昨日、友人数名と酒を飲みながら、それぞれの自動車自論(笑)を語り明かした。
....「語り明かした」とは聞こえが良いが、要は酔っ払った中年が好き放題言い合いながら延々とダベってただけである。そう、新橋のサラリーマンとなんら変わらない。そこで話をした今の僕の自動車自論...(そんな言葉あるのかな..)を備忘録として書いておくことにした。10年後に読み返すことが出来たら、そのとき僕は何を思うのか楽しみである。
今の僕....今の感性だったり環境だったり経験値だったりライフスタイルだったり経済力だったり....そうゆう多くの"今"の要素で構成されている僕。つまり、今の僕。.....の理想のクルマは、"スーパー中途半端なクルマ"である。「何だソレ?」って感じであるが例えようがない。多少投げやりに言うと、楽しきゃいいジャン!っていうクルマ。何か1点に依存することなく、あらゆるシーンで全域楽しい...街中流して楽しくて、コースに持ち込んでもまた楽しくて、停めて眺めて楽しくて....そんなのがいい。当然最適化されていないので、全てのシーンにおいて心残りを感じる部分はしっかりと存在してしまう。それ故、オール中途半端は覚悟な仕様。もし僕に圧倒的な経済力があれば、遊ぶ用途に応じて複数のクルマをそれぞれのシーンに最適化するかも知れないが、そうはいかない。そういう夢は持つものの(笑)、頑張ってはいるが、そうはいかない。僕が遊べるクルマは今、この1台だけなのである。MINIは奥様のだし、twinは近所への買物用として既に最適化されている。既にいい歳なのに人間的に非常に未熟な僕は、密な依存関係を作ってしまうとそこにガンジガラメになってしまい、次第に疲れてしまうようだ。仕事と仕事の狭間にある、わずかばかりの極楽であるべきオフの世界において、これじゃあいけない。神経を全開放してやる必要がある。失敗を何度も繰り返して、それでもクルマを止めれない愚か者がどうにか末永くこの究極の遊び道具と関わっていたい思いから、いつの間にか自己保護的に組み上げられた価値観である。
幸か不幸か....多分、不幸なことに(笑)色んなクルマに乗って色んな事を経験した。その都度、そのときの自分の描く理想像に向かうクルマを何度も造ってきたワケだけど、30歳を過ぎて少し経った頃からそのベクトルが極めて狭くなった。これをネガティブに考えれば、自分のチャレンジ精神が衰退している....とか自分の可能性を見切っている....とかになっちゃうんだけど。
例えばこのクルマ、GT-R。ナラシを終えてすぐにコースイン。アウトラップを除く5LAP目に今の僕のベストタイム+2.5秒を記録している。6、7LAP目でそこから1秒刻んだ。つまり、シェイクダウン時に今のベストタイム+1.5秒が出ている.....僕に成長の伸びしろがないという話はここでは放っておいていただきたい(笑).......そのときにアライメントをこうイジって、バネレートをこの位あげて....ちょいちょいやって僕の腕ではいいとこトータルこのくらいって、なんとなく見えちゃってたりする。このクルマでのタイム作りだけを考えた場合、これで終わり。特にその先をヤる必要性はない。解っているワケだしね。興味は当然失せる。
あれから2年が経ち、少し哀しいことにその通りの結果になっており、想定外に伸ばせたのはアベレージ(8LAP)の燃費で+0.2km。ここからのタイム変動は外乱(気温だったり風向きだったり路面環境だったり)要素以外はまずない。勿論、お金をかけて手を入れれば基本的には入れた分だけ比例してくれはすると思うが、1秒あたり50万~100万円の世界になってくる。では、100万円払って1秒削りたいか?今の僕には残念ながらそのモチベーションは欠けてしまっている。むしろ1秒加算して100万円もらいたい(笑)
朝起きて天気を伺い前日にどんなクルマが走ってたかを知れば、わざわざ静岡県まで出向かなくてもタイムは推測出来るワケで....まぁ、ネガティブな話をすれば、ざっとこんな感じである。
しかしながら、この話は別に悲哀唄ではない。現に今、僕はGT-Rを存分に楽しんでいる。
