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連休初日は豪雨の中、防府のサティへ映画「崖っぷちの男」を観に行った。

予告編で覚えているのは、高層ビルの窓から外にでて、わずかな足場に立つ男の姿。
なんとなく「フォーン・ブース」的なものを想像してたけど、あっちの主人公は犯人に
仕掛けられた被害者の立場なのに対し、今回の主人公はある最終目的のために
計画的に自らこんな危険を冒す。

その最終目的は前半で明らかになるが、計画の全容ははっきりと明かされないまま
物語は進む。自分の飛び降り騒ぎに乗じて弟達を隣のビルに潜入させること、自分を
説得にくる警察の交渉人を味方につけることが、最初の目的だ。

隣のビルの弟達と、主人公と交渉人のやりとり、この二つの場面が目まぐるしく
切り替わりながら状況が描かれる。弟達が警備員に今にも見つかりそうな場面、
あるいは注意を自分に向けるためわざとらしくも危うく落ちそうになる主人公。
ヒヤヒヤする場面は盛りだくさんだ。

少々残念なのは、計画が緻密そうに見えて結構杜撰なところ。隣のビルに侵入するのは
弟とその彼女で、侵入する前に弟が彼女に「今ならやめていいんだぞ」などと言うが、
後になってどう考えても二人でやらなければならない作業があって、もし「じゃあ、
やめる」とか彼女が言い出したらアウトだろ！って思ってしまった。

また警報機を解除するシーンでは、その彼女が、初見の電子回路を無線で主人公の
指示を受けながら細工するのだけど、さすがにそれは無理だろ！って思ってしまう。

金庫室に侵入はしたもののお目当てのものが見つからないので、計画は次の段階に
移るのだけど、これがさらにいい加減。そのお宝の無事を確かめにきた悪役を先回り
して、一人になったところを脅しとる、という作戦。しかも猿轡もかけずに手錠で
拘束しただけなので、あっさりと警備を呼ばれてお宝を取り返されてしまう。

こういうこともあろうかと・・・なんてどんでん返しを期待したら、何と！
思い切って下のクッションめがけてダイブ、すぐに置きあがって回りの警備を
かいくぐって、悪役を殴り倒しお宝を奪い返す！という力技。もちろんすぐに
取り押さえられるけど、テレビカメラや野次馬の前でそのお宝が披露されてしまって
主人公の最終目的は果たされたのであった。。。

いや、でもその前に、主人公、突入部隊に追いかけられてビル内に戻ってたやん。
それから結構時間が経っていると思うけど、クッションや野次馬やテレビカメラは
そのままだったというのも不自然。
このへんは、主人公の計画だけでなく、映画の作りこみ自体が杜撰に思えてくる。

でも、交渉人を味方につけようとするやりとり、警察内部に悪人がいるという構造は
緊迫感があって良かった。交渉人の信頼を得てからは、ジェットコースターのように
一気に物語が展開する。

この緩急がこの作品の魅力。勢いあり過ぎ、な感じはあるけどね。