僕のGT-Rのブレーキ問題も今じゃ昔の話なのである。
随分と気持ちよく止まってくれるようになりホっと胸を撫で下ろしていた今日この頃であったが、今夏、この馬鹿暑い中でまた新たな山場を迎えることになってしまった。僕のGT-Rが問題を抱えている間、僕や僕の仲間がブレーキについて散々議論を繰り返していたのをひっそりと盗み聞き、改めてブレーキの重要性を認識したオートマ免許のサンデーレーサーがいたのだ。
そのレーサー曰く、「タイムが出ないのは4ポットじゃないから」..."相田みつを"もたじろぐ名言である。
....という事で(クソメソ面倒臭くも)奥様MINIのブレーキシステムの見直しを行うことになった。
MINIのアフターパーツというのはこれがまたビッグマーケットでブレーキひとつ取っても選択肢は限りない。現在はディクセルローターにディクセルのパッド、グッドリッジのステンメッシュを組み合わせているが、実際のところバランスは結構悪い。これはディクセル云々の責ではなく純正のシステムに難があり、踏み込めばそれなりには止まるのでプアな見た目程は悪くはないのだが、峠やサーキットではかなり厳しいのは事実である。まずリヤのキャリパー剛性が最悪で驚く程にキャリパーが動く。踏力がバンバン逃げてしまい、エンブレのユルいオートマとの相性は極めて悪くつんのめり感を回避出来ない。このクルマをキレイに止めるにはリヤを見直すのが先決と考えたが....リヤってやっぱり売ってないモンである。フロントは山の様に出てるんだけどなぁ。実はフロントに関しては僕はそんなに違和感を感じておらず、むしろマスター類が追いつかなくなったりしたら女性の踏力では奥まで使いこなせない可能性すらあると考えていた。フロントに関して強いて欲を言えば絶対的な容量をワンサイズ、ないしはツーサイズ上げる程度でコントロール性を向上させるのがベストかなぁ...。
....待てよ?....4ポットにしないといけないんだっけ?.....リヤを?.....フロント片押しのリヤ4ポット?....見たことないぞ....まぁいいや...どうせ、キャリパーの中にピストンがあるなんて事は夢にも思っていないハズだ。それよりリヤだ。アフターでないなら純正である。
R56(新型の現行MINI)を調べてみるとそっくりそのままR53と変わらない...ん?...違うぞ。全然違う。かなり肉厚になっている。移植が可能かどうかを馴染みのディーラーに並ぶクルマで採寸すべくジャッキアップしてバラしてみた。サイドワイヤーの止め具の形状が異なる程度で、ナックルに手をつけずにローターとキャリパーはそのままイケそうである。
営業マンに見積をもらうと意外にも高い。こんなところだけは流石に天下のBMWである。解体屋で中古を探すことにしてディーラーを後にした。
とにもかくにもリヤ周りを検索していると、ふとある事に気付いた。(MINI乗りなら誰でも知っていることなんだろうけど....僕はMINI乗りではない。)R56の純正オプションとされているジョン・クーパー・ワークス(JCW)のブレーキシステムはフロント4ポットでリヤがR56のそれなのである。
コレいいじゃん。
奥様からのオーダーにもマッチするし、純正オプションとあらばマスターとの相性も悪くはないだろう。更に、純正品故に各アフターメーカーからも消耗品(ローターとパッド)がラインナップされていてコストパフォーマンスは極めて高く組み合わせも自由だ。R56のマスターを調べてみるとR53と同等品であり、MINIの専門ショップでR53にJCWのフロントを入れている画像も見付けた。
これに決定!後は現物合わせ...である。
早速手配(たまたまみんカラの方がストックしていて安く売ってくれた!)し、組みつけてみた。このチューニングにおける加工ポイントと留意点を以下にまとめておく。
1) キャリパーはブレンボのOEM。つまりホースエンドは10mmであるからしてR56用のブレーキホースが必要。車両側はR53とピッチ/径は同一。 → グッドリッジのステンメッシュを別途購入して対応。
2) フロントはローターがバックプレートにアタる。→ バックプレートの一部をプライヤーで曲げればいいだけ。
3) サイドブレーキワイヤーの止め具の形状が異なる。 → ベルトサンダーで止め具を削って形状を合わせてハメ込む。固定はタイラップで充分。
4) サイドブレーキワイヤーがナックルにアタる。 → 上記3)の削り方次第で回避可能。
5) 最大の難関:リヤのブレーキホースがナックルに干渉して結合出来ない。 → ナックルを加工している方も多いとのことだが、アームを削るというのは僕にはあり得ない。考えた末、R53のフロントのブレーキホースを使用するという手を思いついた。R53のフロントのブレーキホースはバンジョーになっており、ブレンボ用の10mmバンジョーボルトで止めればいいだけである。僕のようにR53への移植であれば、そのフロントブレーキホースは余っているワケであるからしてコレが最適な方法である。因みにバンジョーボルトは"2りんかん"等のバイクショップで手に入る。
6) マスターシリンダーとキャリパーのオイル容量比の問題かと思われるが、装着後、ブレーキのストロークが深くなる。 → エアが抜け切らないのかと思いシリンダーのほうまでエア抜きを敢行したが変わらず。特に問題はなく慣れれば違和感は特になくなった。
7) サイドブレーキワイヤーがギリギリ。 → 上記4)に記載の通りナックルを強制的に回避させたことも影響していると思うが、サイドブレーキワイヤーが引きづるんじゃないかと思ったくらいギリギリである。
思ったより苦労させられてしまったが、無事に着地する事が出来た。夏休みを利用して栃木県の那須まで旅行という名のテストをしてきたが、イイ!
超グッドォーッ!である。流石、純正オプション!バランスが非常にイイ! R53の純正システムとは雲泥の差で、車両全体が沈み込む様に減速してくれる。これは実に気持ちがいい。JCWとはいえ純正パッドであるにも関わらず、制動力も申し分ない。パッドの特性としては、初期の入力には鈍く踏力応答型。タッチはかなり柔らかく、僕が今GT-Rで使用しているプロμの900iやIDI系よりも柔らかい。コースに持ち込んでいないためフェード性は定かでなく評価を下すには未だちょっと早いかも知れないが、それでもこれは間違いない。
イイ!
追伸:
"きすけ"さん、ありがとう御座いました。
お陰様で楽しいMINIになりました。
『2011. 8. 9 追記』 整備手帳に詳細を記載。
Posted at 2011/08/08 20:04:41 | |
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