2008年10月22日
軽自動車の安全性
軽自動車に関して色々なご意見ありがとうございます。軽自動車の安全性についてレスがありましたのでここでお答えします。
もともと日本の軽自動車が生まれたのは、戦後復興の国策の一つとして政府が民間企業に国民車を開発することを促したことが発端です。資金のない企業にはお金を貸して軽自動車が生まれたのです。日本ではじめて軽自動車を開発したのはスズキ・スズライト。1955年に日本出始めて正式な認可を受けました。ちなみに同じ年にはトヨタはクラウンを開発しています。
以来スズキ自動車は軽自動車のエキスパートとして50年以上も軽自動車を作り続けてきました。さて、日本の衝突安全基準が制定されたのは1994年でした。当時の運輸省は自動車の保安基準として初めて正面衝突基準を制定したのですが、このとき軽自動車は全長を規制していたために小型車と同じ基準ではクリアすることが厳しいのではと、軽自動車メーカーから指摘されました。その結果、小型車がフルラップテストを50Km/h(コンクリートの壁に時速50Km/hで正面からぶつけるテスト)という基準で行いますが、軽自動車は40Km/hに緩和したのです。やむを得ない措置でした。そして1998年には側面衝突基準を制定したのですが、こんどこそ軽自動車の安全性を小型車と同じ基準でクリアするために、全長で100ミリ、全副で80ミリ広げた軽自動車の新規格を定めたのです。この大きさならなんとか小型車と同じ基準でクリアできると考えたのです。しかも当時の運輸省の外郭団体である事故対策センターが行う安全情報公開JNCAPでは衝突実験の結果を公表することになりました。
したがって現在の安全基準では1998年以降の軽自動車は小型車と同じ基準でテストしてます。しかもJNAPが2000年以降始めたオフセットテストでも優れた成績を収めることができるようになりました。
こうした努力のおかげでエアバッグやシートベルトプリテンショナーまで普及することができました。ここ10年、軽自動車メーカーの安全性に対するメーカーの努力は血のにじむようなものでした。
でも、安全基準は自分と同じ大きさのクルマとぶつかった時の衝撃を受けることが前提なので、自分よりも大きなクルマ、硬いクルマ、バンパーが高いクルマとぶつかると、安全基準で得られた結果とはならないのです。
大きさや堅さが異なるクルマとぶつかった時の安全性を考慮することが真の安全性につながります。これを実践するには、軽自動車がどんなに頑丈なボディを持っても限界がありまし。大きなクルマの加害性を減らす設計が重要なのです。最近はメーカーは公表してませんが、軽自動車とぶつけても軽自動車のダメージを低減するような設計を自主的に行っている自動車メーカーもあります。日本に軽自動車は必要ですが、いつまでも今の規格で良いとは思えません。経済性が優先されるあまり予防安全技術の普及は小型車にくらべて遅れています。大切なことは21世紀の日本の国民車を考えることです。
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クルマの安全 | 日記
Posted at
2008/10/27 22:17:37
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