
気分転換にZ4を借りて1日ドライブしてきました。覚えているうちにその感触をレポートします。
なぜZ4か?
全国津々浦々を旅行できるオープンカー、というのがワタクシのクルマ選びの一つの方向性。
だとすれば、全幅1800mm以下のオープン2シーターというのが具体的条件なのです。
いまのところ、以上の条件に合致するのは、現行型では、マツダロードスター(1735mm)、アバルト124スパイダー(1740mm)、ボクスター(1801mm)、Z4(1790mm)の4台。
個人的にはロードスター(特にNC 1720mm)が今の所イチバンなのですがそれらの車も気になる気になる。もうすぐZ4は新型に切り替わりますしね。
ということで、たまたまZ4のレンタカーを見つけたので、天気も良いことですし、お借りして1日乗ってみました。
2011年式のsDrive35i
改めてスペックを見てみると
(17インチ仕様。3Lターボ、直6。7AT、306馬力、40.8kg・m、4250mm×1790mm×1290mm、HB2490mm,、1600kg、最小回転半径5.4mm)
1.6トンもあるんですね・・・NCロードスターの1.5倍。すげー。
まず気になるのが室内。

パドルシフトは親指でシフトダウン。これが最後まで慣れなかったです。速度計は細かく刻んでいて見難い。

ドアポケットは蓋をパカっと開いて入れるタイプ。500mmのペットボトルは収納できない感じです。虫除けのスプレーはぴったり入る。サングラスとか入れるのかな。

BMWのシフトレバーは慣れないので最初は戸惑い気味。パーキングも電動でスイッチ操作するのだけれど、制御が独立しているので面倒。やっぱしベンツのブレーキ踏み込んでパーキングオン&発進しようとしたら自動解除がいいね。ただ、マニュアルモード固定が具合が良いことが後半わかってからは慣れました。
しばらくノーマルモードで屋根を閉じて市街地を走ってみます。
アクセルを微妙に踏むと全然前に進まないで、ちょっと踏み込むとちょっとだけよ、って感じでトルクが出ます。発進時のATの制御が慎重な感じ。
踏むとさすがにパワフル。ノーマルモードだと意図的に踏み込まないとパワーを出さない感じ。湧き上がるパワーをなだめすかして制御しています。のんびり走るモード。
高架橋の継ぎ目段差などはドスンという音はするけど、それほど”硬い!”とは思わないですが、決して乗り心地が良いというものでもない。
室内はわりと静か。エンジン音を意図的に室内に入れているので、高級セダンほど静かではないけど、さすがハードトップという感じ。
パイパス路を走る限り、車の大きさはそれほど気にならない。
高速に入ってスポーツモードに入れると怒涛の加速…これが300馬力の世界なのね。微妙なアクセル操作に敏感に反応する様は、万能感というか無敵感満載。すげー。でも思ったよりもスピード感は感じるもんですね。助手席に聞いて速度当てクイズしても、きっちりスピード感と実際の速度が合っています。
一方でエンジン・駆動関係の振動はほとんど感じないのがすごい。さすがに直6。エンジン音はするけど、エンジン振動は感じない…。

よく走る郊外の広域農道にやってきて、屋根をオープン!
ここでもノーマルモードで走ると、なぜかのんびり走っちゃう。もう制限速度以下でゆるゆるという気分。アクセルに対する反応の鈍さやステアリングの中立付近があえてダルな感じが普通のセダンに乗ってる感覚になります。かといって乗り心地は決して悪くないけど、超快適というほどでもなし。もうちょっとビシッと真っ直ぐ走ってくれると嬉しい。

そして、意外と風の巻き込みがあります。ウインドディフレクターなしなので、ロードスターよりは確実に風が左耳にバシバシ当たる。

タイトなワインディングに入ると、どうも運転がギクシャクする・・・。この車、パワーがあるのですぐに6速、7速に入ってしまいます。なので普通に「D」に入れっぱなしで走ると、パドルでシフトダウンしてもすぐにシフトアップしちゃう。アクセル操作で速度コントロールができないのです。だからギクシャク。
お昼近くなってたまたま ”ワールドメイプルパーク奈良カエデの郷「ひらら」”の横を通ったので、ランチタイム。

