今日は3月11日でした。
日本中の人が、そして海外の一部の人も、色々と思うところはあると思います。
私の父は宮城県出身で、仙台市、多賀城市、石巻市(旧鮎川町)などに多くの親戚がいます。
幸いにも命を落とした人はいませんでしたが、何人かの親戚とは震災後数日にわたって連絡が取れず、かなりやきもきしました。
そんなことはありましたが、それはそれ、これはこれとして、みんながそれぞれに生きています。
というわけで、私は今日はサラリーマンとしては代休を頂き、運転免許証の更新に行き、BMWとシトロエンのディーラーに行ってきました。
よりによって今日?、よりによってディーラー巡り?と言わないでください。
私にとっては貴重な代休なんです。
かなり濃密な1日を過ごしました。
3.11ではありますが、いつものように試乗報告です。
1日の時間軸での順番としては一番最後だったのですが、シトロエンから書きます。
試乗したのは
3気筒1.2リッター 6AT 新色のグリスピリット のC4です。
去年の9月にディーラーに到着したのをリポートして以来、試乗の機会を逃してきました。
半年たって、やっと乗れました。
C4セダクション。
日本仕様では2種類あるC4のうち、下位グレードです。
このお店では、敢えて下位グレードを選択、もっと言うと
「セダクションでなくてはならない」という強い意志を持って導入した試乗車です。
この意味するところは、こちらをご覧ください。
まずは見た目。
これは旧来と変わっていませんが、フロントオーバーハングが長くリアオーバーハングが短い、シトロエンデザインの「文法」をしっかりと守っています。
目が少し変わったので
2代目C4の初期を知っている人は、「ちょっと違うね」と思うかも…ですが、ほとんど同じです。

インテリアデザインにも大きな変更はありません。
乗り込みます。
時々話題に出るドアのインナーハンドルは、グリップ式ではありません。
このC4、セダクションのせいかもしれませんが、シートがとてもイイです。
サイドサポートを持つのでスポーツシートかと思いきや、見た目よりかなり柔らかく、座った瞬間に「俺はフランス車に乗っているぞ」と思えます。
(DSやCX、初期BXを知っている人はそれを思い出さないでください。ZXの下位グレード・日本名ZXクラブくらいの感じです)
走り出します。
何を感じたでしょうか?
これこれこれこれ、これでんがな!
C5を降りて1年以上…
CXを降りて半年以上…
体の中のシトロエンが乾燥していた私には、理性的なインプレは書けません。
いや、頑張って書きます。
私が知っているC4の中では、一番軽快です。

3気筒エンジンのせいでしょう、明らかに頭が軽く、

下位グレードを選んだ大きな理由は、16インチタイヤですが、これも軽快感に寄与しているはず。
この組み合わせは強力です。
加速性能も普通に乗っている限り全く不満はありませんし、ブレーキも一時のシトロエンほどカックンではありません。
片側2車線道路をちょっと飛ばし目で走るときの、路面の荒れのいなし方は
バネのBXと称された(←私が勝手に称しただけ・笑)1.6のZXクラブの正統後継者と呼んでもいい乗り味です。
ただ、軽快さは同時に“重厚感の薄さ”に通じます。
重厚感という意味では、1.6リッター4ATの2代目C3のほうが、このC4より重厚な乗り味です。
適当な言い方かどうかわかりませんが、「NCAPが5つ星でも、その成績とは関係なくぶつかったらやばそうな、感覚的な軽さ」とでもいうのでしょうか。
マイチェン前の1.6のC3の方がぶつかっても丈夫そうに感じます。
私はこの“重厚感より軽快感”という新C4の方向性は全然だめだとは思いませんが、少なくともドイツ車からの乗り換えは躊躇させると思います。

6ATはなぜかC5よりも滑らかに感じます。
実は、DS4が日本導入2年目に6ATを入れた時、すぐに試乗したのですが、その時に感じた滑らかさです。
基本的にC5の6ATと同じだと思うのですが、なぜDS4やこのC4の方がスムーズに感じるのか?
正直なところ、全く分かりません。
でも、気のせいとも思えないんですよねぇ。
ハイドロが無い今、新車でシトロエンを買うならベストバイだと思いました。
(C3は1.2+5EGTにマイチェンした現行モデルになってベストバイから落ちました)
ただし…
ダメ出しというか、イマイチな部分もあります。
愛するシトロエンのためですから、ダメだと思ったところも正直に書きます。
この3気筒エンジン。
残念ですが、3気筒の音がします。
これは、どのメーカーでも避けられない宿命なので、メーカーが3気筒を選択した瞬間に、メーカーはネガを批判されることを覚悟しなければいけないし、ユーザーは3気筒のフィールから逃げられないことを知るべきです。
プロの評論家、素人のブログを問わず、このクルマの試乗記に、「3気筒のネガは感じられない」「音質的にも問題ない」といったニュアンスの文章を時々見かけます。
全くの大ウソです!
強く踏み込んだ時に、
んがぁぁぁぁぁぁと3気筒の音がするのは覚悟していましたが、
特段踏み込むことも無く、街乗りでクリーピングから滑らかに発進するときにも明らかに3気筒のフィーリングです。
なんというか、“ガサツな感じ”がします。
3気筒と知って乗っているからのプラシーボではなく、何も知らずに初めて乗っても、感じる人は“ガサツ”に気付いてしまうと思います。
人によっては、この「クリーピングから滑らかに発進した時にも3気筒のフィーリングがある」というのを感じ取ることができずに、「問題ない」と言ってしまうのかもしれません。
ぶっちゃけ、ウチの妻なら、もしミッションが同じなら、この局面では4気筒と3気筒の違いを感じないかもしれません。
(踏み込んだ時にはウチの妻にも絶対に分かる3気筒の“うなり”が出ます)
確かにある程度の速度域に乗ってしまうとほとんど気になりません。
高速道路を走っていたりしたら、気にせず乗っていられると思います。
でも、速度の微調整のためにアクセルを少し開けると、すぐに3気筒のフィーリングが顔を出すのは覚悟しておいた方がいいです。
唯一3気筒を感じさせないのは、60キロ以上とかある程度のスピードが出て、アクセル開度をゼロにして空走している時だけです。
これさえクリアすれば…
と思いますが、BMWですら3気筒エンジンのクルマは3気筒のフィーリングを消しきれていませんから、少なくとも現行C4のうちにこれをクリアすることは無いでしょう。
過去に、スバルのE07系エンジンの4気筒軽に乗っていた経験や、スズキイグニスに試乗した経験からも、小さくても4気筒エンジンは、言われなくても分かるほど明らかに滑らかさが違います。
エンジンオイルを交換してもエンジンフィーリングの違いを感じない人がいます。
同じように、4気筒でも3気筒でも違いを感じない人の方が、このC4に乗るなら“幸せ”なのだと思います。
とネガなことを書いてもなお、デザインや使い勝手も総合的に考えて、現行シトロエンのベストバイかな?という評価は変わりません。
(C4ピカソはミニバンを求めている人にはイイ車なのですが、ミニバンという要素を除外すると、私はこちらをベストバイに推したいです)
いやぁ、やっぱりシトロエンについて書くと際限がないです。
I shall return to CITROEN ! の思いを強くした試乗でした。