ヤモリを巡る攻防

休日に玄関のベルが鳴ったので出てみると、そこには同じマンションに住んでいるおばあさんが立っていました。

『今年はヤモリを何回か見かけたのだけど、ヤモリは苦手なので、マンションの管理組合に駆除してもらうよう働きかけてくれないかしら』、という相談でした。


おばあさんは相談する相手を間違えたようです。


私は極度のヤモリフリークなのです。


ヤモリは人によっては見た目アレですが、蚊や蠅やゴキブリの子供など害虫を食べてくれます。
もしヤモリを駆除したら、翌年は天敵の居なくなった害虫たちが繁殖するリスクが増大します。

海外では『ヤモリは家の守り神だ』と聞きましたが、そういえば日本でも漢字で書くと『家守』です。

昔 海外の山奥に住んでいた時期に、部屋に住みついていた数匹のヤモリたちが、手当たり次第に部屋の中を飛んでいる蚊を食べてくれたので、私がマラリアに掛からなかったとも考えています。

しかし 私に恩人を駆除する相談を持ちかけるなんて、おばあさんもとんだミスを犯したものです。

これではまるで、昔 ある宗教をバカにして同意を求めた友人がその信者だった時に似ています。


ただしおばあさんと敵対してはいけません、ヤモリがいかに人間にとって有益であるかを納得してもらえるよう、ひたすら柔和に、しかし時には激しく、説明させて頂きました。

そしてちょうどパソコンの電源を入れていたので、部屋に戻ってこの画面を印刷してお渡ししました。



何とか考え直してくれるといいのですが。