
先日、
天草エアラインの今年の2月から運航を開始したばかりの新型旅客機「ATR42-600」に乗ったので、その報告をします。
この新型機の詳細は
こちらをご覧頂くとして、この新型機の就航が決まった時から、乗りに行こうと画策していました。ATR社の機体は今のところ日本に1機しかありませんし、この熊本訪問も私なりの復興支援になるかな…と拡大解釈して、今が絶好のタイミングと判断し、実際に乗ってみました。
私が乗る便が出発する天草飛行場に、バスを乗り継いでやって来ました。

天草空港(正確には「天草飛行場」)です。1日8便が離着陸する空港の割には、立派な空港ではないでしょうか
今回乗ったのは、天草空港発15:40→福岡空港行きのMZ105便でした。ただ天草エアラインの全便はJALとのコードシェアを行っていて、私はJAL便としての「JL3894便」で航空券を手配してあったのですが。

発券された搭乗券類です。天草発の便だけでなく、福岡から乗り継ぐ便の搭乗券と羽田まで通しの手荷物引換証も発券してもらいました。それにしても、いわゆる「もぎり」の搭乗券にスタンプ式印字の引換証なんて、本当に久しぶりです! 尚、画像は「大幅に」改竄してあります(笑)
搭乗手続きを済ませ、トイレ脇の窓ガラスから滑走路方面を除くと…いました、ATRが!

これが日本初登場のATR42-600で、イルカペイントが施されています(違) 空を飛ぶから効果もばっちり(もっと違)

エンジンにもイルカのペイントがあります。機体と合わせて「親子イルカ」というわけです。機体はヨーロッパ製ですが、搭載されているエンジンはカナダの
プラット・アンド・ホイットニー・カナダ社製「PW127E」とのことです。あと写真はありませんが、タイヤはミシュラン製でした
搭乗開始のアナウンスがあり、セキュリティゲートを抜けて機体に向かいました。

小さな機体ゆえ、建物から歩いて向かいます。後ろのドアから乗り込むのは初めてかも?
機内に入ると…

機内はこんな感じです

メーカーは不明ですが、真っ赤な本革の座席でした。かと言って単なる派手な印象は無く高級感が漂っている…まるで4桁万円級のスポーツカーの座席みたいな雰囲気があります。航空機の座席は前後の幅がうんと詰められているのですが、背面のポケットを頭の部分に設置するなどして、膝周りに窮屈さは感じませんでした。革は滑りやすくなく感触はまずまずですが、かなり薄い座席ゆえか若干ゴツゴツした印象です。もっとも短時間のフライトなので、さほど問題にならないとは思いますが。

ヘッドレストカバーには、サンタクロースの柄がプリントされていました

最前列右側の座席は、後ろ向きで窓無し、しかも非リクライニングらしく、非売席のようでした。かつて存在した日本エアシステムであれば、定価の半額の「ボーナスシート」として発売するんですけどね~

手荷物を収納するラックです。市販されている機内持ち込み可能なサイズのケースは無理そうですが、小型プロペラ機ながらそこそこ容量がありそうです。フタは跳ね上げ式ではなく、格納式でした

原型は古いながらも改良が重ねられていて、照明はLEDでした
内装は、最新鋭機に負けないモダンな印象…それもその筈、内装のデザインを手掛けたのはあのジウジアーロ! おまけにカラーリングはスバル在籍の元カーデザイナーにして公認サンタクロース等、多数の肩書を持つパラダイス山元氏が担当したとか。ローカルなフライト用の機材とは思えない、モダンな内装でした。凄い!
座席に座って程なく、出発の時刻になり、機体は滑走路に向けて動き出しました。

