いわゆる普通のシフトアップの時の操作はアクセルを緩め、クラッチを踏み、ギアを抜き、ギアを入れ、クラッチを繋ぎ、アクセルを踏む。
慣れてくるとかなり早い操作ができるようになりますが、アクセルを離す分、一瞬加速が緩む事は避けられませんし、シンクロミッションではシンクロが回転差を吸収する時間を待たないと寿命を縮めます。
どんなに頑張っても一回のシフトに付き0.5秒程度のロスは出ると思います。
レース車両に良く使われるドグミッションはシャフトとギアの連結にシンクロではなくドグ歯を使います。
(イケヤさんから拝借)
これは歯と歯の隙間が大きいので勢い良くぶち込めば少々回転差が有っても入ります。よってシンクロミッションより早くシフトできる。でもその前に下のギアを抜かなければなりません。ところが一度噛み合ったドグ歯はエンジンのトルクが掛かっている限り抜けません。アクセルを離すなり、クラッチを切るなりの操作が必要になり、それなりにタイムロスします。
このロスを抑えるための工夫がアクセルは全開にしていながら一瞬だけトルクを抜くための点火カットシステムです。しかし、タイミング良く必要十分な時間点火カットするのは意外と難しい。
Motecなどのフルコンで制御されていればギアポジション毎に何ミリ秒カットなどという細かい設定ができるけど、ギアチェンジは人間のすることだから時間はマチマチでマージンを持った設定にしておかないとギアが壊れることもある。従ってこれも0.2~0.3秒位のロスが出る。
そこで登場するのがこのFlatshiftシステムです。
これの説明のまえにシーケンシャルミッションは一本のワイヤーを押したり引っ張ったりするだけでなぜシフトチェンジ出来るかを知っておく必要があります。
その肝がシフトドラムです。
(イメージ図)
このドラムを回転させると、表面に切ってある溝に沿ってシフトフォークが動き、ギアチェンジします。
ギアトロニクスはこのドラムの回転をポテンショメーターでモニターしていて、たとえば2速と3速の間
辺りにドラムが回ってきたからこの間点火をカットするなどと言う制御をしているのです。非常に理にかなった制御でギアを傷めない必要最小限の時間を割り出すのです。その結果点火カットタイムは場合によりますが0.06秒とかで済むと言われています。
昨日のレースが初の実戦投入でしたが、ウエットの難しいコンディションのなかミスなく無駄なくシフトアップできました。シフトチェンジ時の音を聞けば違いが誰にでもわかると思いますが、音がとれておらず残念でした。
興味おありのかたはサーキットなどで声をかけて下さいね。
Posted at 2011/05/30 13:42:10 | |
トラックバック(0) |
EXIGE | クルマ