
最近、飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大路線へと邁進してい
た“ジャーマン5の雄”、VWに大問題が湧き起こっている!
VWが、アメリカで販売したディーゼル車のおよそ50万台
に、排ガス規制を逃れる為、不正なソフトウエアを搭載して
いた問題で、VWは調査の結果、世界でおよそ1,100万台にその不正なソフトが搭載され、排ガスの
データに影響がある事が分かったと発表したのだ。
しかしVW本社は、問題となっている “EA189型エンジン” を搭載していたディーゼル車の具体的な
車種については全く明らかにしていないのである。
しかし一方でアメリカの環境保護局は米国内で販売されている、“ゴルフ”、“ビートル”、“ジェッタ”
“パサート”、そして、同じVWグループの“アウ ディA3”の5車種とハッキリ挙げています(苦笑)
いずれも2008年以降にアメリカで販売されたモデルが対象でその数は48万2000台に上るという事
です。 アメリカではまだ主力では無かったディーゼルエンジンなので、錚々たるブランド名からすれ
ば、さほど大きな数字とはなっていないが、既にディーゼルエンジン搭載車の割合が、6割を超えて
いる欧州では、更に深刻さが増すであろう。
これによって今後、VWが拠出するコストとしては、リコール関連の費用としておよそ65億ユーロ
(日本円でおよそ8700億円)かかると言われ、更に最大で、およそ180億ドル、日本円で2兆1600億
円に上る制裁金を科されるとも言われるので、VWの経営が大きな痛手を受ける可能性は、どうや
ら避けられそうにありません…。
しかし、何故これほどまで被害が拡大してしまったのか? その大きな要因の一つと言えるのが、
VWが社運を掛けて推し進めて来た“MQB(Modulare Quer Baukasten)”によるものと私は推察しま
す。つまりコストダウンと品質保持の一挙両得を実現するべく、大規模な部品の共有共通化を進め
た事によって今まではありえなかった、多種多様の車種に同じエンジンが行き渡った為、“一つの
メーカー”、“一つの車種”の枠では収める事が出来なくなり、被害が爆発的に拡大してしまうという
当初はローリスク・ハイリターンという理想のシステムな筈だったこの戦略が、実はハイリスクとなる
恐れもある諸刃の剣であった事が証明されたとも言えるのではないか。因みに、“MQB”採用車種
は、以下の8車種。
・フォルクスワーゲン・ゴルフVII(5G型)
・フォルクスワーゲン・ゴルフVII ヴァリアント
・フォルクスワーゲン・ゴルフ スポーツバン
・フォルクスワーゲン・パサート(B8型)
・アウディ・A3(8V型)
・アウディ・TT(8S型)
・セアト・レオン(5F型)
・シュコダ・オクタビア(5E型)
であり、これは正に米国の環境保護局が公表した車種と、思いっきり被るのである…。
しかし私がVWに対し、これから大変だなと思う事はリコールコストや制裁金の金額では無く、あの
余裕すら感じていた最新の技術力が、実はかなり“カツカツ”だったという事が判明してしまった事で
あろう! 実際、日本に正規輸入されているVW車は、文句なく良いのである!これは紛れもない事
実であり、だからこそ史上初めて日本カーオブザイヤーを受賞した “外車” となったのだ! しかし、
コレが欧州であれ程絶賛されたディーゼルエンジンに関しては、実はそれほど高い技術を有してい
た訳では無い、という事が実証された形となってしまったのだから…。
ここで認識するべき事は、“不正せざるを得なかった状況”という事であり、つまりそれは技術的に
背伸びをせざるを得ないVW技術陣の現在のレベルであり、そしていみじくもその現状を世界に晒し
てしまった事実である。
技術によって成り立つ製造業としては、実はこれこそが≪致命的≫と言える問題なのだ!!