少々わかりにくいですが、係の方が「楽しい空の旅を」のプラカードを掲げて見送りをしてくれます
機体は滑走路の端に辿り着いた直後、ジェット機に勝るとも劣らない豪快な加速と共に離陸しました。驚いたのは、この時の騒音が他のプロペラ機よりも明らかに静かな事です。原型の初飛行から30年あまり経過した機材ながら、地道なアップデートを重ねた効果でしょうか? 本来ならばその場面を動画で撮影したいところですが、残念ながらこの機体は、離着陸の最中はデジタル機器類の使用が今でも禁止されているので、撮影できません。
離陸した機体は程なく水平飛行に移りました。この日の飛行高度は9000フィート(約2,800m)で、速度は約500km/hとのことでした。

この程度の高度では、迫力ある入道雲を間近に見られます。まるで宮崎映画の世界!?

雲が途切れると、眼下に佐賀空港が見えました
さて、座席の前のポケットには、非常口や救命胴衣の案内が記載されたリーフレットや「ゲ口袋」の他に、手作り感溢れる機内誌?が入っていました。

大手航空会社と違って、ファイルに印刷物を綴った機内誌でした。もちろん持ち帰り厳禁です
内容は…

社員の方が作ったと思われるルートマップです
この他、熊本県出身者の紹介や要望の募集、客室乗務員や整備士など社員の皆さんの自己紹介(しかも「他」己紹介込み)など、盛り沢山。自己紹介のページは個人情報ゆえ掲載できませんが、他にも思わず笑ってしまうページも。

広告募集!ですって。機内誌1ページに1ヶ月掲載で1万円は安いのでは? それにしても切実ですこと(涙)

とどめは、大喜利のネタ募集ときたもんだ(笑) 私は下2枚の写真に相応しい!?セリフは思いつかなかったのですが、皆さんいかがでしょうか?
いずれも、大手にはけして作れない愉快な内容満載で、思わず読み耽ってしまいました(笑)
離陸してから約20分後、早くも着陸態勢に入りました。一旦玄界灘に出て、右旋回して福岡空港の北側から滑走路に進入しました。この着陸が凄かった…着陸時の機体の姿勢が鼻先がうんと下がる「前のめり」の状態で、滑走路に差し掛かった直後までこの姿勢のまま。今までにないスリルを味わいました。もちろん安全には何の問題も無いのでしょうが、お~コワ!

福岡空港に着陸し、ターミナルに向かいます。向かいは国際線ターミナルです

客室乗務員さんや地上係員さん等の見送り(と言うより、とんでもない方向に行かないための見張り!?)を受けて降機しました
天草空港から約30分で、福岡空港に到着しました。飛行機ゆえさすがに速いですが、割引運賃は殆ど無くてとにかく高価…78マイル(約125km)の距離で16,500円もしたのよ。陸路(バス乗り継ぎ)であれば4,400円で済む区間です。空路では羽田~大阪間なんて余裕ですし、羽田~九州間でさえ、早く購入すれば乗れます(いずれも実勢価格)。でもこれ位するのもわかりますがね。定員の少ない機材で少ないフライトでは、収入はたかが知れています。しかもローカル線ゆえ需要も少なく、実際に搭乗していたのは定員の半分に満たない乗客でした。どう見ても、補助金無しには不可能な航空事業ですね。運賃は高いものの今のところ日本に1機しかないATR機に乗れましたし、これも私なりの復興支援だい!と、有り金はたいて?乗ってみました。
この航空会社の路線は、単なる交通機関と割り切れない、ユニークで愉快なフライトでした。皆さんも是非!と言いたいところですが、何しろたったの1機しか保有していないため、乗員訓練や機材メンテナンス等で頻繁に運休します。そのため、運航情報は必ずチェックして下さい。
以上、報告でした。
おまけ
久しぶりにかましてみましょう。バスマニアの皆さま、お待たせしました~

福岡空港にて。機体→ターミナル間で乗車した西鉄バスのランプバスで、いすゞのLKG-LV234N3でした。LKG-だけに西工ボデーではなく、宇都宮製の純正ボデーでした。よく見ると自家用ナンバーなのも注目です