今年は瀬戸内海の長距離フェリーに新造船が続々就航しているのですが、
阪九フェリーに続いて今度は
名門大洋フェリーに新造船「フェリーおおさかⅡ」が就航しました。
今年初めに阪九の新造船「いずみ」に乗船(
こちらに乗船記があります)しましたが、それに続いて今度は名門大洋の新造船就航とあっては、もう乗るしかないでしょう!というわけで、さっそく乗船して来ました。その模様を報告いたします。
電車を乗り継いで、フェリーが発着する大阪南港に到着したのが18時過ぎでした。

南港フェリーターミナルと、トレーラーシャーシがずらりと並ぶ光景です。周囲には、サブエンジン式冷凍機の甲高いエンジン音が響いていました
ここから九州や四国、そして沖縄への長距離航路が多数ありますが、そのうちの一角に今度の新造船がいました。
この船は9月16日から就航開始したばかりの最新鋭で、建造したのはやはりというか…定番の三菱重工業下関造船所でした。従来船と比較して、総トンでは1,5倍の約15,000総トンで、随分と大きくなりました。大きいだけでなく、最新技術を駆使した大幅な省エネを実現するなど、見た目ではわからない部分でも大幅に進化しているようです。
私が予約したのは南港発19時50分の2便で、到着間もない18時30分に乗船が始まる…筈でした。それがどういうわけか、出港準備が間に合わないため乗船が遅れるらしく、19時頃を目途に乗船を開始する旨のアナウンスが流れました。まあ少しの遅れであればやむを得ないか、と待っていたもののなかなか乗船が始まりません。乗船しているのは港湾事業者が牽引するトレーラーシャーシだけで、乗船口手前で延々と待たされました。

待合スペースと乗船口共に、多数の乗客が乗船を待っていました。それにしても乗客の平均年齢、妙に高くないかな…(汗)

徒歩乗船客以外にも、バイクや乗用車も乗船できず多数の車が待機していました
20時前に清掃用具を手にした船内作業員の皆さんが下船し始め、結局乗船が始まったのは20時頃、約90分遅れで乗船が始まりました。そしてほぼ同時に、乗用車の乗船も始りました。これでは一体、何時に出港できるやら? う~ん、出港前から先が思いやられます…
※後で分かったのですが、前日に新門司を出航したこの船の中で事件が発生し、今治に朝まで停泊→約6時間遅れで南港到着した影響で、遅くなっていたようです
やっと乗船が始まった…待ちくたびれた様子の皆さん、ぞろぞろと船に向かいます。尚、この通路は今回の新造船に合わせて新設されたばかりの乗船口です
ところで、乗船について。今までは予約段階で個人情報を打ち込んだのに、乗船当日にターミナルで乗船申込書を手書きで記入する二度手間を経て受付の長い列に並ぶ…今まではこれが当たり前と思っていたのですが、今回はそれらはパス。予め用意した二次元コード付きの予約確認書を提示し、係の方が持つハンディ・ターミナルにコードをスキャンさせてから乗船しました。最近の航空機の搭乗を参考にしたらしい簡潔な乗船手続き、いいですね。気に入りました!

これが予約確認書です(画像は一部加工済み)
船内に入ると…すぐに受付カウンターがあり、予約確認書を提示して個室の鍵を受け取り、部屋に向かいました。

ルームキーです。管理する手間がかかりそうなので、使い捨て(=持ち帰り可能)なカードキーでも良かったかも
今回予約したのはやはり一人部屋で、「ファーストS(シングル)」の部屋でした。

ファーストSの個室が並ぶ通路です

予約した、ファーストSの内部です。窓やバス・トイレの無いビジネスホテルのシングルルーム、という感じですね

デスクの周囲です

入口側には、洗面台もあります。シンクにはもう少し奥行きが欲しかったですけど…

壁には、空調他の各種スイッチとコンセントが集約されていました
この部屋は従来船の「一等洋室」と同等の個室です。正規運賃は\13,270-(時期によって多少の変動有り)ですが、早めに予約・決済した結果、最大級の割引(船得49で40%割引)適用で\7,970-…ぎゃはははは~っ!! 新造船のお試しキャンペーン割引よりも安いうえ、似たような区間の夜行路線バス(大手バス会社の3列座席の便)よりも安いときたもんだ。これは嬉しい!
阪九の同じタイプの部屋より若干狭い印象ですが、不便なほど狭くはありません。スーツケース一つさえ床に満足に置けないアpaホテルのシングル部屋なんかよりもよほど優秀!? 空調はもちろん個別で調整でき、この部屋では大げさな気がするほどのエアコンユニットが備えられています。電源コンセントはデスクと洗面各1ヶ所の合計2か所あり、申し分ありません。他にも浴衣やタオル、歯ブラシセット…払った金額からすれば申し訳ないほどの装備で大満足。これで文句があるならバチが当たるぞ…と思いましたが、敢えて苦言を呈します。料金を考慮すればコストパフォーマンスは阪九の同タイプ同様、非常に高いですが、荷物を納める収納スペースが一切無い…これが残念なところです。忘れ物対策と思われますが、デスクには引き出しも無し。唯一の収納スペースがベッドの下にありますが、ここは救命胴衣に占領されていました。残念! できれば個人的には、荷物を整理できる収納スペースが欲しい…これさえあれば言う事なしの個室だと思います。
荷物をある程度片づけたところで、さっそく食事に行きました。