廃校跡を利用した施設です。
こちらのカフェにてお昼ご飯。

手作りハンバーグ定食1000円。なかなか美味しかったです。
こちらでじっくりZ4の外観を眺めます。

スペースグレーの車体色はちょっと地味ですが、上品にまとまっております。
そして、このロングノーズ。アメリカンな雰囲気も若干感じます。

リアのフェンダーが盛り上がって後脚の力強い蹴りを感じます。ブリスターフェンダー好きとしては高ポイントです。

流れるような美しいシルエットに動物的な抑揚が施されており、個性よりも流麗さを感じます。

さーお腹も満たされたことですし、これから山越えして走りを楽しみますか。

日差しが強いのでクローズドで走ります。先行車はほとんどおらず超快走路。
一部舗装が悪い場所では、やはり振動を伝えてきます。ただシートが良いのかそれほど直接的なショックは体には来ないです。重量で抑え込んでいるという感じ。ただ、基本設計が古いためか振動の処理が若干ブルっときて、気になります。シートの座面は若干短い印象。体周りの空間がとても広いので余計にシート座面の短さが気になります。

ノーマルモードでは、タイトなコーナーで充分に前荷重にしないとハンドルの切り始めが若干遅れる感じがあります。

このような郊外の快走路を走る限り、車体の大きさは全く気になりません。

一部狭い道ではレンタカーということもあり気を遣いましたが、ロングノーズということもあり、見切りは悪くないですし、ヒップポイントもそれほど低くないので乗用車感覚で運転できます。ただし私は狭い道に突っ込む気には全くなれませんですた…
快適性については助手席もご満悦ですが、どうも全体の印象はパッとしない。ノーマルモードだとどうもゆるゆると走ってしまう。助手席もノーマルモードでゆるゆる走るとイライラするらしく、スポーツモードでスカっと走って欲しい、と要望が出てきました…。ロードスターでは発生しない現象(笑)
そこで、スポーツモードに固定して、真面目に(?)走ってみることに。
夕方になってきたことだし、クルマにも慣れてきたので屋根を開けて奈良ニュルへ。

中高速コーナーと激しいアップダウンのニュルでは、途端に活き活きと走り出します。広域農道標準的速度域になると、足回りもピタっと安定して水を得た魚のよう。高速コーナーもビシッとインにつけられるし、足回りもグッと安定し、速度が乗るとむしろ快適な乗り心地となることを発見。これが1600kgの車体かと思うほど、自由に車をコントロールできるのは、さすがBMW、さすが駆け抜ける歓び、と思いながら走っていました。

それに直6ターボは回転数に関わらず振動がなく、シュウィーンと回るので、回転数を上げても苦しさは微塵もありません。それにターボラグなど全く感じません。ATをマニュアルモードに入れっぱで手動シフトすると勝手にシフトアップしないので、2速・3速だけを使ってとても気持ちよく走れるようになりました。はあすごく気持ち良かった。
走りには満足したのですが、ロングツーリング用途に対しては意外な発見も。
まず、トランク。
NCロードスターが150L、Z4が180L(オープン時)とかなり期待していたのですが…

実際にオープン時に使える範囲は、実測で奥行き約75センチ、幅約65センチ、高さ25センチ(最も狭いところ)ということで平べったい立方体。オープン時は開口部も狭くなり…奥にスーツケースを押し込んで、手前に手荷物を置くことになります(でも屋根を閉じたらガバっと開くので全然大丈夫ですよ…)
うちのNCロードスターのトランクに押し込んでいた荷物が、形状の問題もあり全部入らないことが判明(^^;
トランク容量の測定方法を鵜呑みにしてはイカん!という発見でありました。
その代わり、室内は広くてシートの後ろに薄いものなら置けるスペースがあるのはGOOD(NCもシート裏とシート下には結構モノが入るのですが、比べ物にならない)
室内のドリンクホルダーについては、ちょっと意外。
一見するとどこにも見当たらないのですが、

センターアームレストを開くと

2つぶんのドリンクホルダーとAUX端子、シガーソケットと物入れが現れます。つまり、ドリンクを飲んでいるとアームレストが使えず、パカっと開きっぱなし。まあ使えなくはないけど、ちょっとかっこ悪いかなと思いました。
あと、エアコンの左右独立コントロールは助手席からは好評でした。また内気循環のオートモードもとても良いですね。
総合的には走りに関してはすごいとしか言いようがないクルマですが、ロングツーリング用途で考えるとトランクが若干不満でした。それに色のせいかもしれないけれど、このクルマに名前をつけようとは思えないのはなぜでしょうか…?クルマに対する自分の求めていることが浮き彫りになった試乗でした。

試乗を終えてロードスターに乗り換えて運転すると、あーこれこれ、この手触り感と操っている感、人馬一体感がうちの使い方に(いまのところ)ベストマッチなのかな…と思いました。
以上です!
追記:およそ260kmを郊外中心に走って燃費は9.74km/L。3リッターターボとしてはかなり良いのではないでしょうか。ちなみにNCロードスターだと、同じコースで13~15km/Lぐらいです。