仕事に追われて実に8ヶ月ぶりの走行となった。
体と感覚の慣らしを重点に置いてコースイン。視野が狭く感じるし少し肩に緊張があったりしていてブランクの長さを痛感する。
「とにかく視界を広く取ろう。」 強い日差しの中、バイザーを全開にしてバックとサイドミラーを再確認。意識的にコーナーの出口と次コーナーの入り口に目を這わし、まずは教科書通りに。当てられないよう、ましては当てぬよう.....慎重に走る。
コース上には30台位だろうか、混雑を嫌いA券狙いでやってきた。昨晩は楽しみで楽しみで....結局浅い眠りしか得ていない。何度も忘れ物がないかを確認したり....僕は昔っから遠足当日は寝不足な性質である。
ダラダラと連なってアウトラップを周る。2LAP目に入って少しづつペースがあがってきたが僕自身の感覚はなかなか上がってこない。タイヤの状況もなんもかんもイマイチ、ピンとこない。
「どうぞ、抜いてくれ。」 右手を上げて前に振る。派手なGTウィングを付けた白いFD3S、コルベットC6らが前に出て行く。
コカ・コーラの立ち上がりで奥様がバズーカ砲に一脚を構えて僕の雄姿を撮らんとしてるのが見える。「カッコだけつけよー。」手落ちのペースでラインを取りピースサインをカマしたりする。
100Rで左足をブレーキペダルに伸ばす際、強烈に腹筋が嫌がってるのを感じた。ブランクというのは恐ろしい。
抜けてヘアピンに進入。左のパドルを2回手前に引き、ステアリングを切り込んだときキタ!文章で書くと「キン!」って感じ。なんとも稚拙.....腰とクルマとの一体感(笑) 天候がいいため、体も温まってきていてうっすら汗ばんでさえいる。小さく回って目一杯で立ち上がり300Rを気持ちよく抜けると、なんだか、イイ感じになってきた。
「ヒーハー!」 僕はいい感じなると知らないうちに独り言と奇声を発する不治の病持ちである。
DUNLOPの渋滞を交わし次のLAPで一気にタイヤを仕上げることにして周囲に御礼しつつ前に出る。抜くと危険そうなのはストレートでまとめることが出来るのでGT-Rは本当に便利なクルマだ。1コーナーからは多少極端なラインを取りグリグリとフロントのタイヤを押し付ける。フロントのアガリが悪い。2分フラット程度までペースを上げたつもりがシグナルを超えた後にカウンターを見ると1.5秒落ち。ペースメイクの感覚にまだおっきくズレがある。
6LAP目。早朝とはいえ路面も上がってきてタイヤはホクホク、一番美味しい状態。タイムも作れるようになってきた。前方はクリアだ。ブレーキがかなりヤバそうだけど久々のタイムアタックをすることにした。
「今日はトばしたらダメだよ。」 コースイン前に奥様に釘を刺された言葉はそのときパドックに飛んでいった。
「ぜーんかーい !!」 VDCを切り、プリウスを踏んばりきってパナを一番アウトまで膨らませて車速を乗せていく。ストレート中に左足でブレーキの感触を探るとちょいヤバ感あり。かまわずに200m看板過ぎて直ぐに蹴飛ばす。上体が前に少し出る。SABELTのTOP FORMULA-Bは緩み易い気がする。以前使っていたTAKATAはこんなことはなかった。首に力を注入し、左足裏とふくらはぎ、膝で全身を支えて曲げる。「ウゥ.....」と運動不足の僕はどうしても口から出てしまう。グリグリとステアリングをこじり、超残し気味になってしまったけどなんとか曲げれた。少し我慢した後、ワンテンポおいて全開。ここは早めに開け過ぎるとVDCが作動する。OFFしてても同様である。さっきの様子ではコカ・コーラではブレーキに期待が出来ない。短いストレートで少しでも冷やしたいがここは風の抜けが少なく、冷え切らない。恐らく踏めば抜ける。進入を緩くし1速落として100m看板の手前から当てる程度で曲げる。元々、コカ・コーラではアンダーは出にくく速度調整のみで特に問題はない。変に前加重にしてしまえばスピンしやすく、またイン側の壁も近い(FSWにしては)ため、FSWでクルマを壊す最も多いケースが、この壁にスピンして後方から突っ込むパターンだと僕は思う。今迄何度も見てきた。因みに....大昔、旧コースのときで多少のレイアウトと勾配は今とは違うけど僕は1台ここで全損させた。
