
♪さんふらわあぁ~さんふらわあぁ~太陽に守られてぇ~
ということで?先日、さんふらわあの大阪~別府の航路に「さんふらわあ くれない」という新造船が就航したのを受けて、さっそく乗ってきました。その様子を報告します。カーフェリーの代名詞的存在であるさんふらわあ、それも伝統の大阪~別府の航路に投入された新造船です。それに長距離フェリーの新造船の乗船記は、現在低迷しているブログのPV数の稼ぎ頭でもあるのです。私にとって、ドン底期の日産自動車を支えたエルグランドやマーチののようなものですからね。そんな大事なネタ元とあっては、乗船して報告しないわけにはいきません。大型化しただけでなく、日本初のLNGを燃料とした画期的なフェリーだそうですが、どうでしょうか?
乗ったのは、大阪南港発の便です。18時を回った頃、フェリーターミナルに着きました。大阪南港のフェリーターミナルといっても船会社毎にターミナルがあちこちに点在し、間違えると大変です。特に徒歩乗船の場合は最寄駅まで変わるので要注意ですね。
トレードセンター前駅で電車を下車し、ATC内にある受付で、乗船手続きを済ませました。

ATC内にある受付です。団体の予約も入っているらしく、賑わっていました

近くにある待合室には、お祝いの花が多数飾られています。ここからこの新造船に関わった企業がわかるので、意外と面白いです
入口で名前を告げて予約番号の書かれた紙を受け取り、それを窓口に提出すると、乗船券と共に「大分県タイアップクーポン」という千円分のクーポン券が貰えました。船内限定で使えるらしく、これは有難いですね。そして乗船券にはQRコードがあり、これを改札でかざすだけでなく、個室の鍵にもなるようです。

画像は大幅に加工してあります
へ~画期的ですねえ。これならカードキーよりも低コストでしょうし、通常の鍵みたいに管理の手間もありません。でもそれならば、スマートフォンの画面に乗船券とQRコードを表示できるようにすれば完璧では? でもそれだと、扉のスキャナーが読み取りにくいのかな?

乗り込む前に、船体を撮影。大阪南港では後ろ向きに停泊しています
改札を通過し、船内に入りました。内装は船らしい武骨な印象(扉の周囲にある目立つビス等)が若干残りますが、木目を多用した、和風なデザインです。関西~北九州の航路よりも高級感があるかも。少々迷いつつも自分の部屋に行きました。
今回選んだのは「スーペリアシングル」という個室です。

船に入るとすぐに目に入るのが受付です。並みのビジネスホテルの受付よりも高級感がありました

個室への廊下には、同航路の過去の広告等を用いたアートが多数ありました

ドアノブにあるスキャナーにQRコードをかざし、開錠します。青いランプが点灯すれば開錠です
以下、スーペリアシングルの部屋です。
内装は高級感があって、調度品も充実。そして個室内には、トイレとシャワーもあります。もちろん、それなりに値は張りますが。
コンセントは合計6箇所あり、そのうち1つはドライヤー用でした。枕元にはUSBポートがあり、絶妙な位置にあります。これはいいですね。

いかにもスマートフォンや眼鏡の置き場に使って下さいと言わんばかりの棚まであって、気が利いています

ベッドの下には手荷物を収納できる空間もあります。わかってるなあ…これがあると手荷物をきれいに片付けられるので有難いです

冷蔵庫もありました。忘れ物対策か、窓付き。デザインも洒落ているかも
窓は無いものの、その辺のビジネスホテル以上に設備は充実。ほぼ言うこと無しの個室!と結論付けます。
出航まで時間があるので、車両デッキの探検です。出航すれば、車両デッキには立ち入れませんからね。

出航までまだ時間があったせいか、車両はまばらでした

大型車のデッキには、トラック向けの給電装置があちこちにありました。主に冷凍車向けに電気を供給するために設置されています。航行中はエンジンを回せないためです
出港時刻が近付いたので、展望デッキに上がりました。出港は展望デッキで過ごすのがお約束です。

四角いファンネルの背後には、高層ビルが見えました
定刻を少し過ぎた頃に船体が横に動き出しました。

あちこちにいる社員の皆さんから、ペンライトを振ってのお見送りを頂きました…恐縮であります
岸壁を横に動いて離れた直後に直進が始まりましたが、加速力がありますねえ。
船が出港すれば、船内の探検です。

吹き抜けのアトリウムです。ただの階段ではもったいないデザインで、中央の手摺りさえ何とかすれば何かのショーに使えそう

フロアのあちこちにこんな椅子が置かれていました。ただもたれかかる事は殆ど出来ない背もたれで、もう少し高さが欲しい印象です

珍しい設備がありました。牢…いえスイートクラス専用のラウンジです。ただでさえ広くて豪華な上級船室なのに、専用ラウンジまで用意するとは!
この他、キッズルームやドッグランなどがありました。自動販売機は市中価格とはそれ程乖離してはおらず、ボッタクリの印象はありません。
そろそろ空く頃と思い、20時20分頃にレストランに行きました…が、期待は外れてまだ行列がありました。

