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2013年01月27日

NAVIアーカイブ(2006年1月26日発売3月号)(8)新しいプレミアムをめざすならLexus IS250 AWD

NAVIアーカイブ(2006年1月26日発売 3月号)

(8)新しいプレミアムをめざすなら……Lexus IS250 AWD

レクサスIS250 AWD
AWD名称:i-Four
タイプ:LSD付センターデフ式4WD[アクティブ型]
トランスファー:センターデフ(プラネタリーギア)
+電子制御湿式多板クラッチ


 LSDとして電子制御湿式多板クラッチを用いたセンターデフ式の4WD。トルク配分を不等分とするためにセンターデフにはプラネタリーギアを採用。これにより、通常時は前30:後70の後ろ寄りの設定としてFRのような性格を与えた。運転状況や路面の状態に合わせて多板クラッチをコントロール、前後のトルク配分を最適化。VSC(ビークル・スタビリティ・コントロール)と協調して、たとえば、発進時には後輪の横滑りを防いだり(発進時制御)、ステアリングを切ったままでも安定して発進できるよう(発進時スリップ制御)にする。アクティブ型ではあるが、スポーティな性格を与えるためではなく、あくまで安定性指向というのがトヨタ(レクサス)らしいところ。

◇まだ産声を上げたばかりのブランド
 IS250AWDはいったい何を目指して開発されたのだろうか。レクサスの北国仕様に過ぎないのか、あるいはメルセデスやアウディのように、しっかりした思想があるのか。その真意はまだ不明だが、実際に乗ってみると、ステアリングフィールはとてもしっかりとしていて、時々刻々と変化する路面の様子がよくわかる。電動パワステでこの手応えを実現しているのには脱帽だ。寒さでかじかんだ手でISのステアリングホイールを握ると、その触覚がとても暖かく感じる。「ありがとう」と言いたくなった。
 ステアリングホイールにヒーターを採用したメーカーがあったが、表皮の工夫で暖かさを感じることができた。
 ISで不思議なことは、前後のタイヤの外径が異なること。太さを変えるケースはあっても、外径を変えたのはISとポルシェ・カレラくらいだ。しかし前後にデフを持つIS250AWDは前後同じサイズのタイヤに戻している。いったいどんな考えがあるのか、私には理解できない。前後のタイヤサイズを変える必然性があれば AWDでも貫くべきだ。ポルシェのカレラ4は、前後のデフのギア比を変えることで、前後の外径差を補正している。ポルシェは後輪のトラクションを高め、摩耗を減らすという目的のため、997のタイヤサイズを変えた。思想は貫かれているが、レクサスには思想がない。
 
 ところで、新星レクサスについて少し触れおこう。「新星」と書くのは“(北米などで展開されてきた)古いレクサスをぶっ壊し、新しいプレミアムに生まれ変わる”とトヨタのレクサスチームが宣言しているからだ。とりあえず、LSが登場してオールレクサスが揃うまで、その言葉を信じることにした。
 新星レクサスにはすべてのモデルにハイブリッドが存在するし、ISやGSのように4WDモデルも用意される。ISとGSは従来からあるクラウンやマークXのアーキテクチャーを使っているから、当然、湿式多板クラッチのAWDが存在する。ところが、この原稿を書いているデトロイトで会ったLSのチーフエンジニアの吉田さんに「LSには4WDはあるのですか?」と聞くと言葉を詰まらせて「……ハイ」と答えた。
 私は吉田さんの言動の変化を見逃さなかった。LSのハイブリッドとなるとエンジンとモーターの合計トルクは70kgmを超えるかもしれない。GSハイブリッドのように単なるFRでは十分な駆動力が得られないと危惧できる。つまり、LSのハイブリッドは4WDになる可能性が高いのだ。箱根でアウディA8をテストしているトヨタの開発陣と思われる部隊と遭遇したこともある。
 レクサスは4WDの世界も変えるポテンシャルを持っている。現にエスティマにはプロペラシャフトのないオンデマンド・モーター4WDが存在する。日産も、マーチに発進時だけに有効なモーターアシスト4WD「マーチe・4WD」を実用化させている。電気モーター駆動と4WDは、新しい世界を切り拓くかもしれない。

◇トヨタの4WDのある問題
 それでは、IS250AWDを雪道で走らせてみよう。第一印象はサスペンションが硬いこと。AWDは車高も高めで、轍の走破性を考慮している。それは歓迎できるが、サスペンションをノーマルのIS250よりも硬くしたのは理解できない。ランサー・エボリューションワゴンよりも硬いのだ。これではせっかくのAWDでも、雪道でのロードホールディングに欠ける。FRのISも相当に硬いサスペンションを使っているが、ISのライバルはランサーやインプレッサだったのだろうか。
 そのため、タイヤと路面の接地感は良くない。ミクロの世界では、雪道の路面は凹凸が多いのだ。硬いサスペンションでは常時タイヤが路面から跳ねあがり、雪道を走っている安心感に欠ける。ATをスノーモードにすると、シフトダウンを嫌って高いギアで固定してくれるため、スロットルを踏みすぎても、挙動変化が少なくなるのはありがたい。
 ブレーキはどうだろうか。これはレジェンドの方がいい。ABSが遊びすぎてブレーキが怖い。さらに、ブレーキを踏んだ時のスタビリティもよくない。これらすべてサスペンションの接地性に原因があると思う。タイヤと路面の接地性が悪いのではないだろうか。 
昔、レンタカーでトヨタのマークⅡを北海道で借りたことがあった。店を出てすぐ先の交差点でスピンしそうになった。「4WDって頼んだだろう!」と店員に文句を言った。店員いわく「これ、4WDなんすけど……」。トヨタのFR系の4WDはVSCがついていても、低速ではスピンするバグがあるのだ。リコールほどの問題ではないが、VSCがついた4WDが交差点でスピンするとは、意外な弱点と言える。ISやGSに搭載されるAWDシステムの大きな欠点だ。
 この原因は電子制御センターデフとVSCが制御上で協調できないからである。VSCはエンジンのスロットルコントロールやヨーモーメント制御でブレーキを介入させる。ところが、湿式多板式のデフは、タイヤが滑って初めて4WDになるロジックだ。タイヤがスリップしてからセンターデフがトルクを伝達するまで、スロットルを絞るわけにいかないから……と、私はこう推測している。
 雪のジムカーナはどんなパフォーマンスだったかーー。可変できるのはATモードだけだ。スノーモードではエンジンパワーが抑え気味となるから、走りやすい。よく曲がる4WDだが、トラクション性能が不足しており、テールの流れが頻繁に起きる。そのたびにVSCが介入するからコーナーの立ち上がりで失速しやすいのだ。
 
ISの課題は、とにかくサスペンションの接地性を高めること。さらにABSやAWDの制御も見直す時期にきているようだ。

<タイム>
ECT POWER 1回目 48秒31
      2回目 43秒04
ECT SNOW      44秒88
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Posted at 2013/01/27 11:04:27

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