《前口上》
20世紀の終わりごろ、名古屋の出版社から月刊Leftという輸入車雑誌が発行されていました。
今でも一定年齢以上のクルマ好きの間でこの雑誌が話題に上ることが時々あります。
その大きな理由の一つは、毎年1回シトロエンの大特集を組んでいたからというのも大きいのですが、ローカル誌とは思えない志の高い紙面作りが今なお評価されているのだと思います。
ウチの本棚に何冊か残っているので、時々紹介していこうと思います。
月刊レフトをすべて残してあるわけではなく、これからはシトロエン関連の特集があるものばかりになります。
1993年2月号(通巻37号)です。
この号のシトロエン特集も大きいです。
今となっては、Tipoでもカーマガジンでもここまでやらないだろうなという…
特集のトップはXMブレークとCXファミリアールの比較特集。
今の観点だけではなく、当時にしても
この2台の比較記事を“実用情報”として役立てた人がどれだけいたのでしょうか?
でも、そんなことを言うのはナンセンス。
自動車雑誌には『夢を見る(見せる)』というのも大事な仕事なのだと思います。
シトロエン好きが『どっちがいいのかなぁ…』と妄想する2台としては、今も当時も十分成立する企画です。
続いてこんな記事が。
まだ日本導入前。
Xantiaという名前は発表されていたけれど、西武/ユーノスから日本語読みが発表されていないという段階だったのですね。
「伝統のハイドラクティヴサスペンション」っていうのはおかしいです。
XMでデビューしたばかりのシステムですから。
当時から、ハイドロニューマチックとハイドラクティブの違いが分からずに混同する記事があったという意味で、日本シトロエン史上貴重な記事かもしれません。(苦笑)
続いては新車シトロエンのバイヤーズガイド。
既に後期型になっていますが、それでもやっぱりAX萌え。
さらに、2CVミーティングのリポートです。
多分、レフトが企画して集まってもらったというパターンだと思います。
ここに出てくる人たちはほとんどの方と当時お付き合いがありまして、懐かしい名前が並んでいるのですが、本名で紹介されているためその部分は加工しました。
(そもそも読めないくらいの解像度だと思いますが)
続いてはなぜかフランスの路上にいるシトロエン。
休暇か仕事かはしりませんが、たまたま関係者がフランスに行ってきたからご紹介…って感じのノリで作ったページのようです。
実はこの中にある1枚の写真。
これを見て、一時期
「洗車なんてもってのほか。フロントガラスはワイパーが拭かない部分が白くなってるのが粋」だと本気で思ってました。(笑)
輸入車乗りの会社の先輩にそう言ったら、
『そんなバカなこと思ってるのお前だけだよ』と一笑に付されました。
さらに続いては、発行当時すでに新車では買えなくなっていたシトロエンの紹介。
VISAのミルピステの所有者は、上のヨーロッパの路上写真を撮った人と同一人物です。
今はどうなっているのか分かりませんが、貴重なクルマなのでどうなっているのか気になりますね。
そして、シトロエンの歴史。
ネットもない時代、こういうまとまった資料も少なく貴重だったと思います。
前年秋のフレンチブルーからシトロエンだけを紹介。
この年は私も行ってたのですが、載ってません。残念。
さらに
シトロエンに関する文献の完全リストアップ って、すごいタイトルですが。
この当時にはTipoみたいにエンスー漫画が連載されていましたが、この号では2CVがテーマです。
東海地区のミニカーコレクターを紹介するコーナーも始まっていましたが、このコーナーもシトロエン。
実はこの方、この当時から知り合いです。
当時は自動車業界の人ではなかったのですが、今ではWHの管理職になられています。
これでやっとシトロエン特集が終わり。
疲れました(笑)
他には
この記事、写真が切れちゃってますがタイトルに現地試乗を謳っています。
ローカル誌としては画期的ですが、当時フォルクスワーゲンを手放したヤナセがオペルを扱うにあたってのパブリシティ記事のようです。
ローカル誌のドイツ取材をアレンジするほどのキャンペーン予算をかけていたのでしょうね。
ヤナセが本気を出すとすごいです。
これも懐かしい名古屋輸入車ショー。
毎年1月の恒例でした。
バブルの流れがあったからできたのですね。
今はすっかりなくなりました。
この特集もかなり大きいのですが、もう紹介する体力はありません(笑)
あとは広告です。
オートザム=マツダがランチアを扱ったのは、
日本輸入車業界史上の汚点というか、黒歴史だと思います。
バブルだからってとんでもないことをしでかしたものだと。
個人的にはユーノスも黒歴史その2だと思っていますが、こちらは最終的にはシトロエンを投げ出して市場を混乱させたものの、シトロエンの絶対数を増加させることには貢献しました。
オートザムの方はそういう貢献もなく、イイこと無しでした。
こんな車が並ぶ中古車屋さんが三河方面にあったのです。
当時も覗きに行きたいなと思っていたお店ですが、結局一度も行くことはありませんでした。
恒例のどみにこさんのオリジナル広告はこちら。
ちょっと詳しい人は、「あぁ、パリダカのZXラリーね」と思うかもしれません。
そういう半可通の鼻っ柱を折るような、パリ~北京ラリーの写真です。
私も今ならこの写真だけでパリダカとの違いは分かりませんよ(笑)
定例の広告はこちらですが、この号では見開きの拡大版。
相変わらず要面接の車両がいます。
っていうか、2台に増えてるし(笑)
この広告の中で注目すべきはこちらかと。
XM、ZX、エグザンティアあたりのシトロエンって、白が少なかったですよね。
xmやエグザンティアも後期になると白いのも時々見かけますけど前期型はほとんど無い。
中でも白が少ないのはZXだと思います。
さて、この号全部を通して私が一番萌えた中古車がこれ。
このタイプのウーノ、好きなんです。
パンダよりウーノが好き♪
中でも、一番安いこのモデル。
こういうのにサラッと乗りたいです。
続く
※月刊Leftを発行していた出版社Aは廃業
⇒印刷業界のB社が継承
⇒その後、B社は親会社C社が吸収
⇒C社は民事再生手続き申請後、再生手続きの廃止により倒産
という流れをたどり、
月刊Leftの権利継承者が存在しなくなったと思われるため写真を掲載しました。
問題がある場合にはご連絡ください。