旅したい、こころに残るドライブルート
今回は
「海へ向かう道、美岬ライン」と題して、能取湖と能取岬を結ぶ美岬ラインを取り上げました。
網走市街からわずか12Kmのところにある能取岬。
その能取岬を巡る道が、「北海道道76号線 網走公園線」別名「美岬ライン」と呼ばれる道だ。
この岬を巡る道は、ホントなんて言えばいいんだろう。来るたび感動が積み重なって、何度でもここに来たくなる風景です。能取の岬そして湖を巡る海へ向かう道はボクにとって北海道で一番のこころに残る道の風景と言えます。
大きな写真でご覧になりたい方は、こちらのリンクへどうぞ ->
http://www.threetroy.com/drive-r/misakiline.html
蒼い空に浮かぶまっ白い雲
海に向かってなだらかに下る一本の道
この風景はボクが旅で求めているすべてかもしれない
強い雨を降らせた熱帯低気圧が過ぎ去った日
宗谷丘陵からオホーツク街道を南下して、たどり着いた海へ向かう道
この道の風景は、いまでもボクのまぶたに焼き付いている
いつかまた、この風景にもう一度めぐり逢いたい
旅に出よう...
いつか出会うはずの風景に、たどり着く旅
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サロマ湖へ向かう国道238号オホーツク国道を東に向かって右折したところから、この旅は始まる。
大きなJAの農業施設から東の丘へ向かって走る。
北海道らしい農場の丘を越えて行けば...
こんな風景があなたを待っています。
霧に霞むあの岬には
どんな風景が待っているのだろうか
地図に真実はなく
旅して確かめた者だけが
その道を示すラインを
色彩あふれる記憶にする
潮風吹く道のさき
風の歌とともに
名もなき道の向こうへ
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前方の岬が能取岬だ
ここは、じゃがいもの花が咲いていたり、黄金の麦の穂が風にそよぐ
さぁ、あの美しい岬に向かって走ろう
トラクターが落としていった、土がちらばる道を下って
あの岬ヘ向かって走って行こう
そして海沿いの道をどこまでも走ったら
あの遥か高い山にたどり着くはずだ
長い間、どこまでも、走り続けてきたけれど
ボクが旅で探し求めているものは
まだ見つからない...
そう、まるでこの歌のとおりなんだ
数十年ずっとこの歌を聞きながら走り続けているよ
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この先、能取湖北西岸の先端までダートの道が続いているが、この先は大規模な漁港が作られちょっと荒れた土地になってしまっている。この残念な風景を紹介する気にはなれないので、先端へ続く道の写真だけ載せておく。
この能取湖の北西岸の砂嘴をグルッとまわって、再び国道238号へ。
能取湖西岸はところどころで湖は見えるが、基本的には森の中を行く道。
しかし、9月初秋の頃ここを走れば、道路から見る能取湖の湖面の色彩にあなたは驚くだろう。
能取湖南岸の卯原内は、サンゴ草の群生地として日本一の規模のところ。
これが7月の卯原内の風景である。なんでもない緑の水草が広がる湿原地だ。
その卯原内の湿原の風景は9月にはこのように紅に変わる。
さんご草が秋に紅く染まるのは紅葉とは言わない
そんなことはわかっているさ
それでも7月に同じ場所に来たことがあるなら
やはりビックリするだろう...