「何を目的に僕はお金を払ってまで、こんなところ(コース)を走るのだろう?」
10年程前、突然我に返ったように襲ってきたこのモヤモヤ感が消えないことがあった。ポルシェ993に乗り換えて間もない頃である。
友人が初めてコースを走るとのことで付き添いを頼み込まれ、嫌々ながら少し疎遠になっていた某サーキットに出向いた。峠ではベテランの友人も、コースでは肩身が少し狭そうだったが、それでも「楽しい!」と汗でベチャベチャのヘルメットを脱ぎながら、「せっかく張り切って取り付けたLAPカウンターのスイッチを入れ忘れてた」と大笑いしていた。その日は久しぶりに一日走り続け、友人と二人、僕が先行したり後ろについたり、特に計測することもなくヘトヘトになるまで遊び続けた。
そのとき痛感したことは、お金を払ってまでこんなところを走る理由は「楽しいから」以外にどこを探しても絶対に無いということ。ド素人の癖にやたらとストイック指向で、レースで勝つためにタイムを刻むことばかりを気にしてしまっていた僕は、純粋に楽しんでクルマを走らせることをすっかり見失っていた感があった。
その日家に帰ってから1ヶ月程かけて、作り始めたばかりのポルシェのセットアップのベクトルを大幅に変更し、点と点を繋ぐようなセットからもっと自分の感覚に合致するモノへ組み替えた。それは次第にエスカレートしていき、あげく「カッコイイから」とどう見ても抵抗にしかならないようなバカでかい羽を取り付けて手を叩いて喜んでたりしたんだけど.....因みにFUJIのストレートで最高速15kmも落ちた!(笑)
目を三角にして走る硬派な輩に次は何をヤリたいかを問われて「キーレスエントリーが欲しい。」と平気で吐けるようにもなった(笑)
お陰でポルシェ993は僕の中で多分、一番楽しんだクルマである。速く走らせるには多少不向きなセットではあったが、「強烈に楽しかった」という印象ばかりが際立って残っており、今でも大好きなクルマである。ポルシェが持ちあわせているユーザー趣向の対応範囲の広さに改めて感心する。
クルマによって当然ながら適した特性はそれぞれであるが、例えば僕はブレーキで曲げていくのが楽しい。かなり奥まで残して「飛んでっちゃうかな?大丈夫かな?」なんてステアで探って、コジりながらゴリゴリ切っていったりするのがイイ。GT-Rの場合、こんことしてたら当然タイムは作れない。旋回中に余計な負荷をかけないように上手に前へ前へ転がしていくようにして、小さく回って早めに向きを変えてガツンと踏み込んだほうが、遥かに速く走れるし経済的な打撃も少なく済む。でもコレじゃあ残念な事に全然楽しくない。当然、今の僕のセットは前段のセット(笑)。ベテランの友人が僕のクルマに乗った際、「乗りにくい」と大笑いしていた。
それにデカいハネも大好きである。好き嫌いに理論的な説明をつけれるワケがなく生理的な問題であり、無論「好き = 楽しい」のである。HKSテクニカルファクトリーのハイマウントを装着しているが、FUJIを走る少なくともノーマルパワーのGT-Rにはお勧めは出来ない。実際、外して走ったほうがタイムが出る(笑)。それでも勿論外す気は毛頭ない。逆にめげくんデザインのTOP SECRETのやつが欲しい.....と思っているくらいである。
タイムは気になるものではあるが(やっぱり抜かれたり、追いつけなかったりするとケチョンとするので)、それでも依存されないように心がけている。以前のように「何を目的に....」ってこんな楽しい遊びに背を向けちゃわないようにね。
むしろ今はα波を計測しながらクルマを走らせてみたい....かな(笑)自分がどれだけ楽しんでいるか、日常のストレスをどのくらい消化しているかを数値化して追求してみたい。
この10年で僕のクルマ造りのベクトルは急激に狭まり、全ての判断基準は「楽しいかどうか」の一点に絞られている。前述の「スーパー中途半端なクルマ」は今の僕が最も愛するカタチである。
Posted at 2011/02/12 00:43:15 | |
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