病院で愚母の担当医から、本日の検査はかなり時間が
かかりそうだと言われたので、一旦家に帰る事にした。
しかし帰宅してからも、仕事をする気持ちにならず、ぼん
やりと時間を過ごしていたら、急に脳味噌の辺境からシュプ
レヒコールが響いて来た。
最近心身共に惰性の日々が続いており、私自身急激に衰えて行く感覚に支配されつつあるように
感じていた。
「ここはオイラもリフレッシュせんとイカンかな~」
との思いがムクムクと湧き上がり、それならばと下で私を心配そうに見上げている“坊(仮名)”をつい
でに散歩に連れて行こうと、以前より気になっていた事を確認するべく、フィットに乗り込み都心へと
向かった・・・。
天気も良い休日の午後の幹線道路は、何処も官憲達の狩場と化していたが、何とかその魔の手
から逃れ続ける事に成功し、非常に順調に目的地へと向かう事が出来た。
すると自宅を出て30分程で目指す場所が見えて来た。しかし休日だというのに店内は閑散として
いた。フィットを“超”が付く高級車の海の中に停めると、何処からともなくスタッフが近づいて来た。
スグに来店の趣旨を伝えると、2,3言葉を交わした後、目的のクルマへと案内してくれた。と、そこに
は毒々しいまでの黒いクルマとその隣に、対照的にシンプルで美しい白いクルマが停まっていた。
今日見に来たクルマは、アルファロメオ4Cである!
実はこのクルマ、約2年前にオーダーした事もあるクルマだったのだが、諸事情によりディーラーと
の喧嘩別れと同時にキャンセルした経緯が有ったイワク付のクルマである。
その後も何度かこのクルマの購入を真剣に考えていたのだが、何故かその度に店のスタッフと
“一悶着”が起きてしまうのだった。
故にこのクルマとは縁が無いのだと半ばあきらめていたのだが、先日偶然知り合いに会った所、
何と4Cのオーナーになっており、じゃあチョコット乗せてよと言うと、半ば強引にキーを奪い取り、
暫く試乗させてもらう事になったのだが・・・。
結論から言うと、物凄く気に入った。 以前試乗した時は、新車にも拘らず、アライメントが狂って
いたり、エアコンが全く利かなかったというクルマだったりして、購買意欲が萎えて行ったものだが、
この個体は素晴らしいの一言に尽きた。
エキシージ程タイトでも無く、ケイマン程広くも無いが、助手席に身体がはみ出る事も無く、天井に
頭がつかえる事も無かった。しかしそのどちらのクルマにも負けない“スーパーカー感”は、ビンビン
伝わって来ており、座って居るだけでスーパーな感覚が味わえる、今や貴重なクルマとも言えた。し
かしそれらの事なんかどうでもよいと思う位、エンジンの出力特性に痺れ捲ったのだ! それは単純
に直線での加速である。 たったの1.75ℓのエンジンから発せられるパワーは240psであるが、それだ
け見るとたったそれだけしかないの? と思ってしまうが、異常とも思える位の車体の軽量化がこの
クルマを一気にモンスターマシンへと昇華させているのだ! これはポルシェにも言える事だが、数
値上はそれ程でも無くても、実際乗ってみると数値以上の性能を体感出来るクルマとなっていたの
だ。これは本当に冗談でも無く、ポルシェターボ(996以降)はおろか、360モデナやF430やロータス
エヴォーラよりも遥かに速く感じるのだ!! 実際速いかはどうかは断言出来ないが、兎に角“速く
感じる”のだからこれはホント楽しい! 例えるなら930ターボや、ビッグシングルタービンをボルト
オンした70スープラの“ドッカんターボ”に通じるモノを感じた。
因みにその4Cは左ハンドルであり、非常に好感触を得た試乗だったが、唯一と思う新たな気に
なる箇所が判ってしまった試乗でもあった。
そして今回の試乗だが、正に同時にその気になった箇所を同時に確認する為の来店であった
のだ・・・。
気になった所。それは上に行くにつれ窄まって行くルーフ形状である。
4Cはコンパクト言える全長なのだが、車幅に関しては大型車と言える長さとなる。しかしその
ルーフ面積はかなり小さめになっており、それが絶妙な美しいスタイリングを形成しているのだが、
事、車内に関すると或る違和感が文字通り壁となって立ちはだかる事になるのだ…。
まず右ハンドル車から乗り込んでみると・・・。
やはりドライビングポジションは自然とは言えない態勢となる。仕方の無い事であるが右ハンドル
車はどうしても右側にタイヤハウスが出っ張るので、自ずとペダル類が左側に寄ってしまい、進行
方向から少し身体を捻る様になってしまい走行感覚に気持ち悪いズレを感じてしまうのだ。右足も
終始右側から圧迫されるような感じに成り、なんかずっと乗っていると右足がO脚に曲がって行く感
覚に襲われる事となる・・・。
翻って左ハンドル車は、当然の様に自然なドライビングポジションを取る事が出来る。恐らく車体
の重量バランスも左ハンドル様にバラスト調整が成されていると思われ、走行中の安定感も左ハン
ドル車の方が優れているのは否めない。
では“左”で決まりではないか! と思われるだろうが、実はたった一つ気になる所が出来たのだ。
それはロングランの試乗をして初めて気が付いた事なのだが、首から下のポジションは全く問題
が無いのだが、首から上のポジションに問題が発生してしまったのだ! それが前出のルーフ形状
である・・・。
それはなまじ自然なポジションが取れるが故に発生してしまう事であり、それはかなり傾斜した
ルーフの≪縁(へり)≫に左側側頭部が当たってしまうのだ。つまり終始右側に首を傾ける格好で
運転をし続ける事となり、これは当然だが非常に気持ちが悪いのだ。
と言う訳でじゃあ“右”かと言えば、コレも先程言ったペダル類のオフセットの左寄りが問題となる
為、即決出来ない事に繋がるのである。
が、しかし、ココで同時に見比べた為に気が付いた、“或る事”が有ったのだった・・・。
つづく!
※尚、この日の模様は、愛車紹介ホンダ フィット フォトギャラリー内の
→
“ココ” と “ココ” にありますので暇な時にでも、どうぞご覧下さい!
でわでわ!