紅紫色のさんご草、空にはシーラス、秋の雲
少しつめたい澄んだ空気
朝の紅い湖は気持ちよさにあふれていた
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このサンゴ草の湿原地は野鳥の宝庫でもある。
運がよければ、オジロワシが空を舞う風景が見れるだろう。
卯原内を出て、国道238号は今度は能取湖の東岸を北へ…
二見ケ岡というところで北海道道76号網走公園線、別名美岬ラインへ入っていく。
美岬ラインへ入ってすぐ大規模な農場地帯が広がっている。
農場の同じ時期、同じ場所に、同じ作物が作られることはない。
ある年こういう風景を見たとしても… また別の年には…
綿のような白い雲が浮かぶ空は
雲ひとつ無い晴天よりはるかに美しい
このうららかな午後
ボクは農場へ続く道を行く
黄色と緑の農地が広がる
先へ続くダートの道
どうしても行ってみたくなる
この道の先に待っているものが何なのか
確かめるために旅を続ける
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この先の美岬ラインはしばらく最近開発された工業地帯があって、大規模なキャンプ場もある。
さらにその先は少し狭くなった2車線の湖畔沿いの森林の中を行く道となる。
ここから先がイチローの出演するスカイラインのCMの舞台になった風景だ。
この先の能取湖畔の風景がボクは好き。
初秋の湖面は、サンゴ草の紅やだいだい色、枯れた水草が何とも言えない色彩を見せてくれる。
そしてオホーツク海に出る…
ここは最近まで海沿いのダートの道だった。
波しぶきの彼方に見えてきた能取岬
岬へ続くストレート
この道を何度走ったろうか
4年前はまだダートの道だった
アスファルトに変わってもこのダイナミックな風景は変わらない
駆け抜けよう、波の飛沫を切り裂いて
この道の名は「美岬ライン」
この先にその名の通り美しい岬が待っているから
舗装工事中の時の写真が一枚だけ残っていた。雨のダート走行だ。
この海沿いはダートの頃も素晴らしかったが、快走路となった今もさらにすばらしい道である。
海沿いの道はこの美岬トンネルで終わる。
美岬ラインがダート時代はこの山の左側の海沿いを登っていく難所だった。
トンネルを越えると、まもなく能取岬へ向かう分岐へ出る。
森を抜けた先に、能取岬灯台が見えてきた…
そしてこの先のカーブをゆっくり左へ旋回していくと…
この感動の風景があなたを待っています。
能取湖方面を見た風景
朝、ゆうぐれ、いつ訪れてもこの道の風景はすばらしい。
宗谷から南下した旅の日
美岬ラインでゆうぐれ時を迎えた
冷たい風が吹いていた、海に向かう道
そこで見上げた空は
空に広がっていた雲の色彩が
忘れられない空だった
何故そこに行くのかと聞かれたら
そこが好きだからと答えることにしている
心の中を説明しようとしても
それは理解ではなく誤解を積み重ねるだけさ
好きだから何度でも行く
当たり障りのない言葉だが
あながちウソでもない
ここに来てすることと言えば
クルマをとめて、海に向かい空を仰ぐだけ
初めて来た時からそれは変わらない
多分それはこれからも
なにも変わらないと思うんだ
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能取岬のシンボル、能取岬灯台。
草原の中に立つ、堂々たる八角形の灯台である。
蒼い空に白い雲が浮かぶ岬
広がる草原
夏の岬は風薫る
雲は流れていくけれど
旅の記憶はいつまでも残る
或る旅の日は、雨が降っていた
数百キロあてもなく走った
時間の中に身を委ね、ただ駆けていた
ゆうぐれ近くなって
風がやんで、雲間が見えて
グレーの空に色彩が現れた
雨が降って、風がやんで、岬にゆうぐれがやってきた
それだけの一日、それだけの旅
なのに、このこころの充足感はなんなのだろう
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能取岬を出て、美岬ラインを網走方面に走る。
森の中の一本道。夜はエゾジカが道を塞ぐ。
海沿いに出て東を見ると知床が見える。ここから見る夜明けの知床半島は美しい。
そして、太陽が知床連山から登ってくるのだ…
嵐が去った朝は雲多き朝だった
目を覚まして今日の旅へ
風の歌を聴いて走りだす
雲多き朝だった
海の向こうに知床半島が見えていた
漁港にクルマを止めて
思いがけず出逢ったこの風景を
ボクはただ眺めていた
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さて、「海へ向かう道、美岬ライン」楽しんでいただけましたか?
北の大地の雄大な風景の中、毎年ボクに感動の風景を見せてくれるのがこの道の風景です。
サンゴ草こそ有名ですが、能取湖周辺は意外にマイナーな観光地かもしれません。
この「海へ向かう道」の素晴らしさを知らない人は意外に多いのです。
この道の風景は、いつもボクのまぶたに焼き付いています。
いつかまた、この風景にもう一度逢いたいと毎年北へ向かって旅に出るのです。
またきっと、出会うはずの風景と信じて。