この船のレストランはバイキング形式で、朝・夕食のセットで食券を買えば2,100円で食事ができる(アルコールは別料金)のが魅力的です。でも出港前で利用者が集中している時間帯だと大変…レジの前には大行列ができていました。
おかず等を確保しようととすれば、殺気立っていて後ろから押されるような感じで、ゆっくりおかずを選ぶ余裕は殆ど無い(苦笑)

食後に撮影した、比較的混雑が緩和された状態です
それでも何とか、↓を確保しました。

わけもわからず取っていました(笑) 尚、トレーの向こうにあるのは席を空けている間に場所を抑えておくための席札です
おかずの品数そのものは豊富ですし、品切れになりそうであればすぐに補充されていました。他にも独立してスイーツやサラダ、各種ドリンクサーバー、そしてチョコレートファウンテン(!)まで設置されていて、申し分ありません。席も以前の船よりも多いのか混雑時間帯にもかかわらず余裕があり、悠々と座席を確保できました。混んでいることを除けば、実に好印象な食事でしたよ! 阪九はカフェテリア方式で高くなりがちですが、こちらは金額が跳ね上がるのをを気にせず?食事を楽しめる良さがあると思います。
食事中の20時30分に、船が動き出してやっと出港しました。実際には約40分遅れだったので、思ったよりも早く出港できましたね。20時の時点で、大量にいた乗用車の乗船が始まったばかりだったから一体何時間遅れるやら…と思っていたのですが、やれやれです。窓の向こうには埠頭の夜景や標識各種の点滅があって、とてもきれいな光景でした。
食後は、主に船内を観察してみました。

シンプルで清楚な雰囲気のエントランスです。お約束の吹き抜け構造でした

展望ラウンジです。海底をイメージしたのでしょうか? なかなか優雅な雰囲気でした

こちらは、カウンター付きの展望ラウンジです。何となく、かつて新幹線にあったビュフェみたい!?

テレビを観賞できる、テレビラウンジもありました

もちろんエレベーターもありますが、比較的フツ~のデザインでした。これは「
守屋輸送機工業」という企業の製品でしたが、通常の建物にあるやつと遜色ない滑らかな動きでした

こちらは展望風呂…ですが、常に混雑していて利用できず…止む無くシャワーで我慢しました(涙)

船尾のデッキに出てみました。照明各種は、やはりLEDのやつばかりです

ツーリスト(二等寝台に近い半個室)の部屋が並ぶ通路です。本日は某宗教団体御一行様が多かったです

実はこの船にもWi-Fiが搭載されています。阪九と同じフルノシステムズ製のルーターが、船内のあちこちにありました
それから自分の部屋に戻り、この船のネット環境をチェックしてみました。タブレットを起動させると…

はい、この通り電波があります
では実力は? 試してみると、やはり遅いです(苦笑)

この画面を出すだけで、1分以上かかった…場所は淡路島と小豆島の中間地点くらいです
メールの送受信を試すと、数秒に1通程度なら可能。つまり「ダイヤルアップ接続」並みに遅いらしい(笑) 陸地(または島)に近付くと速度が速まる傾向があるので、そのタイミングでみんカラに接続できました。ただヤフーのトップ画面は意外と重いので、ほぼ不可能ですが。この状況を改善したければ、航空機みたいに人工衛星を介した通信にしなければならないでしょう。でもそんな事をしてもひと桁Mbps程度の通信速度でしょうし、何より有料サービスでなければ不可能でしょう。だから個人的には「無料サービスであればこれでもいいかな」と思います。やはり、環境は阪九とほぼ同じでした。
ネット環境をチェックしているうちに日付が変わり、眠くなってきたので眠ることにしました。ベッドは必要十分な広さがあり、ベッドの掛布団はこちらも羽毛になりました。う~んまさにサービス合戦ですね…
続編につづく