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頑固一徹カズですのブログ一覧

2013年01月26日 イイね!

NAVIアーカイブ(2006年1月26日発売 3月号)Mitsubishi LANCER Evolution Wagon

NAVIアーカイブ(2006年1月26日発売 3月号)
(7)ロードカーということを忘れるな!
Mitsubishi LANCER Evolution Wagon

4WD名称:ACD
タイプ:LSD付センターデフ式4WD[アクティブ型]
トランスファー:センターデフ(ベベルギア)+電子制御油圧多板クラッチ

 ランサーエボリューションやこのランサーエボリューションワゴンには、アクティブ型のセンターデフ式4WDが搭載されるが、他との一番の違いは、ラリーでの使用を前提に開発されている点。そのために開発されたのが、油圧多板クラッチで差動制限力を電子制御するセンターデフシステムのACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)だ。通常はベベルギアのセンターデフにより前後のトルクは50:50に配分されるが、舵角や車速、4輪車速、前後G、アクセル開度などの情報をもとに車両の状態をシステムが判断しながら、差動制限力をフリーから直結の状態までコントロールすることが可能。路面状況にあわせて最適な制御を行えるよう、“TARMAC”(乾いた舗装路)、“GRAVEL”(濡れた路面・未舗装路)“SNOW”(雪道)のモード切替スイッチを用意。路面状況をクルマ側が判断するよりもドライバーに選ばせた方がより正確で素早い制御が期待できるという理由からだが、いかにも勝つための4WDらしい発想である。


 雪道でのタイヤやクルマの評価は非常に難しい。路面がどんどん変化するからだ。
 かつてウインターラリーに参加していた時、ゼッケン番号でスタート順が決まる。シードされているから1番から10番までの間だったが、どの位置で走るかが運命の分かれ道になるようなところがある。仮にその日、雪が降ると、路面は当然のように新雪となる。パウダースノーの路面はふかふかで、どんなスパイクタイヤでも「糠に釘」を打つようなものだった。全くグリップは得られず、後続車のために除雪してあげることになる。
 じゃあゼッケンが遅い方が有利かというとそうでもない。最悪なのは路面が荒らされ、デコボコになること。そうなるとタイヤは路面にうまく接地しないし、抵抗も増える。自分より前に何台も走ることで表面の雪が飛び散り、アイスバーンの硬い路面が顔を出すこともあり、そうなると、やはりグリップしにくいのだ。かように雪道の路面変化はドライバー泣かせだ。一般道でも路面の状態が変化しているケースがある。ある部分でグリップしているからといって、調子に乗ってはいけない。

◇清水和夫ドライビング教室
 今回、特設ジムカーナコースでのタイム計測を真っ先に始めたのはランサー。クルマの性能もさることながら、路面条件が非常に良かった。そのため、トップバッターだったが、ACDをスノーモードにして計測すると38秒82を記録した。路面変化を知るため、スタッフが別のクルマで走った後にも計測すると、40秒50にまで低下した。何台ものクルマが走った後では、路面が2秒分も悪化していたことになる。たかだか数百mのコースでこの差だ。まぁ2回の計測の間に走ったのが自己啓発(ようするに練習)にいそしむ編集部員(ようするに素人)じゃなければ、これほど路面は荒れなかったと思うが……。
 ランサーやインプレッサに乗るユーザーは、ラリーに憧れているドライバーが少なくない。雪を見るなりトラクション・コントロールのスイッチを切ってドリフトして遊びたくなる。その気持ちは理解できなくない。もちろん公道では練習すべきではないが、安全な場所があれば、こんな訓練をするといいだろう。
 それは、Jターン訓練。安全な速度からABSを思いきり踏む。ペダルが振動するが、その状態でステアリングを切ると曲がりにくい。ABSのロジックには“クルマを安定させる”という指令がプログラムされている。だから、曲がるためにはABSが作動する少し手前までブレーキペダルを緩める必要があるのだ。
 実際、ランサーを上手にターンさせるには、そうしたブレーキテクニックが大切だ。クルマのノーズがインを向き、半分以上ターンしたら、遠慮なくスロットルを踏み込む。そうすれば、AYC(外輪増速)が備わるランサーはFRのように美しい姿勢を作りだしてくれる。大事なのは常にフロントタイヤの接地性を感じておくこと。リヤタイヤは横に流れても歓迎できるが、フロントタイヤが横に流れる、つまりアンダーステアを出すと、山岳路では崖下に転落することを意味しているのだ。
 ACDを「ターマックモード」にすると、ほとんどFRのようなオーバーステアが顔をのぞかせる。反面、ステアリングの反応は最もリニアで、コントロールしやすい。スノーモードにすると、センターデフのロック率が高まり、トラクション重視となって少しアンダーステアが気になる。でも、タイムを出すにはトラクションが絶対に必要。「ドライビングプレジャーか、安定したトラクションか」という差になるわけだ。

◇電子制御の前にすべきことがある
 一般道路の印象を述べてみよう。真っ先に気になったのがワイパーの性能がプアなこと。モーターもブレードもほとんど役に立たない。些細なところへの配慮ができないメーカーは自然消滅する運命にある。過去の悪い習慣をすべて見直すことができるかどうか。生まれ変わるならそこからだ。セールスにつながる部分、たとえばレカロシートはとてもすばらしい。悪しきワイパーとよいシート……。思想が感じられない。安全運転で何が最も重要か。視界とシートだ。その2つの機能が100点と0点では洒落にならない。
 また、サスペンションが硬いから一般道路はタイヤの接地性が薄い。ランサーは旧態依然とした昔の三菱の作り方だ。エンジニアの自己満足、自画自賛。カーボンを付ければカッコイイとか。カーナビだってグループ企業の使いにくいタイプを採用している。エンジンはドッカンパワーだし。もうちょっとエンジンの低速トルクがあってもいいともう。
 ブレーキ性能は、アウトランダーよりはしっかりとした制動力を得られる。エンジンの速さに比べると、下り坂のブレーキが足りないことは事実だ。ATはマニュアルモードで走ると、ギア固定が可能。
 ランサーは「ラリーカーだから」というエクスキューズで多くの問題が表面化されていない。でも、ワゴンはカルトカーではない。ロードカーとしてどんな価値を作るのか。ラリーカーとしてみると「安い、速い」という魅力があるが、メーカーとしての思想はこのクルマからは見えてこない。
 このカルトカーも07年頃にはフルモデルチェンジする。三菱がどこまで生まれ変わることができるか。それはクルマという商品が企業の都合で開発されるのではなく、ユーザーの立場で、新しい価値を作ることができるかどうかにかかっている。技術は価値を導く手段に過ぎない。

<タイム>ランエボワゴン
ACD SNOW 38秒82


Posted at 2013/01/26 19:04:05 | トラックバック(0) | 日記
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