レストランで、奥が広かったです
まず驚いたのは、食券の発券機がクレジットカードに対応している事で、私の知る限り初めて。

クレジットカードに対応した発券機です
これは有難いです。キャッシュレス化著しい世の中ですが、フェリーの中はいつまで経っても現金しか使えず「クレジットカードに対応してくれればいいのに」と常々思っていました。こんな面でも画期的なサービスですね。
レストランは2つのレーンを用意したビュフェ形式で、定価は2000円。高いなあ、というのが正直な感想でしたが、さっき貰った補助券で実質1000円。これならいいかと思って列に並んだら、びっくり。
食材が豊富なだけでなく、大分県の郷土料理や材料を使った料理がたっぷりあり、あまりに豊富で選びきれない程。なかでも「りゅうきゅう」は絶品で、あとでたっぷりお代わりする羽目に。

これがまた美味いの何の

オプションのビールを組み合わせていただきます…この極楽気分といったら…もう…(悶絶) ついつい、はち切れそうな位に食べてしまいました(笑)
ここまで料理が充実したフェリーのレストランは初めてかも? ただ「就航記念料理」と書かれていた料理が多かったので、もしかしたら期間限定なのかもしれませんが。こんなレストランであれば、定価を払ったとしてもちっとも惜しくない。喜んでお支払いしますよ。
浴場には、終了30分前に行きました。

乗船直後に撮影したため「すいています」の表示がありました
入口の表示には常に混雑の案内があったのですが、意を決して突入…やはり混雑していて、洗い場は列ができていた程です。団体が乗船していた事もありますが、ここはもう少し広い方がいいかも。
翌日。5時頃に目が覚めました。船特有のスローテンポな揺れは殆ど無く、メインエンジンからと思われる細かい振動が少々伝わる程度で、気にはなりません。これが最新鋭のフェリーの実力でしょうか。
さて、朝食。レストラン前で待っていると、5時40分頃から人が並び始めたので、食券を発券機で購入してその列に並びました。ほぼ同時に、船内の照明が明るくなりました。この朝食もビュフェ形式で、大分県産の米を使うなど、質も高いです。他にも調味料はフンドーキン製を使うなど、大分一色。さすがですねえ。

唯一撮影した朝食の写真。さんふらわあのロゴ入りとは泣かせるじゃないの
またしても絶品がありました。それは味噌汁で、なんと具に白菜を使っている(付け加えれば、味噌もフンドーキン製でした)! もろ好み。そして昨晩食べ損なったカレーをご飯に盛れば、具の大きさが異常レベル。ケチ臭さゼロの内容に感激です。昨晩に続き、またしても食べ過ぎる羽目に(大笑)
この金額でこの朝食は、コストパフォーマンスは異常レベル。私の知る限り、最近のフェリーの食事はどんどんレベルアップしていますが、私が知る限りここが一番。ビジネスホテルの関係者にも、このフェリーを視察してほしいくらいです。
食後は、展望デッキに向かいました。

これを撮影したのは7時過ぎ。西日本だけあって、日の出は遅いです

右側に、宇和島運輸フェリーの「れいめい丸」がいました。こちらも就航から1年経過していない新造船です

巨大なファンネル。排気ガスの臭いは多少するものの、ディーゼル船で見られる黒煙はありませんでした。これもLNGにした効果でしょうか
デッキで景色を眺めていると、早くも陸地が近づいてきました。そろそろ下船口に並んだ方がいいかな?と思い、急いで部屋に戻って荷物をまとめ、下船口に向かいました。7時20分頃、下船口に人が並び始めたので、私も列に並びました。外を見ると、早くも防波堤が見えています。程なく小さな衝撃と共に接岸しました…が、他の乗り物と違ってすぐ下船できるわけではありません。結局、7時45分頃に下船が始まりました。

ずらりと並ぶLNGのタンクローリー。奥のユニック付きの車両を介して燃料の補給(専門用語は知りません)をするようです。これなら補給の施設を設置した方が手間がかからないのでは?とも思いましたが、この方が設備投資を抑えられるのかもしれませんね
画期的なのはLNGだけではありませんでした。キャッシュレスの実現やQRコードの鍵等も画期的でした。加えて、高級感のある内装やレストランの充実したメニューにやられっぱなし。支払う金額はけして安くはありませんが、払った金額以上の満足を得られましたよ。
最後はこれで締めます。
ありがとうさんふらわあ。ありがとう大分県。