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2011年03月05日

車を運ぼう―航空輸送篇―

車を運ぼう―航空輸送篇― 自動車を飛行機で運ぶことはあまり一般的ではありませんが、よく調べてみると案外需要があるようで、貨物専用機を持っている航空会社などは自動車を輸送するための専用サービスを用意しています。よく輸送されるのは、開発中の試作車や競技用車両、モーターショーに展示する新型車など「スケジュール的に厳しい」車両が中心ですね。写真は、日本貨物航空のジャンボジェットの貨物専用機(通称;ジャンボフレーター)が鼻先のドア「ノーズカーゴドア」を持ち上げて積み込みを行う様子で、航空貨物を象徴する光景ですね。実際にはこのドアはあまり使わず、普段は横っ腹にある大型の「サイドカーゴドア」から出し入れしています。鼻先のドアは、横腹のドアの出し入れが困難な長尺貨物を出し入れするのに使っているようですね。

さて、飛行機に車を載せるとなると、フェリーや自動車専用船のように自走して機内に入り、停止位置でタイヤを固定して…というわけにはいきません。まず車を、アルミ製の航空用パレットに載せ、4輪全てにワイヤー等を通して完全に固定します。秘匿性の高い車両(試作車など)の場合にはパレットではなく、周囲を完全に囲うことができる専用のコンテナを使うそうです。

準備ができれば、いよいよ飛行機に搭載です。車を載せることができるのはほぼ貨物専用機のみで、貨物の高さ制限が140センチとなっている旅客機の床下の貨物スペースにはまず積載できません。そのため車を積載できるのは事実上国際線のみ、貨物専用機が殆ど飛ばない日本の国内線ではまず不可能です。つまりカーフェリーみたいな使い方は「×」ということですね。ジャンボフレーターは100t前後の貨物を積載できる能力がありますが(タイプによって異なる)、車を積載できる台数は最大で30台程度でしょうか。背の低い車両(F1マシンなど)であれば専用のラックを用意し、車両を二段積みにして積載台数を増やすことも可能ですが、これくらいが限度のようです。

飛行機が到着して折り返し出発するまでの数時間の間に、荷物の積み込みはもちろん給油に機体の整備点検その他諸々…飛行機の周囲はF1レースのピットさながらの光景が展開されます。荷物を積み込むだけでなく、到着貨物を下ろす作業もあり、100t前後の貨物をそっくり入れ替えてしまいます。9割以上の貨物はULD(航空用のパレットやコンテナのこと)に積みつけられ、機内~運搬用車両の間はほぼ全自動で動かすので、案外時間はかかりません。ただ飛行中の重量バランスを考慮して、機内に搭載する位置は事前に厳密に計画→決定されます。これをきちんとやらないと、機体の操縦に悪影響を及ぼし、最悪の場合墜落するからです。

積載も終了し、いよいよ出発です。貨物機は旅客機と違い、許容される積載重量一杯まで積み込むことが普通なので、機体重量+燃料+積載貨物の合計で400t以上にもなります。そんなわけで、4基のジェットエンジンの合計で15万馬力といわれるパワーをたたっ込んでもなかなか加速→離陸しません。特にエンジンの出力が下がる夏場は、日本最長クラスの長さを誇る成田空港の滑走路(4,000m)を端から端まで使って、やっと離陸するのです。
やっとの思いで離陸して巡航高度に達し、あとはそれぞれの目的地へと向かいます。アメリカやヨーロッパだと、旅客便の1~3時間増しの所要時間が標準です。実は貨物便は、今でもアラスカのアンカレッジ空港へ寄航し、給油や貨物の載せ替えを実施することが多いからです。

船便だと、日本~欧米間は少なくとも3週間~1ヶ月はかかりますが、航空便だと預託~受け取りまでだいたい翌日~数日くらいで可能なようです(空港での引き渡しの場合)。そして気になるお値段は…普通乗用車サイズで日本~欧米間だと、400万円ほどになります。これはあくまで代理店に頼んだ場合の「いちげんさん」向けの金額で、契約条件によってかなり前後しますが、貨物の性質上同じパレットに混載(他の荷物との積み合せ)ができないし、航空貨物で重量物を運ぶと一気に金額が跳ね上がるので、こんな価格になってしまうようですね。

かつて、こんな車がありました。

キャデラックの「アランテ」という車のことですが、これはアメリカの工場からイタリアのピニンファリーナへシャーシを送り込み、そこで車体を組み立ててからアメリカへ戻すという作り方をしていました。アメリカ~イタリア間の往復には専用の改造を施したジャンボフレーターで空輸していたというのですから、驚きです。この車の販売価格は日本円で1000万円以上なので、価格の半分近くが「空輸代」と私はみています。私としては…なにもわざわざ空輸しなくても、海上コンテナや自動車専用船を使えばいいのに、と素直に思います。それなら200万~300万円は安くできたのではないでしょうか?
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Posted at 2011/03/05 01:07:11

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