今の所、幸いと言うべきか否かは判断出来ないが、日本にはこのエンジンを積んだ車は輸入され
ておらず(個人並行輸入は除く)、故に日本国内で不利益を被る人は殆どいないとは思うが、VWと言
う企業に対する一般人のイメージダウンと、同業者或いは技術者からのやや蔑んだ眼差しからは、
暫く逃れられない事は自明の理である。 残念ではあるが…。
語弊があるかもしれないが、製造業に於いて、≪トップのスキャンダル≫や、≪経理の水増し≫
や、≪贈収賄≫等と言った不祥事に関しては、実は、それほど深手を負うモノでは無い。何故なら
製造業とは、技術力・生産力で喰っている訳であり、その部分以外での不始末は、それがどんなに
莫大な金額になろうとも極端に言えば、“枝葉末節”な事柄なのである。例えるなら、オンナ癖が悪
く、しょっちゅう不倫などの不貞行為を働いて周りに迷惑をかけていたとしても、その人物が例えば
腕の良い料理人であれば、店の経営にそれほど支障をきたす訳では無いのと同じだと思えばいい。
食べる側からすれば、求めるべきモノは料理の味であり、料理人の性格や私生活など関係無いの
である。しかし今回のソレは全く違うのだ! 腕が悪い料理人が、それを誤魔化す為に、使用禁止
のドーピング調味料を使ったり、はてまた他の美味い店で購入して来た料理を、さも自分が作った
様に見せかけて客に喰わしていたのと同じ事をした訳だから。実際、己の持つ技術力が低い事を
知ってしまったが故に、当初の思惑では到達する筈だった高い次元での技術力の羨望を、歪んだ
思想により実現させる為、不正行為を働いたという、技術屋として最低の行為に走った訳である!
勿論昔からこのような事はよく起こっていた。最近も雨漏りや燃費水増し不正を隠ぺい捏造して
いた“現代・起亜”等の半島車も、規模は違うが同じ穴のムジナである。この企業が持つシェアは
小規模なので、それほど世界的な問題にはならなかったが、VWはそんなショボイモノとは比べる
べくも無く、新車販売台数において、“世界一位・二位” を争う “超” 大企業なのだから、その世界
におけるダメージは計り知れない…。
まあ確かに最近のVWには少し首を傾げる部分もあったのは事実だ。それは他メーカーの買収で
あり、支那への依存度の高さでもあった。これまでのVWらしからぬ、それこそ≪ナリフリ構わず≫、
がむしゃらに“世界一”を目指す焦りの様なモノを感じていた。
これは結果論では無く、以前から私が危惧していた事なのだが、最近のVWの拡張経営の手法が
かつてのGMに酷似していたのが常々気になっていたのは事実である。つまり、己の技術力を高め
向上するのではなく、M&Aを繰り返し、他メーカーを傘下に治めて巨大化して総販売台数を押し上
げるといった手法だ! トヨタも一応傘下にダイハツと日野というメーカーがあるが、これはそれぞれ
軽自動車部門、トラック部門と言う、純然たる棲み分けによって成り立っているので、同じ様な車種
やブランドを幾つも擁するGMやVWとはワケが違うのである。
つまり、技術的な部分だけでなく、経営的にも背伸びをしている状態が浮き上がって来るのが見て
取れるだろう。 ホント情けない事であるが、≪背伸び≫や、≪見栄≫や、≪不正・捏造≫等という
“恥ワード”は、≪支那や朝鮮だけの専売特許≫だと思っていたのが、こともあろうに世界に冠たる
VWが、ソレを行使する時代が来るとは、正に世も末である…。

(※↑の画像は、≪EA228≫です)
と、今回は長文で、しかもちょっぴり辛口な評論となってしまったが、コレもVWを愛する一人の
オッサンのエールと受け止めてくれたら幸いである……。 うむうむ( ー_ー(_ _ (ー_ー(_ _ウムウム
と、取り急ぎ御連絡まで!
でわでわ!