
一昨日のブログに書いた、ルノー・メガーヌⅡとシトロエンCXの乗り味直接対決。
※写真の2台は乗り比べの当該の車両ですが、大きさのバランス合わせはされていません。
ブログアップのあと、夜中までかかってすごく長い文章を書いたんですが、何となくしっくりせず。
昨日一日寝かせたんですが、どうにも…
この文章は失敗作だと思いますが、捨てるのももったいないのでアップします。
羊頭狗肉というか、乗り比べの話はちょっとしか出てきません。
※最初に注釈。
ハイドロニューマチック、ハイドラクティブ、ハイドラクティブⅢに関わる話が交錯しますが、便宜上すべて『ハイドロ』の一言で統一しています。
個別に必要な時だけハイドラクティブとか書いてます。
つい最近、
みん友のカモネギさんがCXのハイドロの乗り味について非常に丁寧なインプレッションを書かれていました。
引用ここから
『日本の自動車雑誌でしばしば“ハイドロらしいソフトな乗り心地”と書かれますが、私はこれは"大嘘“だと思っています。』
『ハイドロ車はソフトというよりフラット感が優先されたサスペンションチューニング』
引用ここまで
基本的には私もこの認識です。
カモネギさんは高速走行で大きなうねりを超えた時の振る舞いについて詳細な解説をされていて、
この「うねり」での振る舞いが「船のよう」と表現されることと、
『ハイドロの真髄はフラット感にあり、決してソフトな乗り味ではない』と看破しています。
この動画の9分59秒から10分52秒までの凹凸路テストを見れば、百聞は一見にしかずとはまさにこのことだと思うでしょう。
4台のテスト車の中で一番ソフトなのはアウディでしょうね。
でも、絶対に欲しくないですけど(爆)
ところがこのフラット感は高速走行だけではなく、低速時にもう一つの評価軸が存在すると私は考えるわけです。
日本の舗装道路は全体的にコンディションが悪いためトトン!という衝撃は常にやってきます。
自分で運転していると気にも留めないことがほとんどだと思いますが
たまたま頭痛だったり、車酔いしていたり、何らかの体調不良でクルマに乗っていると日本の舗装の悪さを思い知ることになるわけです。
そう思わない人は、コロタイヤの付いたスーツケースで近所の道を転がしてみれば、いかに日本の舗装がでこぼこか分かるはず。
さすがにそれは評価基準が厳しすぎる、と思うならば自転車で走ってもいい。
新設の舗装工事が終わったばかりの道路でもなければ、ガタガタでしょう。
そこでフランス車の出番になってくるわけです。
嘘かまことか、日本の評論家の誰かが言ったことがそのまま定説になったのか、かつてこんな文章をよく読んだものです。
曰く
『フランスでは石畳で舗装された道が多い』
曰く
『セーヌ河畔の道路など、街路樹の根が道路の舗装の下に伸びて舗装に凹凸ができる』
『これらの道を安楽に走るために発達してきたのがフランス車のサスペンションなのだ』、と。
これが本当だとしたら、ほじくり返しまくりで微妙な段差の多い日本の舗装道路でも気持ち良く走れるはず。
ところが一方で
『ハイドロは一般道路での走行で小さな突き上げに弱い』
ということがよく言われます。
『ハイドロを以ってしても、一瞬の強い入力だとふんわりといなすことは出来ず衝撃を感じる』
というわけです。
いや、それって石畳の話と微妙に矛盾してるし(笑)
石畳の話は、GS以前のシトロエンや504以前のプジョー時代にはソファのようなふかふかのシートで衝撃を無かったものにしてしまうというやり方を取っていたのではないでしょうか。
確かにハイドロは小さな突き上げを拾います。
ところが、上に書いたような頭痛の人が乗っていたとすると、頭に感じるであろうズシンという衝撃はバネサスより明らかに弱いと思います。
(ハイドロをソフトと評する原因は、DSの伝説を引きずっているだけでなく、これもあるかもしれません)
私がC5を所有していた頃、買い物に行くような時に近所の道路を走れば自動的にC5とBMWX1の乗り比べになるわけです。
速度はせいぜい30キロとか40キロ。
ほじくり返した工事跡や、(大きな下水のマンホールではなく)何かのバルブとかが埋め込まれた小さく凹んだ鉄蓋などをタイヤが踏んでしまうとき、明らかにC5のほうが穏やかに超えて行きます。
うねりのようにいなすという感じで通過することはもちろんできず、トトンというショックは感じるわけですが、BMWがドドン!であればC5はトトン!なんです。
科学的とか理論的な説明は出来ないのですが、やはり上の動画にあるようにボディの上下動を伴わない衝撃の受け止め方と、うねりの場合にはふんわりした後にピタッと止めようとするハイドロの揺れを止めようとする働きがこの乗り味を生むのでしょう。
で、やっと乗り比べの話。
メガーヌはたぶん多くのドイツ車よりは柔らかいです。
近年ドイツ車とフランス車の差は減っていますが、20世紀後半のドイツ車と比べれば明らかです。
でも、メガーヌとCXを乗り比べた感想は、いかに笹目二郎氏が絶賛しようともメガーヌⅡの乗り味はハイドロに劣るというのが結論です。
中高速でのうねりのような道でも低速走行でも勝負になりません。
頭痛の人が乗っていれば、ハイドロよりメガーヌの方が頭が痛くなるのではないでしょうか。
トトン!とドドン!の中間的なふるまいをするのがバネのフランス車です。
自分の経験からの勝手な推測で言うと、XMやエグザンティアの初期ハイドラクティブは電子制御が可能になって高速走行での安定性に振りすぎたようです。
全くロールすることを許さないアクティバなんて仕様を作ったように、
『縦も横も自在に制御できることが嬉しくて思わず味付けが行き過ぎてしまいました』
となって、普通のハイドラクティブも低速時にはバネサスのフランス車の乗り味に近付けてしまったのではないかと思います。
それが、ハイドラクティブⅢになって制御を先祖返りさせる方向に修正したのではないかと。
C6や2代目C5で低速時に感じる気持ち良さは、XMやエグザンティア(のハイドラクティブ)とは全く違うものですから。
※旧来の普通のハイドロを積んだエグザンティアはBXと同じような挙動をします。
もはや何を書いているのか分からなくなってきましたが、
やっぱりハイドロは唯一無二の存在で、比較しちゃうとどうしてもハイドロの評価が高くなってしまうのは仕方がないことだと思います。
『世の中には2種類の自動車しかない。
シトロエンとシトロエン以外だ。』
と言ったのは誰でしたでしょうか。
○○と○○以外だ と言われるクルマはシトロエンとポルシェ、フェラーリくらいしか無くて、
シトロエンと比較されがちなプジョーもルノーもそういう物言いはされません。
そういう意味でも、科学的根拠は薄弱ですがハイドロの乗り味はバネでは出せない部分はあるのだと思います。
なお、フランス車の足回りについて『プジョーの猫足』という表現を良く聞きますが、私はプジョーのことはよく知らないので書けません。
例のレンタカーの中でプジョーに乗ってみるなら何が良いでしょうかね?
*06世代や*07世代のプジョーに乗っても、猫足の真髄には触れられないような気もするんです。