
現在、私のブログで、数多く滞っている “連載モノ” が
あるが、昨年初めの頃から本当に忙しくなり、また機を
逸してしまったという様々なタイミングもあり、私の真骨
頂である、“アングラ(+チョットH)”なシリーズが書けなくなって久しい。すると、色々な声が私の元に
届いて来るのは、やむを得ない事であろう。
曰く、
「アイツはすっかり丸くなった」
だの、
「ヤツは、守りに入っている!」
だの、
「犬と猫に溺れた、女々しい奴に成り下がった」
だの、
「もう、尖がった事が出来なくなった軟弱者だ!」
等と言った、激励とも取れる罵詈雑言が、近くから遠くから、しかし遠慮がちに私の耳に入って来る
のを、ただ甘んじて聞いていた。 しかし…。
「それを一番読みたいのは、オイラ自身なんだぞー!!」
という、雄叫びを枕にぶつけると、徐々に体内にエネルギーが湧き起こり始めた!
「う~~、きたきたきた・・・キターー!」
テンションが上がった私は、早速PCへと向かった。そして、
「じゃあ、書いてやろうじゃねーか!」
と、千手観音も真っ青な、超高速ブラインドタッチ音を部屋中に響かせた…。
と言う訳で、お待たせしました!“テレンスの青春グラフティーシリーズ”を再開致します!(爆)
これまで、“生命の危機” 編、“紀行奇譚” 編と、アップして来ましたが、今回は原点回帰という
事で、レーシングありーの!バイオレンスありーの!涙ありーの!笑いありーの!そして、Hありー
の! そう、その名も、
“生殖の危機”編!(核爆) と題して、お送り致します!!
これは以前アップした“生命の危機編第1話 山奥にて”の時、実は他にも起こっていた出来事、
またはスピンオフと言える物語であります。
それでは早速テレンス文学の世界へどうぞ!!!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
第1話: “スズキ アルトワークス”
言わずと知れた軽の名車です。最初に47万円のプライスで世に出た時のインパクトは、“彼”の中
では、初代シティーが出た時に匹敵する位のものでした(苦笑)
とはいえ、それは子供ながらの感想で、実際に直接“彼”の中にソレが入り込んでくるのは、高校
生になった頃からとなります・・・。
当時“彼”は所謂“バイク小僧”で、尻尾を付けたヘルメットを被り、潰した空き缶を膝に巻きつけ、
奥多摩や箱根や、まだ横浜ベイブリッジが出来る前の横浜本牧埠頭A~D突堤に日参するという
毎日を過ごしていました。正に“青春真っ只中!”といった感じでしたでしょうか。尊敬する人“片山
敬済”。嫌いなもの、“珍走団”と“神奈川県警 第2交機”。愛読書“モーターサイクリスト”。と、兎に
角バイク三昧な日々を過ごしておりました。更に、
「女とバイクどちらを取る」
と言われたら迷う事無く、
「バイク!!」
と言っていた位、ドップリ浸かっていた頃でした。当然“彼”の中には、
「バイク最強」
の文字が燦然と輝き、実際公道でのあらゆるレーシングバトル(対四輪)に全勝しており、
「車なんざ、オジン の、乗る物だ」
と、鼻息も荒かったものでした…。
そんな或る日の事。いつものように勝手知ったる横浜新道を南下して、湘南に行くべく、FZR250を
走らせていました。
そして数分後、保土ヶ谷バイパスから合流する地点にやって来ました。すると合流車線から1台
の車がオーラを発散しつつ、走行車線へと入って来ました。赤黒ツートンのアルトワークス(4WDター
ボ)です。まだ出たばかりにもかかわらず、その車は一目で判る位にイジっていました。排気音も軽
自動車とは思えない程、野太い音を発しています。雑誌ではかなり速いと絶賛していましたが“彼”
は特に興味を示さず、先を急ごうと普通に左側から抜きにかかりました。途端にアルトの音が、
「ブォー」から「クォぉぉぉーーーン」
に変りました。当然、アルトがフル加速に入った事を把握しました。
「おいおい、かんべんしてよ!」
と、あからさまに侮蔑の表情をそのドライバーに向けると、そこにはまだ二十歳前後と思われる髪を
金髪に染めた女性がハンドルを握っておりました。いわゆる“レディース”の、はしりだと思いますが、
当時はまだ社会から殆ど存在を認知されていない時代でしたので、周りからは只の “不良少女” と
呼ばれていた事でしょう。 “彼” もそう考えたので、バイクの速さを思い知らせる為に一気にスロット
ルを開けました!
