陸・海・空。自衛隊はその三つに分かれており、生まれも育ちも祖先も違っている。生まれ育ちと祖先が違えば、当然、性格も違ってくる。陸上自衛隊トップの陸上幕僚長を務めた冨澤暉氏の著書『軍事のリアル』によると、自衛隊には、陸・海・空それぞれの自衛隊の特徴を捉えた「四字熟語」があるそうだ。
内部では予算のぶんどり合戦
同書の指摘によると、陸上自衛隊の特徴は、「用意周到・頑迷固陋(または動脈硬化)」。
自衛隊の年間予算約5兆円のうち、人件・糧食費は約44%だが、陸自に限って言えば人件・糧食費が約67%を占める。定員数も海空の3・2倍程度なので、人件費も海空の約3倍になる。それゆえ、陸自の予算は海空よりも多くなるが、装備品の購入などに当てられる一般物件費は海空に比べて相対的に低くなる。だから、陸上自衛隊は、「オレたちが一番貧乏だ」と僻むことになる。
「用意周到・頑迷固陋」な陸上自衛隊に対し、海上自衛隊は「伝統墨守・唯我独尊(または頑迷固陋)」、航空自衛隊は「勇猛果敢・支離滅裂」となる。
確かに、今でも赤レンガの建物を擁する江田島に幹部候補生学校を置く海自にはそんなイメージがあるし、航空自衛隊トップの航空幕僚長を務めた田母神俊雄氏あたりの顔を思い浮かべると、空自の方も「なるほど……」と頷ける。
ちなみに、各自衛隊員たちは、こうした評をそれぞれに「なるほど」と聞いてはいるものの、後半の悪口に関しては「誤解じゃないか?」という反応が一般的だという。もちろん、陸海にも柔軟な人や支離滅裂な人はいるし、空にも慎重で動きの悪い人は結構いる。
自衛隊の予算と定員の総枠は財務省が決めるので、防衛省内部の陸・海・空自衛隊による予算ぶんどり合戦は熾烈である。これは帝国陸海軍時代は言うに及ばず、米軍をはじめとする世界の軍隊でも変わらない。
「高位高官・権限皆無」からの脱却
とはいえ、戦争に臨む組織が互いにいがみ合っていてはお話にならない。そのため、三つの自衛隊を束ねるための組織として、かつて「統合幕僚会議(及び同事務局)」という組織があった。ところが、この組織は、四字熟語で「高位高官・権限皆無」と言われるような状態だった。それほど、各自衛隊の現場が強かったわけである。
しかし、それではまずかろうということで、2006年に統合幕僚監部という組織が新設された。有事・平時を問わず、各自衛隊の運用に関する防衛大臣の指揮・命令はすべてこの統合幕僚監部を通じて行われることになり、情報保全隊、指揮通信システム隊、サイバー防衛隊などの小規模共同部隊を含む総勢500人の組織に変身した。大きな常設統合部隊は保有しないが、臨時に統合部隊を編制し大臣の指揮・命令を補佐できるようになった。
世界の軍隊では、軍の種類によって部隊を分けるよりも、それぞれの軍種をまとめた「統合部隊」を作る流れが強くなっている。だとすると、各自衛隊の特徴を捉えたこうした四字熟語も、今後は廃れていく方向にあるのかも知れない。
陸自と空自の人が、「海さんは一種独特だからなあ」とか言っていた。海上自衛隊は帝国海軍そのままだそうだ。陸自と空自はそれぞれお手本が米陸軍と空軍なの旧軍とはかなり趣が違うのだろう。それにしても組織内の部門による対立と言うのはどこにもあるだろう。戦前の陸海軍の対立は想像を絶するの域に達していたようだし、それぞれ環境も思考様式も運用も異なるのだから仕方がないだろう。現代の戦闘は立体戦になっていて各軍が単独で戦うということはありえないだろうが、こうした対立と言うのはなかなか解消はしないと思うが、・・。それにしても最新の機械を扱う空自が支離滅裂とはねえ、・・(^。^)y-.。o○。
Posted at 2017/11/23 11:28:42 | |
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