2013年09月14日
ダウンサイジングの正しい理解
2013年7月26売り カートップ連載(一部加筆修正)
ダウンサイジングの適正値
日産ノートに三菱ミラージュ、ホンダNBOXにスズキ・ワゴンRと最近は小さいクルマが話題になっている。こうしたスモール&エコカーブームの中で「ダウンサイジング」は流行語にもなってきている。さらに「ダウンサイジング」ではなく「ライトサイジング(適正なサイズという意味)」と言い出す自動車メーカーもでてきた。それは「ダウンサイジング」とは何かを考えてみよう。
流行語の元祖はVWのTSIエンジンであったと思う。エンジンの排気量を小さくしターボでパワーを補うダウンサイジングエンジンはまたたく間に広がった。直噴技術とターボは相性がよいので、コストをかけるメリットがあったのだ。さらにエンジンだけでなく最近はボディもダウンサイジングが流行り始めている。地球温暖化や資源問題が深刻化する中でダウンサイジングは今までの自動車が辿ってきた道とは異なる進化の方向性かもしれない。
いまから25年くらい前のF1のレギュレーションは3リッターか1.5リッターターボが選べた。ホンダは燃費とパフォーマンスを考えて1.5リッターV6ターボを選んだのだ。つまりダウンサイジング・ターボエンジンのルーツは80年代のF1にあった。オイルショックという国際的な社会問題がダウンサイジングを生んだわけだ。当時のホンダF1の1.5ターボは予選では1500馬力を発揮していたらしい。後から聞いた話しだが、ホンダのエンジンテスト測定が1500馬力までしか計れなかったそうだ。実際はそれ以上でていたそうだ。
1980年代のオイルショックは限定的なもので石油価格が安くなるとパワフルなエンジンと大きなボディを求めるようになった。特にビッグマーケットであったアメリカがその急先鋒であった。一方で90年代は世界的に安全性が話題となった時代でもあるので、安全のためにボディは大きく重くなったが、加速性能を得るためには大きなエンジンが必要であった。
もう少し長いスパンで自動車の歴史をみると面白い。特に戦後からのクルマの変化をみると世界的にどんどん大きくパワフルになったことがわかる。その裏側には大きさとパワーは豊かさの象徴であったのだ。日本の国民車である初代軽自動車の排気量は360cc、クルマの重量も500Kg未満であった。しかし最新の軽自動車は660ccターボも存在し、ボディは二回りも大きくなった。
今から50年前の1960年には世界で自動車は約1億台。しかし50年後の2010年は約10倍の10億台までクルマの数が増加している。このように自動車が大きくなり普及台数も増えているのだから、このままでは自動車を作る資源や走らせるエネルギーが枯渇するかもしれない。つまりクルマ自滅のシナリオなのである。だからこそ、マクロにみるとダウンサイジングは持続可能なモビリティの発展には絶対に欠かせないコンセプトである。いや、それ以上に強く自戒の念を込めて「ダウンサイジング」を進めなければならないだろう。クルマが生き残るために。
つい最近だがジャガーXJの2リッターターボに試乗した。英国が誇る高級車もダウンサイジングに熱心なのだ。このトレンドはポルシェやフェラーリもきっと追従するだろう。そういえば2014年からのF1は1.6リッターV6ターボが復活する。今度は燃料やブースト圧も規制されるので、1500馬力はでないが600〜800馬力のF1ターボを見ることができそうだ。
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持続可能なモビリティ | 日記
Posted at
2013/09/14 13:35:09
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