「キュィィィォォォーーーーンンン!!」
ヤマハ独自の排気デバイスである“EXUP”可変バルブが大きく咆哮を上げました。因みにこのマシ
ンは、小中排気量のバイクの先駆けとなる超高回転型エンジンを搭載しており、レッドゾーンは何と
18,000rpmから始まるという四輪車では考えられない体験をさせてくれます。後に出るカワサキの
ZXR250Rは、もっと上の、20,000rpm回る凄んごいエンジンを搭載していました。兎に角、250ccとは
いえ、この事からも分る様にかなりの加速を実現しています。公道では四輪に抜かれる事はありま
せんでした。が!このアルトは今までとは違う雰囲気を撒き散らし、信じられない事ですが、みるみ
るアルトの排気音が近づいてきます。今までに無い経験が“彼”を大きく動揺させました。より一層ス
ロットルを握る手に力をこめます。しかしそんな“彼”を嘲笑うかのように全く躊躇無く“彼”を追い抜い
ていきました。唖然とした“彼”でしたが、その視界からすら小さくなって消えていくのに、然程も時間
はかかりませんでした。
「俺は、負けたのか・・・」
にわかには信じられない現実が“彼”にのしかかり始めました。確かにFZR250の性格上、高速向き
ではない上に、峠仕様と化しているとはいえ、負けは負け。まだ純粋だった“彼”には充分過ぎる位
の敗北感が全身を支配しました。それは、“アルトワークスにパツキン女” というワードが、後々まで
“彼”のトラウマとなった出来事となりました…。
それから数年後、“彼”は山奥に住んで居ました。バイク遍歴もアノ出来事が有った為、完全にモア
パワー派となり、2ストロークエンジン(NSR等)・750ccエンジン(VFR等)大排気量エンジン(Tesi1D等)と
乗り継ぎ、ZZ-R1100(C2)に落ち着いた頃でした。
C2はビッグバイクですが、相変わらず峠を中心に走っていた “彼” でしたが、常に心のどこかに
引っ掛かるものが存在し、そしてそれが消える事はありませんでした。
そんな或る日の事。“彼” の前に一人の女性が現れました。 “さつき(仮名)” 22歳です。彼女との
出会いはロマン溢れるものでした。そのきっかけとなる出来事が起きたのは、これより2週間程遡っ
た、或る日曜日の朝の事でした。まずは、その話から・・・・。
いつもの休日と同じように“彼”はダムの水量を確かめに家を出ました。ただその日は少し朝寝坊
をしたので、随分と陽が高くなってからの出発となってしまいました。その為、至る所で観光渋滞が
始まり、そして
“不愉快な事件”に遭遇しました。ダムに到着後数十分も過ぎた頃でしょうか、その
元凶たる人物に大量のトマトジュースを飲ませ木陰に休ませた後、“彼”は或る事に気付きました。
「そういえばツレの女が、1人いたと思ったが・・・」
“彼”の視線が辺りを探ります。と、公衆トイレから髪を金髪に染めた女性が出で来た事に気付きまし
た。輩のツレであるヤンキー娘です。その途端“彼”が野獣と化すのに、何の理由が要るでしょうか。
男たるもの、問答無用!ただ“営む”のみです…。
その営みを終え満足げな表情をした“彼”が、男子トイレから出てきたのは五分位後でしょうか。そ
の時間から分るように“彼”はバイクやその行動力と同じくらい営みも早い男でした。正にニワトリ並
と呼ぶに相応しい“彼”でした。
しかしそんな“彼”の背後に追い縋るヤンキー女の姿がありました…。
つづく!