリの中で俯せに

倒れている女性ライダーの姿もありました! 急いでフィットを脇の路地に停め、奴と二人で現場

へと向かいました。奴が警察と消防に連絡を入れ、私は他の野次馬2~3人を呼び、道路の真ん

中で倒れている女性ライダーを、そーっと歩道へと運びました。更に大きなガラス片や突起物の

有る部品等、道路に散乱しているモノを端に寄せました。その時、“頭の中がイイ気なお花畑の

様な野次馬”の一人が、

 「この状態を保存する為に、勝手に現場を荒してはいけません!」

等と、したり顔で言ってましたが、私はそいつの前に行って、

 「アホか!このど素人が!知ったかぶりすんじゃねえ! ココは大きな幹線道路だ!

  このままにしておけば、2次被害が発生するだろうが!それに倒れた人を通行量の

  激しい道の真ん中に置いたままにすんのか!」

途端に、この知ったかぶり野郎は顔を蒼ざめさせましたが、追い打ちをかける様に、周りから拍手が

沸き起こり、更に、

 「そんな馬鹿に付き合うこたぁーねーよ!」

と援護射撃がアチコチから飛んできました(笑) この輩はコソコソとこの場から去り、私は改めて倒れ

た女性ライダーの元に駆け寄りました。既に救急看護に長けた人が、彼女の介護をしておりました。

その彼女に怪我人を任せ、私は奴と一緒に、事故を起こしたもう一人の当事者の元へ行きました。

 彼は呆然と立ち尽くしていました。バイクを撥ねた車は、つい先程、フィットの前に割り込んで来た、

アノ黒い1BOXでした…。


 警察と消防からの簡単な事情聴取を受けた後、私達はフィットに戻り、奴の家へと向かいました。

車内はまた沈黙に包まれていました。が、考えている事は同じだと思いました。

 「コンが、注意をしてくれたんだな…」

と…。

 もしあの時、沈黙が続いていたら、あれほど車間を開ける事無く、事故現場へと到達していた訳

で、それはつまり、私が事故の加害者となっていた可能性が非常に高くなっていた事を暗示してい

るのです…。


 私と奴しか居ないフィットの車内ではありましたが、ソレとは別に、何か暖かい力の様なモノを感

じた出来事でした…。


 小1時間後、奴を送り届け帰宅した私は、目が冴えている今の内にと、部屋に戻りブログを書き

始めました。しかし、改めて画面に向かうと、筆がドンドンと重く感じる様になりました。そしていくら

我慢しても、画面がぼやけて見えてしまいます。

 「今日はもう無理だな…」

私はPCの電源を落とすと、枕を持ってコンの元へと向かいました。そして、真っ暗な居間の中央に

居るコンの傍に腰を下ろし、その顔を撫でました。私は、みるみる暖かい気持ちに包まれました…。

 「お前さん、さっき、俺らと一緒にフィットの中に居たろ!」

 「し、しらないよ! 兄ィと奴っちゃんだけでしょ!」

 「お前は相変わらず、嘘が下手糞だな!」

 「しらないったら、しらないよ!」

 「ま、いいや……。 ありがと…な」

コンは照れ臭そうにそっぽを向きました…。

 「それより、兄ィ、これからまだまだ忙しいんだろ? 早く寝ろよ」

突然現実に戻されたように感じた私は、改めて目の前に横たわるコンを見つめた。

「確かにそうだ。俺は、これからお前さんを、しかっかりと

                     “天国” に届けてやりゃにゃあ、いけなかったな…」


 私は冷たくなったコンの身体を、思いっきり抱き締めました…。少しでも、その冷たい身体を暖める

事が出来ればいいと思いました…。


   つづく

プロフィール

犬、クルマ、バイク、食べ歩き等で常に忙しい休日を送っている、渋谷生まれの代々木育ち。でも今は川崎(笑) 遊びの資格を、結構持っているので(スキューバ、ボート、ス...
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2024/08/08 03:16:02
凄い偉業ですよコレは!!! 
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2018/10/07 07:59:57
≪“ダンディズム”・・・男の幸せとは・・・≫ Epilogue  そして・・・重大発表・・・ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2018/08/29 22:01:45

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