何度か書いていることの続きみたいになりますが、
どうも中日新聞の脱原発傾向がすごいことになっています。
私は自宅が中日新聞なのですが、会社でも各紙目を通すようにしています。
とはいえ、有閑管理職とは違いますから一日中新聞を読んでいるわけにもいかず、中日を読む頻度を10とすれば、朝日7、日経・読売5、毎日4、産経1以下(名古屋圏では産経は入手は可能なものの普通に流通してない)といった感じです。
その範囲内での判断ですが、中日新聞は原発に対してどの大手全国紙よりも立ち位置が鮮明です。
引用しようと思っていて時間がたってしまいましたが、5月14日の編集局長のコラムです。
そんなに長くないので、ぜひ全文読んでみてください。
原子力たそがれ
2011年5月14日
「むかし豪傑といふものがゐた/彼は書物を読み/嘘(うそ)をつかず/みなりを気にせず/技をみがくために飯を食はなかった/うしろ指をさされると腹を切った」(中野重治「豪傑」)
中部電力浜岡原子力発電所の4号機が停止した。菅直人首相は自らの要請が通って、豪傑気取りかもしれない。
それにしても、東京電力福島第一原発の何ともろかったことか。安全対策でこれほど隙間だらけとは思ってもいなかった。
ヒロシマ、ナガサキの悲惨な原爆体験を有する日本は、もっともっと原子力に神経質になっていてよかったのに。
技術立国というならより安全面に工夫を凝らしたかった。しかしながら、近ごろの地球温暖化対策は格好の原子力発電促進効果となった。
二酸化炭素(CO2)対策で「原子力ルネサンス」という風潮さえ生まれた。
だが、むしろ風力や太陽光など再生可能エネルギーの方が地球温暖化対策にふさわしいのではないか。
論語にこんな言葉がある。「うまれついてわかっているのが最上である。学ぶことによって理解することは、その次だ。行きづまって理解するものはその次であり、行きづまっても学ばないのは最低だ」(齋藤孝訳現代語訳「論語」)
あえていうと、東海地方の住民にとって浜岡よりも十数基の原発が立ち並ぶ福井の若狭湾沿岸の方が怖い。こうした近くの原発を怖がる心境はそれぞれの原発に近いところに住む人々に共通だろう。
菅首相は浜岡以外の原発について「見直す考えはない」と明言した。
これだけ行きづまり、各国から後ろ指をさされているのに、何もしないのは最低だし、とても豪傑とは呼べないし、呼んでもいけない。今日の原子力たそがれ時代に。
(名古屋本社編集局長・志村 清一)
世の中には、この時期でさえなお
『対案を示さない脱原発は無責任』、『再生可能エネルギーは不安定で実用化の段階ではない』などという論を張る困ったちゃんがいる一方で、編集局長という新聞紙面の内容に全責任を負う立場の人がここまで言い切る大手新聞は中日以外にはありません。(日本中の各県にある地方紙までは目が行き届きませんで、すみません)
電力不足を心配する政府と電力会社を紙面で
『国民を欺くような”情報操作”』と一刀両断にし、
『浜岡原発だけでなく、全ての原発を停止したとしても、電力不足は生じない。』という論を堂々と載せる。(ちょっと下のリンク)
そして
『地球温暖化対策には、さっさと再生可能エネルギーに行こうよ』と編集局長が主張する。
(まだ引用紹介していませんが、中日新聞は他にも
2020年 30%CO2削減 原発ゼロでも達成可
という記事を載せてもいます)
また、ベテラン新聞人の文章だけあって、中学高校での国語の授業に使えそうな言葉遣いが見て取れます。
以前引用した中日新聞の文章に『またぞろ』というのがありましたが、これは大学入試レベルでした。
今回は高校入試レベルのいい文章がありました。
二酸化炭素(CO2)対策で「原子力ルネサンス」という風潮さえ生まれた。
突然ですが、問題です!
問
筆者が「さえ」という言葉を使った気持ちを、25文字以内で述べよ。
回答例
『原子力ルネサンスだと?バカなこと言ってんじゃねぇよ』(25文字)
『さえ』というたった2文字に強い意思が込められています。
週刊誌などでは脱原発を感じさせるものも多いのですが、大手新聞でここまでというのは個人的に尊敬の念すら抱いてしまいます。
そして、今日の記事
【浜岡原発停止】
「400トン、桁違いの量」 専門家が安全管理に疑問の声
中部電力浜岡原発5号機(静岡県御前崎市)で「冷温停止」に向けた作業中、原子炉の冷却水に海水が混じったとみられるトラブルでは、専門家から中電の安全管理能力を問う声も上がっている。
山本章夫・名古屋大教授(原子力工学)は「すでに冷温停止になっているのならただちに問題はないが、長期的には、燃料被覆管に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘する。このため舘野淳・元中央大教授(核燃料化学)は中電が目指す2、3年後の再開に向け「弁や配管などの状態をしっかり確認する必要がある」と強調する。
原発に詳しい評論家の桜井淳氏は「海水混入自体は想定内だが、400トンもの海水が漏れた例は聞いたことがなく、桁違いの量。配管が破断したのではないか」と推測する。定期検査を終えたばかりだった5号機でのトラブルに「あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。原発を見る世論が厳しい中、このタイミングで起きたというのも、中電にとっては最悪だ」と話した。
あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。
あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。
あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。
あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。
あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。
あまりにお粗末な技術管理。あぜんとしてしまった。
この文章は、記者が聞き取り取材の結果を記事にした文章です。
ぶっちゃけ聞き取り取材の書き起こしは、単語のニュアンスを恣意的に白にも黒にも右にも左にもすることができるんです。
そういう意味で、取材先の桜井氏が厳密にどう言ったのかは知る由もありませんが、
少なくとも、
『あえて穏便な表現に抑えておこう』というベクトルの力が働かなかったことは確かです。
こういうメディアを持つ名古屋という街を、誇りに思います。
♪ずっとウソだったんだぜ~
やっぱばれてしまったな~
ほんとウソだったんだぜ~
原子力は安全です~
Posted at 2011/05/16 14:26:31 | |
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