予想通り、ブレーキはテロテロだった。100Rで冷やしにかかる。GT-Rの純正パッドはすぐにバカになるが復帰も早い。クリップ手前でのブレーキングを避けアクセルワークのみで調整にかかる。100Rでの旋回と脱出速度は多少稼ぎにくくなるが、DUNLOPまでのストレート速度を稼ぐほうが遥かに優先する必要があり、それにはヘアピン進入での"確実な止め"と小さく曲げきることが鍵になってくる。特にストレートが激速のGT-Rにおいては尚更だ。少しでも早くアクセルを開け4速パッツンパッツンで300Rに飛び込みたい。
ヘアピンの進入~立ち上がりにおけるラインやリズムはFSWでも最も難しく奥深いと僕は思う。旧コースのときはここで全てが決まると言えば過言かも知れないが、とにかく僕は唯一リスクを取るコーナーである。もっとも、このコーナーのリスクヘッジは存分である。ランオフも芝もサンドもタイヤバリヤもしっかりと設計されているため、クルマを壊す可能性は非常に少ない。フェルナンド・アロンソぐらいなものだ。ここで派手にクルマを壊したのは(笑)
気負っていたら立ち上がりで膨らんだ(笑)
GT-Rくらいパワーがあるとあまり関係なさそうだけど、ここの立ち上がりでステアリングの操舵角はなるべく抑えたい。でも、ランオフに出るよりましなので切っちゃう(笑)
300Rで数台をパスするとDUNLOPが見えてくる。腹筋が弱り気味な僕は、ともすればDUNLOPには斜めに進入してしまいがちなんだけど、ここは怠らず出来る限り早くアウトに寄せてコースにクルマを沿わす。沿わしきった後はクルマを緊急停車するつもりでブレーキ!未だにブレーキと同時に右足の踵をアクセルペダルに捻る癖が抜け切れない。ピクってときどき動く。万が一、煽ったりしたら飛んでっちゃう。DUNLOPはタイミングよくシフトダウンをしないとつんのめってしまう。このクソ重いクルマが下り坂で前方慣性が働くと転換にやたらと時間がかかる。全体がスッと沈む感じにしたい。
DUNLOPを切り込むとRAYS VR.G2の恩恵が得れた。ワイドトレッドスペーサー(4kg弱)が外れたお陰かも知れないが非常に軽く入る。文章で書くと「スッ」って感じである....なんとも稚拙で......
ブレーキを引きずってシケインの一個目に入り、脱出はワンテンポ遅めにアクセルを開ける。
......開けると大渋滞発生.....見えてたけど.....でタイムアタックは終了.....抜き去るリスクを負わない虚弱体質な僕である。
2LAPのクーリング後、再度タイムアタックを敢行してみたが似たようなもんで終わった。
結局この日は一日中こんなことを繰り返して、ただただ自己満足な一日で終わった。
当家奥様の走りも久しぶりに見ていたが、相変わらず抜かれまくっている。しかしながら抜かれ方が上手くなった(笑) 実に潔い(笑)
「とっとと抜いてけ。」感が見事にMINIからオーラのごとく全身全霊で出力されている。実に見事な抜かれっぷりだ。
「旧MINIを2回抜いてやった」と誇らしげに言っていた。設計に数十年の時間差があることは彼女には関係のない話なのである。MINIのカウンターを除くと2分23秒。スーパーママちゃりグランプリの上位ランカーでもベストラップは7分かかるそうだから、それより遥かに速い。原動機付きの意地は保てている。たいしたモンだ。ま、安全第一がなによりである。
足腰が痛い。筋肉痛になるなぁ.....
Posted at 2010/05/09 12:04:13 | |
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